陽春を彩る公演が続々

2月 01日, 2015年
カテゴリー : プロデューサー目線 

早いものであっという間に今年もひと月経ちました。
今月から春秋座は公演の発売ラッシュに入ります。というのも5~6月に社会普及系公演が立て込んでおり、チケットセンターならびに関係者の皆さまには労力をおかけし申し訳ないことです。
まず次年度公演の一番手は、5月16日に行われる藤間勘十郎文芸シリーズ其の壱「桜の森の満開の下。構成演出の日本舞踊藤間流八世宗家・藤間勘十郎が、坂口安吾の文芸作を古典芸能の要素を取り入れ邦楽舞踊劇に仕立てました。おどろおどろした内容でありながら独特の美学が漂い、不思議な透明感がある世界に異分野で活躍するアーティストたちが挑みます。ミュージカル「モーツァルト!」でタイトルロールを務め、蜷川幸雄作品やライブコンサートなどで躍進中の中川晃教に、十二代目市川團十郎の長女で十一代目市川海老蔵を兄に持つ舞踊家の市川ぼたんと、マイム俳優で、あのマルセル・マルソーに師事した兵庫県出身の いいむろなおき に、最近追っかけファンが急増中のカリスマ現代舞踊家の花園直道ら、バラエティーに富んだ出演陣が縦横無尽に舞台を勇躍します。
次は、翌週5月23日に加藤登紀子さんがまたやって来ます。昨年、初お目見えの登紀子さんは春秋座のために「モノオペラ─ピアフの生きた時代─を語り歌う」と題して、彼女が長年温めてきたシャンソンの女王・エディット・ピアフの半生をドラマ仕立てに語りながら歌い上げました。これが大好評で大きな反響を呼び、この度の再登場となりました。今回は彼女の集大成です。歌手生活50周年を記念して膨大なレパートリーの中から選りすぐりの名曲がずらりと並びました。ファンには堪えられないスペシャルコンサートがなんと春秋座で繰り広げられるのです。
続いて6月のトップを飾るのは、6日の「桂米團治 春秋座特別公演」。1部は上方落語の真髄をたっぷりと口演し、中入り後の2部は、昨年の「おぺらくご」が好評につき今年も第二弾をおおくりします。“モーツァルトの生まれ変わり”を自認する米團治さんが、前回の「フィガロの結婚」に続き今回は歌劇「ドン・ジョヴァンニ」に挑戦する。米團治さんほかソプラノ、メゾソプラノ、テナーを受け持つ3人のオペラ歌手の出演と、京都フィルハーモニー室内合奏団の生演奏に、それと春秋座の歌舞伎様式をふんだんに駆使して「おぺらくご」を贅沢に構築します。はたして、女性を手当たり次第口説きまくる放蕩者ドン・ジョヴァンニの最後はいかに、壮絶のラストシーンは大いに見ものです。今年も上方落語と「おぺらくご」と盛りだくさんの内容で、若旦那の特別公演をどうぞ満喫してください。

舘野 佳嗣
(舞台芸術研究センター プロデューサー)