- 2015年5月16日
- 日常風景
隠岐郡海士町ではたらく ―卒業生インタビュー
ゴールデンウィークの休暇も兼ねて、
スタッフの竹内と鈴木(とASP学科スタッフの加藤さん)とで、
海士町(あまちょう)で働く卒業生の谷本健太くんを訪ねました。
谷本くんは、今年の春にクリエイティブ・ライティングコースを卒業し、
4月から、海士町役場で集落支援員として働きはじめたばかりです。
離島での暮しぶり、はじめての仕事など、
海士町観光のあい間に尋ねてみました。
集落支援員としての仕事
いまは海士町の役場で集落支援員として働いています。
ただ、実際のところは公民館の仕事が中心で、ほかの支援員のように外に出ることはあまりなくって、事務のようなことをしてます。
「子供ダッシュ村」っていう役場の企画の募集チラシをつくったり、地域の子どもたちや保護者の方とイチゴ狩りに出かけたり、畑体験をしたりしてます。当日も一緒に行きますが、その準備として畑を持っている人に連絡して、日時を決めたりだとか、そういうことをやってますね。
あと、「チャレンジデー」という企画で、夏になったら、隣の松島という島にキャンプに行きます。無人島なんですけど、自給自足で、トイレも自分たちでつくったりするそうです。小学生の高学年の子たちが参加するんですが、スタッフとして僕とかも行って、基本的に子どもたちだけでチャレンジするのを見守るといったことをやります。
ほかには、「後鳥羽人(ごとばびと)人材バンク」っていうのも担当しています。
そういえばこんなことが得意な人がいるぞ、っていうふうに、まずリサーチをして、
それから、先輩と同期と3人で島をまわり、7人くらいの方を訪問しました。
ロクロや短歌、釣り、サッカー、あと名前は忘れましたけど輪投げみたいなスポーツとか、氷鬼(こおりおに)という遊びとか、そういうことが得意な人たちの家に行って、登録しませんか、とお誘いするんです。
それで登録してもらえたら、今年はこんなことが得意な人たちが集まりましたよーって一覧を出すんですよ。それを見て、興味を持った人が5人以上集まったら、日時を決めて開催することになります。集まらなければ開催しないこともあります。
地区を分けずに、人と人との交流を図るのが目的なんだと思いますよ。ちょっとした才能を活かしてもらえるし、学びの機会にもなるし。公民館はあくまで、区民の人たちの活動をサポートするという位置づけなんです。
あとは、「公民館だより」の記事を取材して書いたりしています。さっきも言った、子どもダッシュ村とか、いろんな事業に行って、写真を撮ったりしながら、それを記事にまとめます。それから、公民館の仕事ではないけれど、地区ごとの広報誌を出しているところがあって、僕が住んでいる北分(きたぶ)というところも広報誌を出しているので、僕もメンバーに入らせていただくことになりました。やっぱりクリエイティブ・ライティングコースを卒業しましたという話になると、じゃあ記事とか書けるんやねえと言われますし。学んだことを活かそうと思います。なんて(笑)。
さいしょにも言いましたが、
僕は、集落支援員ということで採用してもらったんですが、
どちらかというと公民館での仕事が主になっています。
本来、集落支援員っていうのは、その地区の人びとの自立的な活動をサポートするんです。
集落支援員たちが何かイベントを企画して、区民の人たちに参加してもらうんじゃなくて、
区民の人たちが自分たちの地域、地区のことを考えて何かをしたい、というときにそれをサポートします。
だから、それぞれ担当している地区に出かけて、集落調査などを行ない、
必要なサポート、たとえばお祭りの準備だとか、古道具の引き取りだとかをします。
この4月は、集落支援員の活動場所の引越しで忙しかったので(※公民館からアママーレという場所へ移動しました)、これから本格的に活動が始まるんだと思います。
海士町は総合振興計画のおかげで、IターンやUターン者が増加しているんですね。
そうした人たちが活動してくれているので、集落支援員が必要となる場面が減ってきたという状況もあるみたいです。
だから、純粋な集落支援員として活動している人もいれば、
僕のように公民館や学芸員を兼務しているという集落支援員もいるんです。
海士町に来た理由
大学で募集説明会があって、それに参加したのがきっかけですね。
僕のお父さんが小豆島出身だっていうこともあって、小学生の頃とかはよく夏に小豆島へ行ってました。
説明会で海士町のことを知ったときに、なんとなくですけど、ちっちゃい頃に知っていた田舎の暮しに似てるなあ、ちょっと行ってみようかなあって、単純にそう思いました(笑)。同じ離島として興味もありましたし。
それで実際に見てみたいなと思って、友達と一緒に下見に行って、
で、行った結果、すごく良かったんです。
海がものすごく近くて、まわりはみんな海だし、風景も綺麗だし、
島を歩いてたら皆さん挨拶してくださいますし。
仕事については、正直あんまりよく分からなかったんですけどね(笑)。
集落支援員の方々とも会いましたし、公民館のなかも入りましたし、
いろんな人と話をさせてもらったんですけど、あまり分かった! っていう手応えはなかったんですよ。
ただ今日はどこどこへ行って、チラシを配ったよっていう話を聞きながら、
なるほどなーと、面白そうだなと思いました。
配達ができるのはいいなー、やってみようかなと(笑)。
中央公民館には図書館も付属してるんですが、二ヶ月に一回くらい、本の配達に出かけたりもします。
むこうの公民館に届けて、そこでちょっとお茶したりするんですよ。
そこでおじいちゃんやおばあちゃん達とお話したりして、
皆さんとっても元気で、いろいろと面白い話を聞かせてもらったりします。
そういうのが、いいなーと。
だから、単純に、直感でいいなと思って来たという感じです。
これからのこと
まずは、いろんな事業を準備して、参加してもらって、記事にして、という
いまの仕事にもっともっと慣れていきたいです。
そうしたら、土日の休みをつかって、なにかひとつ自分で企画したイベントとかしたいです。
場所はあるし、たとえば製本なんかを。
図書館にもけっこう良い小説がたくさん入ってるんですけど、
もっと充実させたいなとも思っています。
あと、恥ずかしいんですけど、後鳥羽人人材バンクに登録しています。
「小説作法」という内容で・・・(笑)。
いや、いちおう登録しているだけなので、実際に事業があるかどうかは希望者がいないと、なんですけど、
僕自身も勉強しようという意味も込めつつ、自分が学んできたことを皆さんにも伝えられたら、
それがまず自分の最初の一歩かなと思うので。
今はまだここへ来て1ヶ月なので、手探り状態です。
とにかく、海士町って、住めば住むほど良いところやなって感じてます。
面白い人がたくさんいるし、もっともっと魅力があるんじゃないかと期待してるんです。
将来は具体的にどうしようかっていうのはないんですが、
海士町から出ようとも思ってないですね。
そんな感じで頑張っていくので、また遊びに来てくださいね。
家も広いので、ぜひ泊まってください。
谷本くんは、ドライブしながら島のことを紹介してくれました。
泊まってくださいと言われた家も訪れましたが、とても立派な家なのに、
ぜんぜん掃除や片付けをしていないので、今度来るときまでに片付けるように言っておきました(笑)。
私たちは民宿に宿泊しましたが、島の人たちとバーベキューをしたり、
釣りやスナックに連れて行ってもらったり、
そこで出会った隠岐國学習センターの人たちのご好意で、
海士町の教育取り組みをご紹介いただいたり、
海士町の皆さんにたいへんお世話になりました。
皆さん、ありがとうございました。
(スタッフ・竹内)