

レンズの先には2組のスプーンとフォーク。
30年前は私と妹のものでした。ずっとしまい込まれていて、最近では妹の子どもたちのお気に入りに。さりげなく、引きつがれていく家族の歩み。だけど私が卒業制作でこのテーマにたどり着いたのは、ずっと後のことです。入学したての私は、あわてて買った人生初の一眼レフを手に、撮りたいものもなく、ただ途方に暮れていました。人並みに旅行先でカメラを構えて、「もっとうまく撮れたらいいな」と思っていた程度の写真歴。京都で、芸大で、通信で、と自分にとって魅力あるものがそろったこの大学で、たまたま選んだコースだったんです。
スクーリングで、みんなの被写体に対する熱い思いを聞くたび、「私には何もない」と実感。とにかく課題のために撮ろう。ひとつひとつ技術を覚えよう。そうするうちに見えてきたのが、「家族のモノ」でした。家族に喜んでもらうため、家族のモノを撮って1冊の本にする。お茶の間をスタジオとする素人には難しすぎるゴールに、途中で何度もあきらめかけて。だけど先生の言葉に救われ、最初に思い描いたカタチを実現できました。見つめて見つめて、答えを発見するよろこびを知りました。ありがとう。この言葉は、卒業制作につけたタイトルであり、先生、学友、家族みんなへのメッセージです。


























