こども芸術学科

卒業生リレーメッセージ2:齋藤正惠さん|学生紹介


イルフ童画館(日本童画美術館)学芸員:齋藤正惠さん(1期生)



こども芸術学科1期生の田中さんに続き、同じく1期生で現在、長野で学芸員をされておられる
齋藤正惠さんからのメッセージです。
僧侶の資格も持つ齋藤さんは、卒業制作で「インドラネット」を制作されました。
http://d.hatena.ne.jp/thehome/20110304/1299224306

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こんにちは。第一期卒業生の齋藤正惠と申します。
卒業生リレーメッセージの第2回目のご指名をいただきまして、恐縮ながら筆を執らせていただきます。

こども芸術入学から現在まで、私の場合をご紹介させていただきます。
私は、実家が寺院という事情もあり、仏教系の大学へ4年通った後、美術の先生になりたい!と、こども芸術学科へ入学しました。
結果、8年間も学生生活を満喫しまして、長野県岡谷市にあります、イルフ童画館(日本童画美術館)へ学芸員として就職しました。
今年で2年目ですが、1年目は嘱託学芸員としてからのスタートでした。

イルフ童画館学芸員 齋藤正惠

ずっと教職を希望しており、4回生の時は中学校の美術、英語の教員採用試験を公立、私立問わずいろいろと受けましたが、やはり狭き門、落ちまくりました。
京都市の保育士採用試験も受けましたが、結局不合格。(ピアノに苦労しました・・・)
実家の岩手へ帰って美術科の補助講師でもして、次年度採用試験に臨もうと考えていました。
学芸員資格は前の大学で取得し、視野には入れていましたが、募集要項には「近現代美術史先攻」など、はっきりした専門分野が求められる場合がほとんどでした。
(学芸員は欠員の補填で募集をすることが多いので、前任者の専門分野の人材が求められるのです。)
ですが、欠かさず情報はチェックするようにしていました。
11月だったかと思います、イルフ童画館の学芸員募集が出ており、要項を確認したら、専門の条件がない!これは!と思い応募し、あれよあれよという間に最終面接試験へ。
トントン拍子で採用が決まりました。

イルフ童画館は岡谷出身の芸術家、武井武雄の美術館で、「童画」という言葉を創出した人物です。
童画と関連してモーリス・センダックの常設や国内外の絵本原画展を企画しています。

学芸員とは華々しい様なイメージもあるかもしれませんが、実際は地味で、仕事内容も多岐にわたります。
収蔵作品の管理、研究、展示企画、教育普及・・・ミュージアムショップや喫茶の内容も入ってきます。
地域密着、活性化として地元商店街といろいろとイベントを企画してみたり、グッズの開発、商品化や、武井作品を紹介する書籍の監修(軸原先生が著作の『武井武雄のこけし』絶賛発売中です!)
なんかもありましたね・・・。

展示企画だけでも、作家さんや出版社などの著作権を持つところと、ゼロから交渉を始めますし、作品の借用、返却には最初から最後まで責任を持って点検し、どんな場所へも美術輸送車と行動します。
企画展を充実させるため、関連企画としてイベントやワークショップの企画、調整、運営もします。
もちろん展示にあたっての作家研究や作品研究の上で文章書きもしますし、チラシやポスターのデザインも自分でします。
twitterやFacebookなどネットツールの発信や取材対応もします。
思った以上に体力勝負なところがあります。
こんなとき元気だけが取り柄でよかったなあ、としみじみ思います。

最近は教育普及にも力を入れ、毎週土日はワークショップを入れたり、学校が観覧にくるだけでなく、出前授業を行ったりと、学生時代の経験を存分に発揮できているように思います。
(思い返せば、当時Aゼミでいろいろとワークショップをしたものです。)
武井武雄の素晴らしさを多くの人へ伝えたい!
こどもや大人すべての人にアートの素晴らしさを伝えたい!体感してほしい!
そんな気持ちで毎日奮闘しています。

現在、結果的に幅広く、多くの方とアートを通じて接する機会が増えたことをうれしく思います。
こども芸術学科で学んだことも含め、今までの自分が学んできたこと全てがつながっているのです。
学科の柔軟さやその雰囲気の中で学んだ事が全て私の財産となっています。
本当にこども芸術学科で学べてよかったなあ、と思います。

現在イルフ童画館では「梶山俊夫展」と「武井武雄の描く西洋の寓話と昔話」が開催中です。
年5回展示替えをしていますので、詳しくはHPなどでチェックしてみてください。
みなさんぜひ遊びにきてくださいね! www.ilf.jp

齋藤正惠

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(浦田雅夫/子ども家庭福祉・心理臨床)

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