- 2015年10月22日
- 日常風景
はじめての美術展―「マグリット展」を観る
10月1日、制作基礎Ⅱの授業で京都市美術館にて行われている「マグリット展」へ行きました。
なんでもこのマグリット展、京都では実に44年ぶりの開催になるそうで、
何も知らなかった私は危うく絶好のチャンスを逃すところでした。
はじめにアートプロデュース学科の卒業生で京都市美術館学芸員の中原星登さんが、
鑑賞のマナーを教えてくださいました。
はじめての私にはすごく衝撃だったのですが、美術展ではボールペンの使用は禁止されているとのこと。
絵を傷つけないためだそうで、美術展での当たり前を知れてひとつ大人になった気分です。
写真左が京都市美術館学芸員の中原星登さん。
いざ美術館内へ。薄暗い館内は少しも音を立ててはいけないような緊張感が走ります。
様々な種類の額縁に入った絵画と、発表年代や作品名が書かれたキャプションが規則正しく並んでいます。
順路に沿って、キャプション、絵画という順番に並べられているおかげで、
私たち観覧者はより深くその作品を楽しむことができます。
時系列に沿って作品が展示されているのですが、
入って真っ先に見る絵は1920年で一番の古株、今から95年も前の作品です。
私にはそのことがなかなか上手く飲み込めずにいました。
95年という年月は、何もかも風化しているイメージでした。しかし目の前にはそれを覆す鮮やかな色。
マグリットが何度も油絵具を塗り重ねた跡も見えます。
もっと近くで見たい! と思っても足元の柵のガードは固かった。
何度も足をぶつけてしまいました。
約1時間半という短い時間でしたが、すべて見終わる頃にはクタクタになっていました。
それくらい美術展というものは根気のいるものなのか、もしくはマグリットがそうさせるのか。
ネットでも絵画を見られる時代に、あえて美術展に足を運ぶ老夫婦、
若いカップル、大きなピアスの穴があいた厳ついお兄さん。
美術展はみんなで心を合わせて、あの画面越しでは到底伝わらない緊張感を味わう、
とても素晴らしい場所なのだと思いました。
文・牧野佐耶(文芸表現学科1年)