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展覧会紹介 ~没後10年 三尾公三のまなざし

6月に入りました。段々と全国的に梅雨入りするシーズンとなりましたね。
本日も京都は雨。

雨が降ってしまうと、せっかくの予定が狂ってしまうこともしばしば。そんな時は美術館でゆっくりと芸術作品を鑑賞するのはいかがでしょうか?

現在、本学展覧会場ギャルリ・オーブでは、「没後10年 三尾公三のまなざし」展が開催されています。
三尾公三氏は、1991年度から2000年度まで、本学通学部の洋画コースで教鞭を執り、多くの学生たちに多大な影響を与えてきた方です。
エアブラシを用いた独特な手法を用いる画家で、週刊誌「FOCUS」の表紙絵で広く知られています。

FOCUSの表紙を創刊から毎週18年描き続けました。



手仕事だからこそ生まれる幻想的な世界

一見、写真かのような写実的な作品。ご存知の方も多いかもしれませんが、これらはすべて「手仕事」によるもの
しかしその痕跡はどこにも見当たりません。

Encore 1977

今回の展覧会は氏のデッサンやエスキースなども合わせて展示されているため、その制作工程から、さらに興味深いことがわかります。

氏の作品は、主に裸婦を中心としたモチーフの正確なデッサンからタブローへと展開しているのですが、その正確なデッサンから、さらに正確に歪ませたデッサンを描いているのです。

今では、フォトショップやイラストレーターなどのソフトを使用すれば、誰でも、一瞬で、正確に、画を歪ませることはできますが、その作業をすべて「手仕事」で行っているのです。

私はこの「手仕事」での表現だからこそ、氏の独特の、時間が歪んだような世界が生まれているように思います。
だまされないと思いつつその世界に誘われる」、そんな奥行きのある、いつまで経っても作品の前から離れられないような世界は、きっとパソコンによる機械的なデジタル作業では生み出せないように思うのです。

神秘と幻想の異次元空間

当たり前のことですが、彫刻は三次元で、絵画は二次元での表現。絵具を塗りつける紙や布などの支持体自体には奥行きがありません。
モチーフの光と影のコントラストをつけることで、あたかも奥行きがあるかのように表現する絵画。
私はそこに平面作品の面白みを感じます。

蒼天 1990

さらに氏の作品の特徴的なところは、その平面作品が展示空間にも影響を及ぼすということ。

会場に立ち、氏の作品を見渡すと、まるで異次元に誘われたような不思議な感覚になるのです。
映像や音なども用いるミクストメディアのインスタレーション作品などでは、しばしばそのような感覚になることもありますが、
平面作品がずらっと並ぶだけで、そのような空間が生まれるのです。

都心で開かれている展覧会などを鑑賞すると、展覧会の世界が外の世界に負けていると感じることがしばしばありませんか?

今回の展覧会は書籍やカタログなどでは、体感できない展覧会ならではの醍醐味があり、鑑賞というよりも「体感」できるような内容になっていました。まさに異次元空間。

芸術とは常に未完成の存在

実は氏がエアブラシを用い始めたのは、40歳を過ぎてからのこと。
43歳の時、京都市工業試験所塗装科の夜間部に一年間通い、吹き付けの技法を習得したそうです。

もともと学生時代に日本画を学んだものの、卒業後には洋画へ、そして具象から抽象へ、さらには40歳を過ぎてからエアブラシへと試行を繰り返していったのです。
またそれぞれの転機には、過去の作品や画材などを友人に譲ったり、焼却してしまったと言います。

海の詩(部分) 1980

新たな表現の可能性を模索し続けた氏の作品が、絵画や版画、デザインなどの様々な領域を超えていったゆえんは、退路を絶ち、過去に捕われない決死の覚悟にあったのかもしれません。

氏いわく、

フレームに囲まれた従来のタブローに対する常識や考え方を否定し、まず額縁を取り去り、キャンバスは規定の号数とは関わりなく変形して周りの空間と同化し、ポジはネガに反転し、上下を逆転させ、手仕事の痕跡を拭い去り、視点の位置をずらし、リンゴはリンゴの大きさである常識を越えている。

常識を超え、すべて手仕事だが、手仕事の痕跡が皆無。幻想的な世界に誘われる絵画表現の境地をぜひご高覧下さい。
本学ギャルリ・オーブにて、6月14日までです。


2011年5月25日(水)- 6月14日(火)
「没後10年 三尾公三のまなざし」
開館時間:10時30分 - 18時30分 [日曜休館] 入場無料
京都造形芸術大学 ギャルリ・オーブ
京都市左京区北白川瓜生山2-116 TEL 075-791-9122

詳しくはこちら

投稿者:入学課 作山