意図を明らかにし、技を拡げ、表現を深める。

技法の習熟や素材の知識はもちろんのこと、染や織の造形を輝かせるために不可欠の要素である色、形、主題 ー それらを掘り下げることで 初めて、大きく自分の表現の幅を広げることができます。作品を作り続ける意味を明確にし、もう一歩、踏み出す力を大学院で得てください。

分野の特長

自作を発展させる方法を指導

これまでの学びを基礎として、さらに自作を発展させるのが大学院です。そんな各自の想いにしっかり伴走し、めざす方向や深く掘りさげる方法、わかりやすく提示する手法を個別指導で伝えていきます。

幅広い技法にふれ、制作を追求

染織の多岐にわたる技法や素材にふれ、その周辺技法までじっくり研究できるのも大学院ならでは。たとえば埋もれた技法を掘り起こし、現地での聞きとりをもとに作品をつくったり、より本格的な制作のため、道具や器具まで自作する学生もいます。本藍醗酵建による布や糸の藍染めも体験します。

「眼」を得た先に道が見つかる

自分にはどんなスキルが必要か。より理解されやすい表現とは何か。大学院で得られるのは、対象を突き詰めて見る「眼」です。その眼によって自作の完成度を高め、大きな公募展や団体展で受賞した院生も数多くいます。

学びのすすめ方1年次

技法の習熟とともに素材の可能性を探り、作品を制作する。

美術・工芸演習(染織)
(スクーリング科目、スクーリング研究制作科目)

これまで積み上げてきた造形のあり方を問い直し、高めていくためには何が必要かを探ります。素材・技法・主題などのうち、自作をより強固に展開する上で、次は何の技法が必要かを見極めます。基礎を知った上でしか理解できない新たな技法、より高度な技法を、ワークショップにて学んでいきます。前半では、作品の完成度よりも何らかの手がかりをつかむことをめざし、試作を行います。後半では試作をふまえ、染織の特性を生かした造形作品の完成をめざします。

美術・工芸特論Ⅱ-1、2(テキスト科目)

本科目の目標は、美術・工芸に関する理論的著作を批判的に読み解くことと、その上で、各自の制作研究行為を今日の社会環境の中に位置づけて考察することにあります。制作研究は個人的な表現内で完結するものではなく、社会との関わりの中で熟成・発展していくものです。自己を包む環境について新たな見解を持ち、創作への思いを言語化することで、自作品の明解なビジョンが育ちます。

学びのすすめ方2年次

自分の表現を深めつつ、集大成としての修了制作に挑む。

美術・工芸研究(染織)(スクーリング科目、スクーリング研究制作科目)

「美術・工芸演習」の成果を土台にして自作のテーマを確立し、作品制作を行います。年間2作品を制作しますが、前半は実験的要素を含めた試作であり、後半は、より技法と主題の充実をめざし、修了制作作品と制作研究ノートを完成させます。制作研究ノートは、制作あるいは技法をテーマとして継続的に取り組むものを設定し、教員と相談しながら論述をすすめていきます。

年間のスケジュールモデル

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。
詳しい日程は下記『大学院スクーリング日程2017』でご確認ください。

■スクーリング日程 大学院スクーリング日程2017

学生紹介

大日方 明美56歳 東京都 大学院2年次

学部で染織や芸術を学び、日常のなかに多くの面白いことが存在するのを発見。日々の暮らしをもっと楽しくするために、もう少し勉強をつづけたい。習得したさまざまな技法を、しっかり使いこなせるようになりたい。そんな思いから進学しました。そして大学院で「自分はなぜ染織をつづけるのか」と考えたとき、「見た人に楽しんで欲しいからだ」と気づき、現在は「日常」をテーマに、見て楽しいと思える、立体的な組織の作品に取り組んでいます。保守的で、ありきたりの作品しかつくれなかった私が、基本的な技法に自分なりの工夫をほどこし、冒険を試みるようになれた。自分なりの表現に向かっている、という実感があり、とても楽しいです。染織は手間のかかる作業の積み重ねですが、1本の糸の重なりによって作品の形が見えてきたときは、それまでの苦労を忘れる喜びを感じます。

■教員 高木 光司(教授)久田 多恵(准教授)

