情報デザイン学科

【職員紹介】特別編:吉本和樹さん

「情報デザイン学科をもっともっと知ってもらいたい!」

ということではじまった、インタビュー企画の夏休み特別編!!

 

今回は、情報デザイン研究室スタッフの吉本和樹さんのご紹介です。

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京都造形大では、各学科の研究室ごとに”副手”というサポートスタッフが勤務しています。

副手のおもな仕事は、ふだんの授業や学科イベントの準備に加え、

学生生活のサポートやこの学科ブログの更新などなど…

他の大学では”助手”と呼ばれるポジションに近いかもしれません。

 

情報デザイン学科では6名の副手が勤務していますが、

吉本さんは唯一の男性スタッフでもあります。

広島県出身の吉本さんは、普段は写真を使った制作を行いながら、

仕事のときはいつも笑顔で場を和ませてくれる優しいお兄さん的存在です。

 

さらに、今回の学生インタビュアーで留学生の 常(じょう)くんも

いつも笑顔を絶やさず、制作に打ち込むナイスガイです!!

 

副手と学生、立場は違えど、故郷を離れて情Dで頑張る二人の会話をお楽しみください。 

(吉本さんの詳細なプロフィールはこちらからご覧いただけます。)

 

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話し手|情デザイン学科 副手 吉本和樹(写真 左)

インタビュアー|情報デザインコース 3年生 常程(写真 右)

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常(以下、J吉本さんは副手として働いて、今年で何年ですか?

 

吉本(以下、よ)9月でちょうど3年になります。僕も情Dの卒業生なんですけど、卒業してすぐに副手になったわけではありません。高校を卒業した後、まず2年間写真の専門学校に通って、3年次編入という形でこの大学に入学しました。2007年に卒業してからは友人と起業をしたり、いくつかのバイトを経て、2010年IAMAS情報科学芸術大学院大学に進学。その大学院を卒業して、2012年からDの副手として働き始めたんです。

 

J:副手になるまで、いろいろ経験されてたんですね。では今の仕事内容を教えていただけますか?副手のみなさんはずっと先生方のサポートや学生たちのフォローをしているように見えるんですが、それ以外にも僕たち学生の知らない仕事がたくさんあると思います。そのあたりも含めて、実際のお仕事を知りたいです!

 

:常くんが言ったみたいに、副手の仕事の基本は、先生たちの授業に合わせて準備をすることです。事前に準備物をそろえたり、教室を探したり。プラスアルファで、それぞれの副手の専門分野を活かした仕事もしています。ここがみんなからは見えにくい部分かな。僕は写真が専門だから、いつもカメラを持って歩いて、授業風景やみんなの展示、オープンキャンパスみたいなイベントとか、あるいは学科広報物に使われる写真も撮っています。

副手は教員ではないし、事務局の人でもないし、なんだか不思議な立場なんですよ。授業自体に毎回入るわけではないけど、黒子みたいに後ろにいる時があったりするでしょう?つねに授業がスムーズに進むよういろんな配慮をしています。家政婦みたいですね(笑)

 

J:学生たちにとっては最高の家政婦さんですが、なんだか大変そうですね。今まで副手の仕事をしてきて楽しかったですか?それとも…?笑

 

:楽しいときもあったし、大変なときもありました。でもトータルでは面白いですね。なかなかできない仕事だと思っています。写真とデザインは近しい分野ではあるんだけど、やっぱりデザインは自分の専門分野ではない。そういう意味でも、とても勉強になっています。大変なのは事務作業ですね。副手になるまでは、写真の仕事や色々なアルバイトの経験があったんですけど、事務の仕事はやったことがなくて。慣れるまで時間がかかったな・・・。僕はデスクに座っているよりも、展示の準備をしたり、何かを作ったり、みんなと一緒にどたばたする方が好きなんですよね。

 

J:なるほど。確かによく学校のいろんなところで吉本さんが忙しそうにしている姿を見かけます(笑)実をいうと、副手さんってなんか距離感をつかめない感じもあるんです。たとえば、先生は毎日授業でいろいろ教えてくださって、勉強やプライベートの相談にも乗ってくれる存在。じゃあ副手さんは?って。でも、だからこそなのかな。”おじちゃん”みたいに、いや、”お兄さん”みたいにすごく親しみのある感じで(笑)、いろんな話ができます。

 

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:先生と副手の関係は演者と黒子に近い気がします。演者である先生たちの後ろから、黒子である僕たちはいろんなことを配慮して動いている。学生たちとの関係はまた違います。例えば課題提出の締め切りといった、授業運営上、大切なことに関しては厳しくカチッと締めるんですけど、そうじゃない時にはやわらかく接したいなと思ってます。なんかフラフラしたおっさんでいたいなって。もうね、”よしもとおじちゃん”でいいんですよ(笑)

 

J:僕は”よしもとおじちゃん”好きですよ!(笑)副手という立場で学生と接するうえで、なにか学生に言いたいことはありますか?

 

:「早起きは三文の徳」。朝に制作をするのが結構いいんですよ。おすすめです。寝坊もなくなるし、授業にも遅れない(笑)

 

J:うまいこと言いますね!では、副手としての吉本さんを知ったので、プライベートの吉本さんについてお聞きします。まず、吉本さんの出身はどこですか?

