アートプロデュースコース

博物館実習に行ってきました!

~博物館実習報告2013 4回生佐伯香菜~

 

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佐伯香菜(ASP学科4回生)

実習場所:山口県立美術館

実習期間:2013年6月11日(火)〜17日(月)

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 私の出身地である、山口県山口市の山口県立美術館(以下、山口県美)で博物館実習を行いました。主な内容としては、職員の方による講義と、実習生が一つ作品を選んで行うギャラリートーク、週末のワークショップのサポートを行いました。

 

 山口県立美術館の取り組み 

 複数の職員の方々から「山口県美(歴史、特色等)について」「展覧会の企画について」「美術館の収集活動について」「美術館の保存修復について」「美術館の教育普及について」「地域における美術館の役割について」といった講義をしていただきました。職員の方々の美術館に関する、長期的で細かな取り組みにとても感心させられました。例えば、実習期間中に行われていた展覧会『ナント美術館名品展〜フランス近代美術の輝き〜』は、他にも4つの美術館で開催される巡回展でした。しかし、山口県美では巡回展をただの展示のハコとなって受け入れるのではなく、多くの独自のイベント(音楽会、フランスのスイーツ食事会)を行ったり、ショップの商品を開発したり、キャプションや展覧会の説明文などを、見やすいように考え直しているそうです。そうすることで、山口県美なりの展覧会への深め方が出来たり、美術館に興味のなかった人が来館するきっかけとなったり、誰にでも作品鑑賞が気楽に出来たりするのではないかと思いました。

 また、当たり前のように館内にあるショップやカフェ、17時までという開館時間も職員の方の地道な努力によるものだと知りました。これも、美術館に気軽にきてもらって、展覧会を見てもらいたいという思いが生んでいるのだと感じました。過去に行われたリニューアル工事では、以前は奥まっていた入り口を少し前に出すということがされました。このような積み重ねが「入りやすい」空気感をつくっていくのだと知り、本当に感動しました。

 

 普段と違う場での自分 

 芸術大学という空間で過ごしていることが、世間からは敬遠される存在であるのではないかと、悲観することが多かったのですが、 美術館という場で一生懸命に美術館を良くしようとする職員の方々や、ワークショップに参加される方々や、実習生達と共に過ごすうちに、美術や、美術に携わろうとしている自分の立場は、この世の多くの分野の一部でしかないのだ、と実感することができました。また、様々な分野に携わる人々が、皆共通の言語を探し続けているのではないかという認識も生まれました。自分の研究内容を他大学の人に話したり、他大学の人の研究内容を聞いたりしたこともとても新鮮な体験となりました。

 また、館内の一作品を選んで、職員の方々の前でギャラリートークをする機会もありました。自分だからこそ出来ることはないかと考え、1回生の時に授業で実践したACOP(対話型鑑賞法)を試してみることにしました。しかし、対話型鑑賞法を実践するのは約2年ぶりであり、実習先にACOP経験者もいない状況でした。期間内に出来るだけ準備をして、実際行なってみると、緊張やあせりや練習不足ということもあり、あまりうまくはいきませんでした。ですが、終わった後に「普段こんなことやってるんだね。とても楽しそうだったよ」と実習生の人に言ってもらえて、頑張って挑戦して良かったと思いました。また、他の実習生の方々も、それぞれ工夫して作品をわかりやすく説明していて、大変勉強になりました。

 

 実習生の立場と見られ方、心構えについて 

 私は実習生として美術館で1週間お世話になりました。しかし、実習生といっても、お客様から見れば、美術館職員と変わりありません。博物館実習生は、資格取得過程の一部ではありますが、社会に出る訓練でもあると思いました。

 今回、私はこの「立場とみられ方」という部分が曖昧になってしまったと思います。職員の方々からはどう見られていたのか、お客様からはどう見えていたのかという部分をもっと意識すべきでした。今回の経験を忘れずに、社会に出た時に活かしていきたいと思います。

 

 これからに向けての抱負 

 美術館や美術というものに、近寄り難さを感じていた時に、美術がより日常に近い部分にある山口情報芸術センターとBEPPU PROJECTにインターンシップで行かせてただいきました。(過去の報告記事はこちらから)

 しかし、様々な工夫をしている美術館を訪れたり、今回山口県美で実習を行っていったりする中で、美術館の全てが「近寄りがたい」とは、言い難いのではないかと気付きました。どこで美術の普及活動が行われているかということだけではなく、何が行われているかということが重要なのではないかと改めて考えるようになりました。

 今回の実習を通して、今までよりさらに「美術を多くの人々にどのように普及することができるか」ということに興味がわきました。今後、さらに多くのこのような施設、団体の現場を実際に見に行きたいと思いました。
 

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