「猿之助への軌跡展」を春秋座で行う意義

12月 01日, 2013年
カテゴリー : プロデューサー目線, 過去の公演 

初めまして。舞台芸術研究センターの舘野と申します。長年にわたり、春秋座の公演プログラムに携わってまいりました橘より引き継ぎ、社会普及系の公演、並びに芸術監督関連の公演プロデュースを担当することになりました。今後も劇場をより活性化させ、皆様から愛されるような公演制作に励み、引いては春秋座が京都文芸復興の拠点となりますよう努めてまいります。
さて、12月の春秋座は、四代目市川猿之助襲名と春秋座芸術監督就任記念を記念し、「猿之助への軌跡展」を5日から開催します。今年5月に芸術監督就任しました市川猿之助は、ただ今、京都南座で吉例顔見世興行に奮闘出演中です。大都市における猿之助襲名披露公演は、東京の演舞場を皮切りに大阪・松竹座、名古屋・御園座、福岡・博多座と回り、そして、いよいよ最終地、暮れの京都にやってきました。
この襲名披露公演に合わせて、各地で「猿之助への軌跡展」と銘打ち、亀治郎時代から猿之助までの足跡を追った展覧会を開催しています。思い出の名舞台を迫力ある大型写真パネルでお見せし、豪華な舞台衣裳や45分間のドキュメンタリーフィルム「KABUKU」の上映など盛りだくさんの内容です。各地ではデパートの催事場で行われていましたが、京都は、この時期歳末シーズンと重なり開催が危ぶまれました。そこで、やはり猿之助にとって芸術監督でもあり、言わばホームグラウンドでもある我が劇場で行うのがふさわしいと判断し、開催の実現にこぎつけました。
2001年、当時亀治郎を名乗っていた猿之助は、春秋座の杮落とし公演から出演し、「春秋三番叟」を元気一杯に披露しました。翌2002年には、記念すべき「第1回亀治郎の会」の旗揚げを行い、以来計5回も上演しています。まさに自身の研鑽の場として春秋座は馴染みの深い劇場なので、この展覧会を春秋座で開くことは大変意義のあることなのです。展示物も他では見られない独自の特設コーナーを設け、「亀治郎の会」の思い出の舞台写真や特別編集の映像もご覧いただけます。それとドキュメンタリーフィルム「KABUKU」は他所と比べ、劇場内の大きなスクリーンで観賞できるのも大きな魅力の一つです。
暮れの風物詩京都南座の顔見世と合わせて、春秋座の「猿之助への軌跡展」へもどうぞ足をお運び下さいますようお願い申し上げます。

舘野 佳嗣
(舞台芸術研究センター プロデューサー)