 

:僕は広島県の竹原市出身です。

 

J:おぉー!!!僕は広島がすごく好きです。最初に日本に来たとき、語学勉強のために2年間住んでました。

 

:竹原には来たことある?

 

J:ありますよ!サイクリングが大好きだから、朝早く起きてロードバイクに乗って一日往復120キロぐらい走りました。ちょうど竹原国際芸術祭が開催されていた時期でした。

 

:すごい、よく行ったね!今日は僕の地元の写真を持ってきました。

 

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J:わぁ、きれい!懐かしいな。たしか竹原は「安芸の小京都」と呼ばれていますね。

 

:そうです。これは僕の小学校の時の通学路。古い道の両サイドは民家です。この周辺は文化施設がたくさんあるんです。昔の旧家を残してあって、電気は地下の電線を通っているから、電柱もない。景観を残してうまく観光地にしているんですよね。

 

J:すごくきれいな家ばかりですね。昔はお金持ちの家だったのかな。

 

:ここは塩を作る街だったんですよ。貿易で盛んだったからいろいろな商家であふれていて。常くんは何回ぐらい竹原に来たの?

 

J:サイクリングで行った1回だけです。竹原国際芸術祭を見に行ったら、芸術祭だけじゃなく竹原市という街自体もすごくいいと思ったのを覚えてます。たくさんの古い民家の中に現代アートの作品が並んでいて、現代と昔がうまく融合さてれていて、最高でした。そのあとに西方寺普明閣というお寺にも行きましたよ。お寺自体が山の上にあって、寺から竹原の街並みを一望できました。竹原の街の方からもその寺がよく見えて、すごくよかったです。

 

:そういう芸術祭はときどき開催されていて、僕の母は地元の図書館に勤めているから、芸術と関係あるイベントがあると教えてくれたりね。芸術と街づくりを絡めようとしているみたいです。常くんは留学生だけど、実家はどういうところなの?

 

J:中国の内モンゴル自治区のフフホト市という、内モンゴルの首府の都市です。よくモンゴル国と間違えられますけど、もともとは内モンゴル自治区もウイグル自治区も別の国で、今ではどちらも中国の一部です。自治区というのはつまり地方で自治を行っていて、多民族共存なんです。内モンゴルといったらよく田舎だと思われるけど、実際はすごく栄えている街ですよ。中国の都市発展速度ランキングでも10位に入ってます。

 

:日本では一般にモンゴルと言ったら、草原のイメージですよね。

 

J:草原ももちろん有名ですよ。夏になるとどこを眺めても草原が広がっていて、空も青くてとてもきれいです。でもそれだけではなくて、街並みもすごく立派なんです。実は中国北地方の人たちもそれを知らなくて、「あなたもしかして毎日馬に乗って学校へ通ってるの?」と聞かれたこともあります(笑)僕は街で生まれ育ったけど、実際に草原で生活している遊牧民族の人たちは、今でも馬を使っているみたいですけどね。

 

:へえー!すごいところから来たんだね!なんで日本に来ようと思ったの?

 

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J:やっぱり日本が好きというのが一番大きな理由ですね。

 

:日本のどこが好きなんですか?

 

J:国の雰囲気もやさしい人たちも、もう全体的に好きです。そもそも、子供の頃から日本のものづくり、アニメ、漫画やゲームに惹かれていました。自分はずっと絵を描きつづけてきたから、将来的に芸術やデザインをやりたいと思って、子供の頃に憧れた作品の本場である日本への留学を決めました。

 

:どんな漫画やゲームが好きなの?

 

J:最新のものよりちょっと昔のものが好きですね。「蟲師」「墓場鬼太郎」や「タイムボカン」とか。ゲームは本当に何でもします。テレビゲーム、アーケードゲームやPCゲーム、好き嫌いはなくて、あらゆるジャンルのゲームをやっています。いまデザインをやる上で、見たり遊んだりしてきたものは全部引き出しになってるなと思います。

 

:なるほど、そういう経緯があって日本を選んだんだね。常くんの面白い人柄の理由を垣間見た気がします(笑)

 

J:吉本さんの趣味はなんですか?

 

:趣味・・・、笑うことかな(笑)いつもしていることは写真だけど、趣味ではないしね。

 

J:写真といえば、今年の夏にギャルリ・オーブで「視点の先、視線の場所」という二人展をしましたよね。僕も見に行きました。吉本さんは縦1.5メートル、幅2メートルぐらいの迫力のある組み写真とか、写真を使ったインスタレーションを展示されていて、すごく印象的な空間でした。写真の撮影場所は全部広島の被曝地周辺なのに、モチーフは広島の典型的なものではなく、植物であったり、原爆ドームを撮っている人たちのうしろ姿であったり。よくあるイメージを直接的に扱うわけじゃないんですね。なんというか、広島を側面から見ている感じがしました。どういう意図だったんですか?

