専攻案内
修士課程(芸術文化研究専攻)

本専攻では、芸術に関するさまざまな領域を対象とした歴史的・理論的研究に取り組みます。研究のジャンルはおよそ3つに大別され、それぞれ高度な専門教育を行ないますが、自己の専門領域のみに留まらない、既存のジャンルや地域をこえた視野の広い芸術文化研究であることを目指しています。
そのため、各自が専門とする分野の講義や演習はもちろん、他のジャンルや芸術表現専攻の各領域、各研究センターが開設する講義・演習に参加することができるカリキュラムとなっています。
講義・演習では、「現場」に出かけるフィールドワークを重視しています。「現場」「現物」「行為」にこめられた先人の日本文化・芸術に対する思いを、正確な知識と磨かれた感性とでもって理解することが重要であると考えるからです。教員とともに現場で芸術を味わい、 調査や作業をすすめながら、自己の視野を広げ、専門性を高めていくのです。
このように芸術文化研究専攻では、第一線の研究者や制作者とともに研究に取り組むことにより、学界はもちろん広く社会に対して提示しうる考察力と行動力を持ち、社会貢献まで幅広く活動できる人材の輩出を目指しています。

科目体系・修了要件

研究のジャンル 芸術文化論、比較文化史、美術・工芸史、アートプロデュース論、空間演出論、情報デザイン論、環境デザイン論、映像・舞台芸術論 など

芸術作品は、芸術家の優れた資質と、歴史的・文化的伝統との複雑なからみ合いのなかから生まれてきます。それゆえ芸術の理解のためには時代の精神的背景を明らかにすることが必要であり、また逆に芸術作品を通じて社会の精神的風土を明確に捉えることができます。このような視点から、絵画や彫刻をはじめ、陶磁器、人形、文学、演劇、舞踊、映画、音楽、都市などあらゆる芸術やデザインを対象として研究に取り組みます。
特に本学の附置機関であり、総合的な人間科学としての芸術学の提言を目指す「比較藝術学研究センター」の研究創作活動とは密接なかかわりのもとに研究・教育を行なっていきます。

主な修士論文題目 「玉虫厨子漆絵の表現と技法について - 漢代墳墓出土の漆芸品との比較 - 」
「市民とミュージアムの関係 - オランダとの対比からみるミュージアム支持層育成策についての考察 - 」
「古代日本における十一面観音像の系譜的考察」
「月の風景論 - 観月の庭の空間把握について - 」
「盛唐時代の仏教彫刻と唐招提寺仏像群」
「1950年代京都の衣文化 - 洋裁学校《藤川学園》の服づくりにみる美意識 - 」
「辞世の書に見る形の生命 - 渡辺崋山の遺書三通をめぐって - 」
「裸人形の誕生 - 縫い着せられた衣からの視点 - 」
「意匠 - 伝統とデザイン - 」
「日本におけるアーティスト・イン・レジデンス事業 - その現状と今後の展開の可能性 - 」
「空超 呉相淳の文学と思想 - 東アジアの中の往還 - 」
「韓国コンテンポラリー・ダンスにおける伝統性に対する考察 - 日本のコンテンポラリー・ダンスとの比較 - 」
「1910年代文化史における漱石芸術論の意義 - 「文展と芸術」をめぐる一考察 - 」
「中国影戯の歴史と陜西省影人の意匠分析」
「綾なす言葉 - 泉鏡花「春昼」「春昼後刻」読解の試み - 」
「フィレンツェに於ける金箔装飾の額縁に関する研究」
「中国映画第五世代の恋愛表現 - 張芸謀と陳凱歌を中心として - 」
「演劇からの子どもへのアプローチ - 実践活動、如月小春、村瀬学をもとに - 」
「日本漫画史における漫画表現の再考 - 『北斎漫画』を中心に - 」
「日本のテキスタイル・デザイン - 1950年代から60年代を中心に - 」
「芸術文化事業がもたらす社会的効用と評価 - 1990年代以降の「参加型」芸術活動をめぐって - 」

