舞台こそ、本物のアーティストを作り出す

3月 01日, 2012年
カテゴリー : プロデューサー目線 

 「スイングジャーナル」ジャズボーカル新人賞、第24回ゴールデンアロー賞新人賞(演劇)第38回芸術選奨新人賞(大衆芸能部門)、第32回グラミー賞、第21回菊田一夫演劇賞、第27回松尾芸能賞優秀賞(演劇)、第41回紀伊国屋演劇賞(個人賞)、第14回読売演劇大賞優秀賞(女優賞)などなど。
上記の受賞暦を見て誰のことかお分かりになりますか?そう、島田歌穂さんです。
彼女は、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の「エリザベス女王御前コンサート」ではエポニーヌ役として、世界のベストメンバーに選ばれました。
こんなに実力を認められているアーチストなんて、そうはいません。私自身も、青山劇場で開催されたオーケストラをバックにしたコンサートを聴き、その歌唱力を大絶賛しました。
さらに、昨年上演された「ゾロ ザ・ミュージカル」では歌と踊りはもちろんの事、その熟女振りに悩殺されました。

歌穂さんが舞台中心に活躍しているのは、砂田信平という彼女のプロデューサーの意向にもよると思います。私も、同業者の砂田さんとは長い付き合いをしていますが、彼には「舞台こそ、本物のアーティストを作り出す」という信念があります。ちょっと売れ出すとテレビを中心に活躍することを潔しとしない考え方です。夏木マリさんの場合もそうでした。映像に於いてもいい仕事をしていましたが、彼女の主流は舞台でした。今の時代、テレビに出ないと商品価値が生まれないというのが一般の常識です。でも、彼は頑なに自分の信念を貫き通してきました。イージーに動員力を付けるのではなく、本当の芸を身につけてお客様を呼ぶことが大切であると言い続けてきたのです。私も、「身銭を切って、見たり聴いたりしてくださる生のお客さまこそ、本物の芸人を育てる」と思っています
思えば、夏木マリさんのスタートは歌謡曲歌手でした。島田歌穂さんも最初はアイドル歌手でした。もちろん、今日あるのはご本人の努力の賜物ですが、砂田さんの存在も見逃すわけには行きません。
「本物はいつか花開き、長続きする」―この真理を実証したお二人に、共通のプロデューサーが存在していたことを記しておきたいと思います。

さて、4月14日(土)17時から、春秋座で開催される「島田歌穂&島健デュオコンサート」は、そんな歌穂さんの実力をじっくり、味わえる絶好の機会です。
器用に何でもこなしてしまう彼女は、ともするとその実像が見えにくいのですが、ご夫婦水いらずのコンサートでは、素顔の島田歌穂に接することが出来ます。等身大の彼女から、また新鮮な魅力を発見されることでしょう。
まだ、彼女の舞台を見たことのないお客様、ぜひ、実力と飾らない人柄に触れてください。
ご主人のピアノとアレンジも絶品です。

橘市郎
(舞台芸術研究センター プロデューサー)