作品01 作品02

:僕は高校卒業までずっと広島で生まれ育って、平和教育を結構たくさん受けてきたんです。そういう教育のせいなのか、広島ってなんだか独特な空気感があるんですよ。86日に毎年行われる広島平和記念式典のイベントとか、小学校でも平和集会があったり。常くんが広島市内で2年間暮らしただけでも、そういう独特な空気を感じたんじゃないかな。僕は市内から離れた街で育ったけど、それでもそういう空気感を意識せざるを得ない環境でした。

大人になって少し離れて広島っていう街を考えてみたときに、街全体がひとつのイメージに固着している気がしたんです。小学校のときに教育として押し付けられた「どうしてもこの見方しかしちゃいけない」っていうイメージに縛られているというか。そういうイメージにプレッシャーや違和感を覚えるようになった。街全体の雰囲気としてそういう風に感じさせる場所になっていると思うんですよね。

写真というメディアと出会ったときに、これなら客観的にモノゴトを捉えられると思ったんです。それで広島を撮ってみたんですけど、やっぱり客観的に撮れなくて、印象のなかにある「ヒロシマ」を撮ってしまう。今もいろいろと模索しながら、少しずつ視点を変えて広島を撮ってみています。

 

J:視点を変えてモノゴトを見ると、いつも見慣れているものの違う顔も見えてきますもんね。モノゴトを客観的に捉えるだけなら、文芸、絵画、立体、動画とか・・・表現方法はいろいろあると思いますけど、吉本さんはどうして写真を選んだんですか?

 

:もともと高校生の時には映画を撮りたくて、映画を勉強したいなと思ってたんです。でも絵は上手くないから、絵コンテを作るときに写真を使ってみた。当時は家に親父の古いフィルムカメラがあって、それを使ってましたが、ぜんぜん思いどおりに撮れなくて。試行錯誤しているうちに、面白い!と思い始めたのがきっかけでしたね。

なぜ写真をつづけているのかは、ふだん撮っている時にいつも考えているけど、明確な答えはまだ出てないんです。でも写真の切り取る時間が一瞬で「その時そこに行かないと撮れない」というのはいいなと思います。写真は静止画だけど、いろんな情報が入ってますよね。一枚の写真のなかにどれくらいの情報量を入れるか、とか、また被写体だけでなく、その写真自体の在り方、ピクセル数やピントの位置なんかも微妙な差異で意味性が変わってくる。そこには写真だから切り取ることができる、独特のモチーフの存在感があると思っています。

 

J:なるほど。少しわかる気がします。僕も最近Canon EOS 6Dを買っていろいろ撮ってるので、また作品を見て欲しいです!

 

:ぜひ!常くんは写真の授業もすごく真面目に受けてるもんね。楽しみにしています。

 

J:話はガラッと変わりますが、吉本さんが柔術をやっていると聞きました。

IMG_8532_3:僕はサッカーやバスケみたいな団体競技が苦手でね。高校のときから空手をやってたんだけど、腰を痛めてしまって、長い間できなかったんです。また格闘技をしたいなと思って、1年半程前からブラジリアン柔術を習っています。今はまだ白帯なんですが、黒帯を締められるようになるまで10年ぐらいかかると言われてますね。

 

J:帯は何色あるんですか?

 

:5色あって、1色上がるのに大体2年から3年かかります。

 

J:むずかしいんですね!僕もスポーツが大好きで、サッカーとか水泳と色々やっています。

 

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:常くんの筋肉、すごいもんね。足も長いし(笑)

 

J:これは僕が子供の頃に、僕の足が長くなって欲しいからって母が毎日ひっぱってくれて、今みたいになったんです。

 

:えっ?!!すごいね!僕も子供が生まれたらそうするわ!!!

 

J:うそですけど(笑)

 

:うそかよ!内モンゴルではそうなのかと思った(笑)

 

J:すみません(笑)でも今回はとっても楽しかったです。なかなか二人で話す機会がなかったですからね。

 

:そうですね。僕もゆっくり話ができて楽しかったです。

 

Jまた今度いろいろ教えてください!

 

:ぜひぜひ!

 

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記事/常 程

写真/藤田 彗光

 

《 吉本さんに聞いた!  20歳のときに読んでおきたかった本  3選 》

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「生物から見た世界」ユクスキュル 著(岩波書店、2005年)

 

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「秘密の知識」  David Hockney 著(青幻舎、2010年)

 

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「落語de枝雀」桂枝雀 著(筑摩書房、1987年)

 

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先生たちとはまた違う目線で学生を見守る吉本さんは、

ちょっと年上の愉快な先輩であり、頼れる親戚のお兄さんのようでもあります。

 

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吉本さんの他にも情D研究室では個性的なスタッフが働いています!

情D学生のみなさん、なにかあれば気軽に相談しに来てくださいね☆

 

この企画は、約ひと月に1回のペースで更新する予定です。

次回もぜひご期待ください!

 

◉ 過去のインタビュー記事はこちら↓

【教員紹介】1 見増勇介 先生(情Dブログ新企画!!!)

【教員紹介】2 都築潤 先生(前編)(後編)

【教員紹介】3 中田泉 先生

【教員紹介】4 伊藤直樹 先生

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