
学長
この京都造形芸術大学は、歴々の学長によって、学問の府としての王道的な礎を築かれてきました。しかし、これから生まれようとする本大学の新たな展開は、他所にない本学だけの特徴的な部分をより活かしていくものです。たとえば現役作家である私が学長になることもそのひとつです。現場の第一線にいる作家として、世界に現在形のパイプを持っている、日本国内のさまざまなメディアや展覧会などに関われる。そういった立場を存分に活用して、社会にも世界にも通用する学生を送りだしたいと考えています。
私は画家ですが、デザインでも建築でも、教授陣の多くが現役で非常に質の高い仕事をしている作家たちであるのは、本学の素晴らしい特徴です。つねに現場の最先端を作り出している人たちだからこそ、さらにその先にすすもうとする人たちを教えることが可能なのです。学生とともに学生の側を走り、2,3歩先をいく先輩としての関係を持ちながら、より力のある人材へと育てていきたいですね。
社会に出て本当に活躍できる人間というのは、ただ技術が優れているだけではありません。これまでとくに芸大の学生にとって重視されていなかった教養や語学についても、より楽しみをもって学んでもらいたい。深い教養があってこそ本当の独創性は生まれるし、一つの語学を学ぶことは全く違う一つの世界観を知ることにつながります。これらは将来、より国際的にアートの世界で活躍するためには欠かせない要素だといえます。
先に挙げたような現役作家ぞろいの教授陣に学び、豊かな教養を身につけて研ぎ澄まされていく学生たちの才能。その才能を引き立てる道をつくるのもまた、大学の重要な役目です。学部学科の枠組みを超え、多ジャンルの先生による多様な視点で、学生の思いもよらぬ可能性を見つけ出せる。さらにその才能を世の中に出すチャネルがある。すべてにおいて他所にはない素地を持ちあわせているのが本学なのです。そのすべてを活かして、ひとりでも多くの才能ある学生を社会に送り出していくことこそ、本学の、そして私自身のこれからの使命であると受けとめています。

[ 撮影:山口和也 ]
学長
千住 博
1958年1月東京都生まれ。東京芸術大学美術学部日本画科卒。
2002年9月より京都造形芸術大学芸術学部教授、2004年4月同大学副学長、2007年4月同大学学長就任。
1993年東洋人として初めて米国の美術誌「ギャラリーガイド」の表紙を飾る。
1995年ベネチア・ビエンナーレ絵画部門優秀賞を東洋人初受賞。
1998年より伊東市に建立された京都大徳寺聚光院別院の襖絵を手がけ、2002年完成。
2006年フィラデルフィア松風荘襖絵完成。2010年東京国際空港(羽田空港)拡張工事に伴い国際ターミナルのアートプロデュースを手がける。
またAPEC2010の絵画を担当。
代表作に「フラット・ウォーター」シリーズ、「ウォーターフォール(滝)」シリーズなど。


