芸術学科

歴史遺産

HISTORICAL HERITAGE

ほんものに触れる学びで、
文化遺産の真髄を見つめる

伝えられてきた「もの」、守ってきた「こころ」。
過去から託されたものを確かに未来へと引き継ぐために、
いまある私たちの「文化遺産」をあらためて見つめ直します。

コースの特長

01 歴史の宝庫「京都」で学ぶ。

京都という地の利を生かし、現地を実際にあるいて重層する歴史を読み解く学外スクーリングを数多く実施。普段は入れない場所を訪れ、京文化の新たな一面を知ることも。

02 ほんものから学ぶ歴史。

古文書、掛け軸、巻子、仏像などの実物に触れ、読み、調査する授業が豊富。膠や漆など伝統的な素材を使った修理作業も学べます。さまざまなほんものに触れることで、「知りたい」「読み解きたい」という意欲がわき、学習がすすみます。

03 古きを学び、新たな知を開く。

歴史・美術史・文化財保存など。各分野から総合的に学ぶことで、「文化遺産」についての理解や考えを深められます。

京都+スクーリングまたは東京+スクーリング、オンラインだけのスクーリング受講で卒業可
  • ※遠隔のみで卒業の場合、受講日程が限定されることがあります。
  • ※テキスト科目の課題提出は郵送指定となることもあります。
  • 学外授業

《学外授業の過年度例》
東寺、北野天満宮、比叡山延暦寺、建長寺、大原三千院、ほか。

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学習内容や学習の進め方、入学に関する疑問を解決!

学びのステップ

STEP1

ほんものに触れ、
ほんものの歴史を感じとる。
まずは、日本の歴史文化を学ぶうえで、理解しておきたい基本的なことがらを学習。さらに、京都や鎌倉という地を生かしたスクーリングを通して、ほんものの歴史に触れ、歴史遺産を研究する意義や目的を体感的に学びとります。

歴史遺産フィールドワーク スクーリング科目例 / 歴史遺産フィールドワーク現地を実際に歩いて重層する歴史を読み解き、実感を通して歴史を考えます。

STEP2

文化財の基礎知識を学び、
文化財保存について考える。
生活、文化、芸術などをいろどってきた「もの」が文化財として遺されてきたのは、単なる偶然ではありません。文化財の素材や構造、環境を知り、文化財保存について、実践的に学びます。

文化財と保存修理 スクーリング科目例 / 文化財と保存修理紙の文化財(東洋書画、古文書等)の保存修復について、簡単な修復作業体験を交え、深く理解します。

STEP3

歴史の扉を開くための
研究方法と技術を学ぶ。
歴史を研究するうえで不可欠な「史料を読み解く力」をはじめ、古文書の具体的な調査方法のほか、美術資料や民俗資料の取り扱い方法などについて、実践的に習得していきます。

美術品の調査方法 スクーリング科目例 / 美術品の調査方法巻子(巻もの)や掛け軸、仏像の取り扱い、写真撮影の方法など。実際の美術資料を使って、調査の基礎を体験的に学びます。

STEP4

自分にとって大切な歴史を、
掘りあてる。
身近な歴史や、地元の文化遺産など、題材は自由です。自分にとって大切なテーマを掘りさげ、研究成果を卒業成果物にまとめます。

集合写真

入学~卒業までのステップ

4年間で学ぶことがら

  • はコース専門教育科目、は芸術学科専門教育科目(アートライティング、芸術学、文芸、和の伝統文化コースと合同で開講)です。

2021年度 卒業研究タイトル例

  • 古代北東北の蝦夷の一考察
  • 鎌倉時代における愛知県での鉄仏造立の背景
  • 史資料から読み解く江口城の姿―三好長慶が勝利した江口の戦いの址―
  • 《輪舞図屏風(大和文華館蔵)》の構造を読み解く
  • くらやみ祭の大太鼓―祭の中止と大太鼓の音がもたらしたもの―

1年間の学習ペース

【1年次入学】専門教育科目の1年間の履修スケジュール例

【3年次入学】専門教育科目の2年間の履修スケジュール例

学びの時間割

時間割

鈴木さん(3年次編入学)の単位修得例

1年目
32単位(T12/S13/GS7)
2~3年目
49単位(T26/S15/GS8)
4~5年目
27単位(T10/S10/GS7)
  • Tテキスト科目
  • Sスクーリング科目
  • GS藝術学舎科目

