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2017年4月7日  日常風景

【芸術学コース】教員の仕事とは?研究調査活動について

気づけば桜も花開き、心踊る季節となりました。

みなさんこんにちは。今回は、芸術学コース教員の池野絢子が担当します。

 

さてこれまでは、主に芸術学コースの授業や行事内容についてご紹介してきましたが、

今回は、教員の研究活動について少しだけご紹介させていただきます。

 

研究活動、といってもあまりぴんとこないかもしれませんが、大学の教員にとっては、授業などの教育活動を行うだけではなく、自分のテーマの研究をして、その成果を公表することも大切な仕事の一つです。

具体的には、それまで調べたことをまとめて学会で発表したり、論文や書籍として活字化することですね。

 

私はイタリアの近現代美術を専門にしていますが、普段は日本国内で手にはいる文献をいろいろ読んで、知識を得ています。

けれども、日本国内での調査だけでは、作品を実際に見ることは難しいですし、資料収集にも限界があります。ですので、年に1回程度は、現地に調査へでかけます。

というわけで、2016年のイタリア現地調査の様子を少しだけご紹介しましょう。

 

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私が昨年訪れたのは、北イタリアのヴェローナ近郊にあるロヴェレートという都市です。ロヴェレートという名前は、ほとんどの方はご存知ないと思います。ガルダ湖にほど近い小さな街で、数時間あれば旧市街は一周できてしまうくらいの規模です。私が行った時は夏でしたが、人も少なく大変静かでした。

なぜそこに行ったのかというと、この町に国立の近現代美術館があるからなのです。三ヶ所の施設からなる複合美術館で、トレント・ロヴェレート近現代美術館、通称MARTと言います。

 

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なかなか立派な美術館ですよね。ロヴェレートにあるMARTの建物は、2002年にオープンしました。とくに「未来派」と呼ばれる運動を中心とした20世紀イタリア美術の貴重なコレクションを有することで知られています。私は最近、その未来派の画家の一人について調べていたので、この美術館にどうしても行く必要がありました。常設展は撮影可なので、じっくり作品を鑑賞しつつ、写真を撮りまくります。いくつか所蔵作品をご紹介しますね。

 

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上から、ウンベルト・ボッチョーニ《肩越しのヌード(逆光)》(1909年)、ルイジ・ルッソロ《イントーナルモーリ(雑音調整機)》(1914年、レプリカ)、カルロ・カッラ《ロトの娘たち》(1919年)です。ちなみに最後の作品については、「アネモメトリ」の「空を描く」というリレーエッセイに少し書きましたので、興味のある方は読んでみてください。

とはいえ、今回MARTを訪れたのは、美術館が所蔵している作品を見るためだけではありません。MARTは、充実した近現代美術のアーカイヴを併設していて、そちらの調査が主たる目的でした。

アーカイヴというのは、公文書や古文書を保管する施設のことですが、美術に関するアーカイヴには、たとえばある画家が書いた手紙や日記、その画家が持っていた書籍や原稿の草稿など、大変貴重な資料が保管されています。それらの情報は、有名な画家でない限り公刊されていないことが多く、研究者はアーカイヴへ行って、実物を見る必要があるわけです。施設の外観だけご紹介しておきますね。

 

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MARTのアーカイヴはコピー代が高額なので、その場で資料を読み、必要箇所をパソコンでひたすら書き写す毎日でした。私が調査に行っていた期間には、他にイタリア人研究者が2、3人、卒論か修論を準備していると思しきフランス人の学生さんが2人ほど来ていました。こんな場所が家の近くにあると、卒論の準備も捗りそうで良いですね。アーキヴィストの方も親切で、オンライン資料の使い方を丁寧に指南してくださいました。

 

アーカイヴ調査はとっても時間がかかりますし、欲しい情報が手に入らず徒労に終わることも多いのですが、美術史も「歴史」を相手にする以上、資料を地道に読むのはとても大切な作業なんです。とくに手紙や日記資料は、手書きなので読むのは一苦労なわけですけれども、画家の「声」に触れられるので、それまで全然気づかなかった驚くような発見があったりします。

 

さて最後に、今回ロヴェレートとあわせて訪れた都市ヴェローナの様子をご紹介して終わります。ヴェローナはロミオとジュリエットの舞台になったことで有名な街ですが、素晴らしい教会や美術館を有する町でもあります。

 

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上から、アレーナ(円形闘技場)前広場の様子、サンタナスタシア聖堂のピサネッロ《聖ゲオルギウスと王女》(1433-1438年)、サン・ゼノ聖堂です。夏のあいだ、ヴェローナのアレーナでは夜間に野外オペラが開かれるため、広場にはオペラ用の大道具が置かれていました。ちょっと不思議な光景です。また教会のフレスコ画は、現地でしか見られないものがほとんどですので、この機会を逃さず見て回ります。これも勉強ですね。

 

そんなわけで今回の調査旅行も無事に終了しました。イタリアの旅はハプニングがつきものなので、見たかった作品が見られない…ということが今回もありました。でも、旅も研究も、過程を楽しむ気持ちがとても大事なのだと思います。持ち帰った資料を地道に読みながら、また、次の機会を待つことにします。

 

 

 

 

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