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2017年10月22日(日)

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2017年10月22日(日)0年生プログラム開講式に代えて(WEB配信)

2017年10月22日(日)0年生プログラム開講式に代えて(WEB配信)
 
すでに10月21日付でご案内いたしました通り、大型で強い台風21号が接近していることにより、2017年10月22日(日)実施予定の2018年度コミュニケーション入学0年生プログラム開講式については、0年生およびご家族の皆さんの移動の安全面を最優先し、中止といたしました。
開催も検討いたしましたが、JR等の交通機関のサイト等でもすでに「列車の運転見合わせや遅れが発生する場合があります」と事前に告知されている現状も考慮し、やむなく中止と決定いたしました。
今後の0年生プログラムの進め方および留意点については、改めて本学WEBサイトおよび郵送にてご案内いたします。
 
0年生プログラムの課題は、0年生の皆さんのご自宅に郵送いたします。課題への取り組みについても、お送りする資料をご確認ください。
 
また、本日の開講式に代えて、尾池和夫学長より0年生の皆さんへのご挨拶と、学園歌の情報をWeb配信いたします。是非ご覧ください。
 
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2018年度コミュニケーション入学0年生プログラム式辞
 
2017年10月22日 日曜日
京都造形芸術大学学長 尾池和夫
 
 皆さん、今日は、2018年度のコミュニケーション入学0年生プログラムの開講式の日ですが、式典は中止し、ウェブサイトに式辞を載せることにいたしました。
 
 京都造形芸術大学への入学をお祝いします。京都造形芸術大学の教職員を代表して、この瓜生山学園のキャンパスに、皆さんを心から歓迎します。何よりも、この大学を選んで受験してくださったことに心から感謝いたします。
 
 夏期コミュニケーション入学、 秋期コミュニケーション入学という関門を突破して、2018年度の0年生プログラム、すなわち入学前学習に大勢の方が参加されることになりました。この13学科23コースへの入学者の中には、中国、韓国、台湾、アメリカ合衆国と海外からの参加も含まれています。
 
 本学では、このコミュニケーション入学を、体験授業型AO入試として位置づけています。この開講式に参加されている皆さんは、ゆっくりと時間をかけて実施する入学試験を通過した方たちです。それを大きな誇りとして学習に励んでください。
 
 この機会に、「選ぶ」ということについて少し考えてみたいと思います。私自身は俳句を詠みます。俳句を詠む場合、その基本は選句、つまり優れた俳句を選ぶという眼が重要です。先人の残した多くの俳句の中から、これぞという名句を選んで、それを越える句を生み出す努力が重要です。自分が詠んだたくさんの句から、これぞというのを選んで発表しなければなりません。そのとき「選ぶ」という力が結果を支配するのです。
 
 秋は展覧会のシーズンですが、優れた芸術作品が審査員によって選ばれて展示されています。あるいは自分の目で自作を選んで多くの個展が開催されています。この、見せるための作品群を自分で「選ぶ」という力が個展を成功させるのです。
 
 先輩たちの芸術作品を学び、文芸作品を読み、憧れの古典に出会って模写し、皆さんも優れた芸術作品を生み出すことになるでしょう。そこでも常に自分の眼で「選ぶ」ということが行われます。
 そこで皆さんは、この「選ぶ」という力のことを今一度、深く考えてみていただきたいと思います。そのとき、今日の式典を迎えた皆さんが、実はこれから学習する場所としてこの大学を選んだのだということを思い出していただきたいと思います。すなわち、この大学を選んだということこそ、物事を「選ぶ」という力を、しかも優れた能力を持っているということの証明になっているのです。
 
 この大学には多くの優れた先輩たち、卒業生や教員たちの活躍があります。宮永愛子さんは倉敷で素晴らしい個展を開催しています。やなぎみわさんは、移動舞台車による「日輪の翼」の旅を続けています。台湾で生まれたトレーラー花鳥虹が、日本で4回目の長い冬を越しながら、中上健次、折口信夫らの物語を探求し続けます。しかし、先日の台風で長い間準備してきた京都公演は中止となりました。
 