図書館等での資料集めは、2~3科目ぶんをまとめて。メリハリをつけるため、学習中も60分ごとにタイマーでベルを鳴らしていました。在学中に受けた「藝術学舎」講座がスクーリング科目の単位にも。卒業後も俳句関連の講座を受講しています。(図:在学時の1日/平日)

鈴木 春美
鈴木 春美
東京都在住
2017年度卒業

学費の目安

入学選考料・入学金・保険料 50,140円
授業料 231,000円 × 4年間 = 924,000円
スクーリング受講料 96,000円~315,000円

卒業までの合計金額の目安(4年間)
1,070,140円~1,289,140円

  • ※スクーリング受講料は、科目の種類や開講場所によって料金が異なります。
入学選考料・入学金・保険料 50,140円
授業料 231,000円 × 2年間 = 462,000円
スクーリング受講料 96,000円~252,000円

卒業までの合計金額の目安(2年間)
608,140円~764,140円

  • ※スクーリング受講料は、科目の種類や開講場所によって料金が異なります。

卒業後、通信制大学院 芸術学・文化遺産領域で
学びを深めることもできます。

大学、短期大学、専門学校等をすでに卒業している方は、京都芸術大学通信教育部(大学)歴史遺産コースに3年次編入学ができるため、最短2年間で専門分野の基礎を身に付けられます。大学入学から大学院修了まで、最短4年間で学ぶことができます。
また、通信教育部卒業生は大学院入学時に入学金10万円が免除されます。

  • 書類審査

    書類審査
    (大学等の卒業証明書など)

    最短2年

    3年次編入学の出願資格に
    該当しない方は最短4年(1年次入学)

    通信教育部
    歴史遺産コース

  • 書類審査

    書類審査
    (指定提出物など)

    最短2年

    大学院
    芸術学・文化遺産領域

  • 角帽

芸術学・文化遺産領域

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学習内容や学習の進め方、入学に関する疑問を解決!

教員メッセージ

加藤 詩乃専任講師

日本の歴史遺産の未来は、
わたしたちに委ねられています。

加藤 詩乃
Kato Shino
専任講師

青山学院大学文学研究科比較芸術学専攻博士後期課程修了(博士〈比較芸術学〉)。日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、青山学院大学文学部比較芸術学科にて助手を務めたのち、 国文学研究資料館でプロジェクト研究員として古典籍のデータベース化に携わる。専門は日本美術史(特に書跡)。日本古代における中国、朝鮮半島の文字文化の受容、弘法大師空海の書風の継承などを中心に研究活動を行う。論文に「空海の雑体書―空海風の書の成立とその継承―」『美術史』第184冊(美術史学会、2018年)、「東寺所蔵『真言七祖像』の再検討 ―その名号及び行状文の執筆者をめぐる問題について」『紀要』59号(青山学院大学文学部、2018年)など。

「嵯峨天皇と書―空海の書道観と嵯峨天皇の書表現について―」『仏教美術論集6組織論―制作した人々』(津田徹英編、竹林社、2016年)

「嵯峨天皇と書―空海の書道観と嵯峨天皇の書表現について―」『仏教美術論集6組織論―制作した人々』(津田徹英編、竹林社、2016年)

