2019.08.30

【2019年8月30日】開学30周年「グランドデザイン2030」についての学長コメント

在学生の皆さまへ

 

この度、本学の開学30周年記念事業として発表した「グランドデザイン2030」の中にある「京都芸術大学」への名称変更(2020年4月1月より)について、新聞、テレビなどの報道、SNS上でさまざまな形で情報が発信されました。それらについて、多くの皆さんからご意見をいただき、またネット上でのご発言を読ませていただきました。大きな関心を示していただいたことに深く感謝いたしております。

私は、国立、公立、私立の大学の運営や経営にそれぞれに関わってきました。大学について考えるとき、それぞれの特徴を大切にして生かすことを考えてきました。国立大学は、予算の削減で危機に立たされています。公立大学は自治体の方針で特徴が決まります。私立大学は、私人の寄附財産等により設立されたものであることに伴い、その運営を自律的に行いますが、高等教育を担うので国の交付金が支出されます。

また、各私立大学には、多様化する国民のニーズに応じた特色ある教育研究の推進が求められており、それぞれが建学の精神に基づく個性豊かな活動を積極的に展開しています。つまり、私立大学においては、「建学の精神(理念)」が非常に重要な意味を持ちます。

2013年、私が京都造形芸術大学の学長に就任した直後、「藝術立国之碑」が学園内に建立されました。創立者である徳山詳直は「芸術を学んだ学生の力で人類の平和に貢献する」ことをめざしこの学園を作りました。この理念は「藝術立国」と「京都文藝復興」に残されており、「京都」と「芸術」というキーワードは、本学のさまざまな活動に反映されています。

1977年に「京都芸術短期大学」で開学した本学は、1991年の4年制大学設置申請時には、「京都芸術短期大学」という名称に沿って「京都芸術大学」という名称で大学設置申請を行うことも検討しておりました。1991年当時の大学の学科構成は、「芸術学科」「美術科」「デザイン科」の3学科と限定されたものでしたが、現在は学科数も17学科に増え、美術工芸やデザイン領域はもとより、マンガ、アートプロデュース、文芸表現、こども芸術、映画、舞台芸術、歴史遺産、芸術教養などより広義の「芸術」領域の教育・研究に、多くの学生の皆さんが取り組んでいます。今回の名称変更は、このような、現在及び将来の本学の教育・研究活動に相応しい名称とすることを目的として、「京都芸術大学」の名称に変更するものです。

本学は、2019年6月20日に文部科学省より、名称変更に係る事前相談の結果について「名称変更の手続きで可能」との伝達を受けてから、直ちに京都市及び京都市立芸術大学に対して面談をお願いしました。7月9日に京都市役所を訪れ説明を行い、7月12日に京都市立芸術大学へ説明に伺いました。その後も繰り返し面談や書簡にて名称変更の経緯や趣旨等についてご説明させていただいていますが、残念ながら未だご理解をいただけていない状況です。本学としては、もとより無用な法的紛争を望むものではなく、引き続き説明の機会を設けさせていただきたいと考えております。

学生の皆さんから、略称などについて、さまざまなご意見があることに感謝しております。この点については、皆さんと対話しながらより良いアイディアを一緒に考えていければと考えています。

 

2019年8月30日
京都造形芸術大学
学長 尾池 和夫

 

創立者である徳山詳直は「芸術を学んだ学生の力で人類の平和に貢献する」ことをめざしこの大学を創りました。
皆さんに改めて本大学の創立者・徳山詳直の想いをご覧いただきたいと思います。
また、2019年8月25日(日)京都新聞『天眼』に寄稿した『大学の基本理念とは』をぜひご覧ください。

2012年4月4日『徳山詳直理事長(当時)スピーチ(英訳付) / 京都造形芸術大学入学式』

将来構想「グランドデザイン2030」も併せてご一読ください。