修了制作 作品ギャラリー

村田 佳子68歳 東京都 2015年度修了

[修了作品について]織に多彩な色と模様を表現したいと思い、伝統工芸「経糸捺染・解(ほぐ)し織」の技法を取りいれました。仮織の経糸に捺染することの難しさ、解しながら織るための糊と染料の調合など、何度も失敗を重ねながら織り上げた作品です。

[成果、そして、これから]大学院の授業は、テーマを決められることがなく、興味のあることを自由に学び、研究できるため、本当に自分が何をしたいのかを見つけられます。それは、今後の生き方の指針となりうるだろうと思います。
大学院1年次の作品『彩あそび』にて第39回日本染織作家展 衆議院議長賞受賞


彩の華

堀江 忠史62歳 愛知県 2011年度修了

[修了作品について]入学を決意したときの思いを貫徹できた、と感じた。他大学で染織を履修して以来、個展やグループ展で作品づくりをつづけて20年。初心にかえって、大学院で学び直し、まったく異なる価値観で修了作品を創りあげることができたと思う。

[成果、そして、これから]修了から3年経った現在も、大学院で先生に受けたご指導や学んだことをベースに、その時の研究テーマを引き継ぎ、制作、発表をつづけています。また、大学院のご縁で同窓生や先輩ともいっしょに作品展をしています。


「♯1102,♯1103」

大野 佳代子59歳 東京都 2012年度修了

[修了作品について]学部では綴織や絣のタピストリーを作っていました。それらが大好きでしたが、大学院では新しいことに挑戦しようと、ステンレス線と絹を組み合わせて半立体のタピストリー制作をめざしました。自分としてはまだ消化不良の感があり、考え中です。

[成果、そして、これから]仕事をしながらレポートを書き、織りものを期日までに仕上げる。いま考えても本当によくやった、と思います。でも、充実して幸せに満ちた日々でした。仲間たちと時々開く作品展は、毎日のよい目標になります。


「際 -きわ-」

町田 秀子2011年度修了 青森県 教員

[修了作品について]染料:りんごの樹皮、素材:麻、技法:村雲絞り。村雲絞りという技法で麻の布を染め、布から経糸をはずして、模様を残し、少し透け感を出しました。

[成果、そして、これから]修士号取得のほか、さらなる専門知識や京都の伝統技術を学びたくて入学しました。今後も、りんごの樹皮を使った作品を制作し、日本中の皆さんに紹介できたらと思っています。


「樹 -つながり-」

安江 容子滋賀県 2015年度修了

[修了作品について]稲作の盛んな日本では、その副産物であるワラで多くの生活用具が作られてきました。その中のひとつである「ばんどり」(荷物を背負う時に背中に当てる民具)から、ワラ仕事の技術や技法を取り入れ、そのイメージを基にして作品を制作しました。そこには、古来の〈織〉〈もじり〉〈結び〉等の技法が隠れていて、再現するのに苦労しましたが、それはまた驚きの連続でもありました。

[成果、そして、これから]大学院では2年間で計4回作品を制作しました。自分の中にある作品の種を、どう育て組み立てて作品にしていくかを、回を重ねるにつれ、理解していったように思います。糸や繊維が、布や面になるプロセスに興味があり、機で織る方法だけでなく、それ以外の技法にも挑戦していきたいと考えています。


「ハレ」と「ケ」

横山 倫子61歳 神奈川県 2015年度修了

[修了作品について]「たちのぼりゆく…」陽炎・湯気をイメージしてデザインした。赤(スオウ、茜)と白の両方の色を生かすために、緯糸でグラデーションをつくった。そのため、経糸は3色である、色に幅が出て、奥行きを表現できたのではないかと考えている。

[成果、そして、これから]同じ絣のデザインに7~8回挑戦し、どのようにしたら織で曲線を表現することができるか、試行錯誤を繰り返した。そのことから、色彩の効果、デザインの縦、横の比率など、他のデザインにも応用できる私自身の「織」の基礎を、少なからずつかむことができたように思う。
大学院1年次の作品『寄せる』にて第39回日本染織作家展 京都市長賞受賞


たちのぼりゆく...

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

芸術×大学院×通信 京都造形芸術大学通信制大学院 入学説明会