入学志望者へのメッセージを。
日本の「もの」と「こころ」を学ぶ。
本コースでは、歴史遺産を理解するための方法を学び、自らの手で調査研究をおこない、未来へ伝えていくことのできる人材を育んでいます。今日まで遺されてきた歴史遺産は有形・無形に関わらず、「もの」とそれらに伴う人々の「こころ」の両輪で成り立っています。例えば、寺社を訪れたとき、お堂や門、鳥居などに掲げられている「扁額」をご覧になったことはありますか?寺社やその建造物の名称などが書かれた額です。ついつい見過ごしてしまうような存在かもしれませんが、よく見ると、独特な書体で書かれているものがあります。実はそうした特別な書体には、「邪気を払うため〈鬼書〉」や「火難を避けるため〈垂露〉」などといった意味が込められており、書を家業としていた家のなかで古くから秘伝として大事に伝えられてきたものです。ここに私たちは「文字のかたちと祈り」が関連した歴史の一端を知ることができます。
普段私たちの身近にありながら全く気にも留めていなかったような「もの」であっても、深く調べていくと、さまざまな歴史とそれにまつわる人々の「こころ」が遺されていることに気づかされるのです。「歴史遺産」と聞くと、世界遺産や国宝級の文化財を想像されるかもしれませんが、私たちのごく身近にも、こうしたさまざまな歴史遺産があふれています。なかには、誰かがその価値に気付かなければ、失われてしまうものも多くある、ということを忘れてはなりません。学びの集大成とも言える「卒業研究」では、ぜひそうした身近な歴史遺産の素晴らしさをご自身で発見し、後世に伝えていっていただきたいと思います。
通信教育という点での配慮は?
遠隔で学べる選択肢も拡充。
本コースのスクーリングでは、対面授業と遠隔授業のよさを活かした学修環境を整えております。また、さまざまな学生のライフスタイルに合わせられるよう、遠隔で受講できる選択肢をさらに拡充していく予定です。

きゅうす×歴史遺産=

沼尻裕子

沼尻 裕子
歴史遺産コース(3年次編入学)
'18年度卒業 東京都在住43歳
沼尻裕子

お茶のイベントで外国の人々に会うときも、本コースでの学びが役立つという。「歴史を交えながら日本文化を紹介すると、より深く興味を持ってもらえます。自分の国の歴史をしっかり語れるって、いいですよね」。

歴史の手ざわり

「何百年も人の手で、伝えられてきた味なんですよ」。お茶の奥深さに魅了され、会社員でありながら中国茶や日本茶の講師も務める沼尻さん。「大好きなお茶の歴史について論文を書きたい」という一心で、本コースに飛びこんだ。もともと古いものに興味があり、先生の案内で京都の街を歩いたり、お寺にこもったりする実地の授業に感動。「座学でも、じかに鎌倉時代の仏像に触れ、本物の重みにハッとしました」。お寺、街並み、美術館など。これまで何気なく訪れていた場所も、ちゃんとした知識があれば、まるで感じ方が変わる。「歴史を学ぶと世界が広がる、と実感しました」。

こうして多彩なスクーリングを楽しむ一方、苦しんだのが目標にしていたはずのレポートや論文。「論文どころか、原稿用紙一枚を埋められなくて」。いくつかの課題をこなすうち、知識が自分の中でつながり、少しずつ筆がすすむようになったものの、今度は論文テーマに苦悩。「お茶の何を、どう研究するべきか」ギリギリまで悩み、ようやく先生から「それですよ、沼尻さん」と言われるものを発見した。

「出土した急須のカタチから、日本茶の飲み方の変化を探ることにしました」。やっとつかんだ重要なテーマ、しかし、だからこそ道は険しかった。まずは膨大な発掘資料を集め、自分なりに分類。その結果をもとに、独自の分析を繰り広げていく。「最後まで迷っていた結論を、じつは〝急須〞に教えてもらったんです」。たまたま出土品に間近でふれた瞬間、それまでの悩みが氷解し、自分なりの確信をつかめたという。「深く見つめれば、モノが歴史を語ってくれるんです」。卒業後は、さらに研究を深めるために大学院へ。「研究そのものは地道で大変だけど、お茶の歴史を少しでも明らかにすることで、文化の普及に貢献できたら」と話す沼尻さん。その手には、遠い昔から託された、文化の未来が握られている。

仏像ガール×歴史遺産=

中島美音

中島 美音
歴史遺産コース(3年次編入学)
'14年度卒業 大阪府在住37歳
中島美音

現在、大阪府高槻市にある「神峯山寺」の学芸員・広報として在職中。「私の提案した〝毘沙門不動ご祈願ろうそく〞が新たな授与品に。今後も、より広くお寺を知ってもらい、親しんでもらうための企画を考えたいです」。

