アートプロデュースコース

世界マヌケ革命 松本哉さん特別講義

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 今回のゲストの松本哉さんは、東京の高円寺で「素人の乱」というリサイクルショップを経営しながら、国籍を問わずさまざまなジャンルの人たちが交流できる“場づくり”を行っている方です。日替わりメニューならぬ日替わり店長のお店「なんとかBar」や、ゲストハウス「マヌケ宿泊所」、日本初の「台湾大使館」などなど、奇妙さを突き抜けたユーモラスでマヌケな交流の場を生み出してこられました。

 一方で、松本さんはこれまで様々な「デモ」を実行されています。条例や法律の抜け穴を見つけ、それを逆手にとって仕掛ける、まさに前代未聞な彼の「デモ」というのは、一つの自由な表現方法であり、我々の自由を奪う本当の原因は何なのか、抵抗すべき対象はどこにあるのかを私たち一人一人に問いかけているように思えました。

 松本さんが“場づくり”“交流づくり”について「予定調和は最大の敵」とおっしゃっていましたが、予期しない出来事を受け入れられた時にこそ、新しく面白い出会いや経験が得ることができるということなのだろうと感じられる講義でした。

 

 

■以下、学生レポートより抜粋■

 

松本さんのデモを見て、世間に自由な表現活動を訴えかけるにしても、真正面から主張するより、せっかくやるなら面白くするというスタンスに興味をひかれた。松本さんの活動には、誰かや何かが入り込むスキがあるし、その人たちとまずはお祭り感覚で騒いで、関係の輪が広がった先に、何かが起きるようになっている。(デモをする松本さんたちと)警察とのやり取りでは、警察側にも「デモとは?」という問いを突き付けているように感じた。練り上げられた完全武装した主張で戦うよりも、あえて拍子抜けな行動を起こすことで物事をひっくり返して、新しい道、関係が開けることもあると感じた。

 

社会にはたくさんの決まりがあり、大人になるにつれ決まりを破ることは許されなくなってくる。特に日本では決まりが厳しいと思うのですが、そんな社会で(松本さんは)自由に縛られずに生きるのに色々なことをされているのをみて、(自分は)意外と「決まりだから」という理由だけで規則を守っている部分が多いことに気づかされました。

 

今回紹介された活動の多くは「場」を作り「表現」を「行動」として生み出していくものでした。韓国でのビルの立ち退きに打ち勝つ話しで、「場所がもしなくなったとしても、一度みんなで活動を起こすと、その人と人のコミュニティは残る」とあり、感心しました。表現をするということに関して、やはり「アート」をいうものがいかに役立つか、重要かということを知る講義でした。

 

日本の文化というのは“同調性”ということを大切にしているような気がする。それ自体に良し悪しはないが、同調性が行動や思想を制限してしまったらいけないと思った。はみだすことはいけないことか、常識とはなんなのか、皆、たぶん自分の個性を秘めているはずだ。それを“普通”や“常識”という考えでおさえ、おさえつけられたらいけないと思う。

 

 

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