【II】歴史文化研究

研究のジャンル 歴史文化論、庭園文化論など

歴史文化論では、都市文化・生活文化の歴史研究に重点をおきます。都市の歴史的特性を色濃く残す京都を中心に、歴史的「現場」に現存する絵画・彫刻・建築・庭園・儀礼から、そのなかに潜む日本文化とその美意識を解読していきます。さらに遺跡の調査を通じて、日本のみならず世界の古代都市ギリシャ・ローマへも視野を広げ、世界史的視野にたった歴史文化論を研究の対象とします。
また庭園文化論では、世界唯一の日本庭園に関する研究機関である本学の附置機関である「日本庭園・歴史遺産研究センター」と連動し、歴史研究はもとより庭園の実測・発掘調査・保存修復事業といった実際のプロジェクトに取り組み、先人が庭園にこめた精神文化を理解するとともに現代の生活空間の創造へとつなげていきます。現在その研究活動の場は京都・日本にとどまらず、欧州各地における作庭・修復を通じた地域文化論へと展開しています。

主な修士論文題目 「襖・屏風下張り文書の資料化に関する一考察 - その位置付けと方法 - 」
「極小空間における茶の湯の研究」
「自家製茶 - その製法と習俗 - 」
「日本古代喪葬儀礼史の研究」
「洛中洛外図屏風に見る都市・京都の街路空間に関する研究 - 人と街路の関わりを中心に - 」
「いけばなにみる型の形成と伝承について」
「「奇」の系譜 - 「奇人」文学考 - 」
「弓儀の研究 - 習俗調査を中心として - 」
「朝鮮半島の茶文化研究 - 新羅・高麗・朝鮮前期を中心として - 」
「アニミズムの風景論的研究 - 神々と水との関わりを通して - 」
「日本庭園における「州浜」の成立」
「平安時代の山里と別業 - 藤原道長の別業を中心に - 」

【III】文化財保存修復研究

研究のジャンル 文化財科学、保存修復論など

文化財科学では、有形文化財の自然科学的分析とそれをふまえた保存処理の研究を主な対象とします。特に金属や石といった無機材料、有機材料である漆は、古代より原材料・加工材料として多用されてきました。これらの科学的分析は文化財の保存に不可欠であり、さらには伝世品の修復に用いる新素材の開発にも役立つものです。
保存修復では、修復技術の研究および体得を目指し、対象は東洋書画・写真・生活資料を主な対象とします。単に損傷部分を修復するだけではなく、伝統的な素材と形態を維持することが重要であり、そのためには科学的分析も手法として用います。生活資料の保存には収蔵施設の改善・管理の問題も加わってきますが、こうした問題を地域に提示し、保存修復活動を普及させることにも力を入れています。いずれも各教員の専門技術と経験を生かし、院生にも同レベルの技術と知識を体得できるよう、「日本庭園・歴史遺産研究センター」の活動とも密接な関連を持って、学生個々人の希望進路にあわせた研究に取り組んでいます。そのため活動範囲も日本に限らず、夏期休暇などを利用して中国やイタリアに調査に出かけ、積極的な国際技術協力のもとで学生自身が自ら研鑽をつむ機会を設けることもあります。

主な修士論文題目 「椿油塗布による防錆効果の基礎的研究」
「蛍光X線分析法による緑釉陶器の産地同定」
「東大寺大仏の鋳造技術と修復技術 - 近年の発掘調査の成果を元にした再考察 - 」
「文化遺産の保存修復に関するマネジメント - 新たな資金調達方法としての「ファンド」の将来性 - 」
「製造用具からみた伝統的アラブ菓子に関する研究 - ヨルダン・サルト市の観光振興の一端として - 」
「長安漢墓出土刀剣の鞘に関する保存科学的研究」
「戦時下の生活資料「代用品」の研究」
「西安における歴史的建造物の彩色塗装に関する研究 - 下地中のデンプン粒子の検出について - 」
「書籍・典籍・古文書の修理に用いる紙の寸法変化に関する基礎的研究」
「La Villa di Cazzanello 遺跡出土壁画片における技法と材料-顔料層を中心として-」

【取得できる学位】
修士(芸術)または修士(学術)
※芸術文化、比較文化、歴史文化等の学際的分野を主たる内容とする修士論文の場合には、修士(学術)とすることができる。

学校法人瓜生山学園 京都造形芸術大学