未来につづく歴史

「いま目の前にあるのが、千年も前につくられた像だなんて」。たまたま訪れた展覧会で、仏像の魅力に目覚めた中島さん。「もっと知りたい、できれば触れたい」という想いがつのり、本コースの学生に。「見るのが好き、という気持ちだけで入学して、最初は慣れないレポートに苦心しました」。先生から文献の集め方や引用方法を教わり、親子ほど歳の違うクラスメイトに励まされ、次第に学ぶ面白さを感じていった。「先生方の楽しい講義で、考古学やインド美術史など、未知の分野にもどんどん引き込まれて」。あらためて歴史を学ぶことで、仏像のもつ意味や背景など、より深い見方ができるようにもなったという。

「以前は〝美術品〞として鑑賞していただけでした。でも、祈る人や祀る人のさまざまな想いがあってこそ、世に生まれてくるんですね」。知れば知るほど、新たな興味がわいてくる。ある地方で出会った「被り阿弥陀」に衝撃を受け、卒業研究のテーマにしようと決心。「かぶる仏像なんて見たことなくて、なぜ?なんのために?と頭の中が疑問でいっぱいに。有名な仏像と違って研究者も少ないから、じゃあ自分で確かめよう未来につづく歴史と」。意気込んで調査をはじめたものの、扱える資料はごくわずか。様式などから造られた年代を検討するため、300体以上の仏像と細部を見比べていくことに。「最後の方は、向こうから来る人が仏像に見えるほど…でも苦労したからこそ、かつてない達成感を得られました」。

卒業と同時に学芸員資格を取得。やがて縁あって、歴史ある寺の広報として働くことになった中島さん。「ひとつひとつ迷いながらですけど…」。大学での知識に加え、参拝客としての目線を忘れず、寺を訪れる人が何を求めているか、それにどう応えられるかを模索している。「私の取り組みが、長い歴史のなかの〝点〞として刻まれるように」。中島さんの熱い視線は、いつの間にか、仏像と向き合う自身の未来に注がれていた。

文具メーカー勤務×歴史遺産=

髙橋知可

髙橋 知可
歴史遺産コース(3年次編入学)
'14年度卒業 神奈川県在住53歳
髙橋知可

じつはつい最近も、浄瑠璃寺の学術調査結果について発表がありました。つねに掘り起こされ、新たな発見が上書きされていくのも歴史の醍醐味。まだまだ現場から目が離せません!

時をかける眼差し

幼い頃から母親に連れられ、しょっちゅうお寺めぐりをしていた。仏像も見慣れていた。なのに、本コースに入学してからは「見ること知ることすべてが新鮮で、興奮しどおしでした」と語る髙橋さん。その感動をあますことなくエネルギーに変え、フルタイムの仕事をこなしながらも学びに熱中。卒業研究では、先生をうならせる論文を書きあげた。

「生まれて初めて本物の仏像にふれたり、社寺や博物館の裏側を見学したり」。スクーリングでいろいろな体験をするたび、モノに向き合う心が磨かれていく。「たとえば、実際の史料を使って虫喰いの補修をする実習では、まず紙を貼る糊から炊くんです」。昔ながらの方法でつくられた糊は、再びはがすときにも素材を傷めない。100年後の再補修まで見すえたやり方に、伝承することの重みを感じた。

「入学前から、和紙などを使う修復には興味があったんです」という髙橋さんは、文具メーカーの開発担当者。「絵巻物に描かれた海や雲が、宗教的に何を表すか読み解くテキスト科目を受けてから、単純にキレイ!と絵柄を見るだけではなくなりました」。その観察眼が、後の卒業研究にも発揮された。「多種多様な学びが、思わぬところでつながるんです」。

研究のテーマに選んだのは、京都にある浄瑠璃寺の「九体阿弥陀如来坐像」。「図版で見たときはどれも同じ印象。でも実際に対面すると、あ、ここが違う、これは似てる、と思えてきました」。仕事のモットーでもある〝現場百回〞を実践し、何度もお堂に足を運んでは像に見入った。そして平日は、夜中まで書いていた原稿を、翌朝の通勤電車で読み返す日々。「もう、毎日が大忙し。なのに気がついたら大学院へ進学していました」。先生を感心させた着眼点を、さらに一歩掘り下げたくて、同じテーマで研究を深めているという。「文具の仕事でも、ここで教わったモノや形に対する想いを活かしたい」と話す髙橋さん。いにしえの学びは、いまと、これからの自分につながっていた。

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