 中国陝西省の西安にある西北大学には、この学園の最初の留学生であった岳鈺さんの名前をつけた美術館ができています。この先輩も、40周年を記念するホームカミングデーに参加する予定でしたが、台風で中止となりました。
 
 俳優も映画監督も漫画家も建築家も服飾デザイナーも、多くの分野で活躍するひとたちを、これから皆さんは憧れのモデルとして学習を始めることができます。そのような個性豊かな大学を、自分で選んだということ、その「選ぶ」力を持っていたということを、ご自分の高い能力の1つだということを、改めて自覚していただきたいと思います。
 これから大学での学習を進める中で、必ず、いい大学を選んで良かったと確信されると思います。我々、役員、教職員も全力で大学の運営、学生たちのための教育内容の構築に取り組んでまいります。
 
 日本列島を特徴付ける自然は、地震、噴火、津波、台風、豪雪です。これらによる災害は大変ですが、一方で多くの恩恵も受けています。大学にあっても、学生たちの安全を何よりも重要と考えており、今回の入学式の中止もその考えに基づいています。
 
 京都は、活断層盆地にできた都市であり、長い間都が置かれていたにもかかわらず、世界的に見ても珍しい城壁のない都です。活断層運動によって分厚い堆積層が発達して豊富な地下水を蓄えています。その水を元に、茶の湯が生まれ、湯葉や豆腐や酒が生まれ、京料理や都の文化が育ってきました。活断層はときに大地震も起こしますが、大地震による震災を乗り越えた文化がこの都には育ちました。また、この学園は、瓜生山という地震に強い、揺れにくい岩盤の斜面に建設されており、皆さんが安全に学習するための耐震建築が採用されています。
 
 学習の傍ら、京都にいる機会に、多くのものを観察してほしいと思います。キャンパスの中も、例えば、大階段の途中にある大きな大理石の輪は何だろうかとか、階段を登ったフロアにある人物像は何者なのかというようなことを考えながら観察してみましょう。
 自然を観察し、人々の暮らしと歴史を学び、地球の未来を考え、人類の平和に貢献するための自分なりの方法を考えましょう。エネルギーや物質や水の循環を考え、戦争の問題、民族の問題など、世界が抱える課題についても考えてみましょう。これらは皆さんが大学を卒業して仕事を始めるときにも、たちまち出会う大きな課題であります。
 
 つい最近、地球から1.3億光年離れた2つの中性子星が合体した様子が、重力波と光で観測されました。宇宙のかなたからやって来た重力波の発生源からの光をとらえたのです。その成功の論文が発表されました。この重力波は、アインシュタインが100年ほど前に存在を予測したものですが、2015年に初めて実際に検出され、その成果が今年のノーベル物理学賞に選ばれました。皆さんが大学で学習する間にもこのような大発見があることでしょう。時には宇宙の彼方にも思いをよせてみてください。
 
 物事には見える物事と、見えない物事があります。見える物事は映像にすることもできますが、見えない物事は、絵や音楽や文芸のように、芸術作品を生み出すことによって表現されます。自然を考え、宇宙の果てを想像しながら、人類を幸せにする芸術作品を創造してほしいと思います。
 
 大学入試に合格したことが人生のゴールではありません。これから入学式までの半年にどれだけの努力を続けるか、さらに大学に入ってどれだけ学習を深めるか、皆さん1人ひとりが自分の未来を決めていくことになります。
 来年4月の入学式まで、本学の教職員との対話が、ともに学ぶ仲間との対話が、また自分の心との対話が、0年生プログラムの学習を深めていきます。それを期待しつつ、私の式辞といたします。
 
 合格おめでとうございます。ありがとうございました。
 
 
・学園歌『59段の架け橋』
https://www.kyoto-art.ac.jp/student/life/song.html
 
学園歌は4月の入学式でも斉唱します。
是非ご覧ください。
 
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