学びとしての芸術活動を支える。

本分野では、個人やコミュニティの創造的な学習行為としての芸術活動をサポートし、プログラムする方法を実践的に研究します。
これは従来の美術科教育とはやや異なるもので、人々とともに各地で大切にされてきた文化資産を守り育てる、あるいは特定のコミュニティにとっての新たな文化的な価値を作り出すような活動でもあります。

この分野を志す人へのメッセージ

藝術の藝は、人間が屈んで植物を植えている姿で、それは後天的に植え付けられて体得した全ての知恵や技のことを指すそうです。一方で、これまでの芸大・美大を大雑把に振り返ると、美術領域にせよデザイン領域にせよ、個性ある作品を生み出すプロの作家・専門家を養成することに偏り過ぎていたようにも思われます。そのような反省から、芸術教育分野は芸術を〈自己教育〉=自分の本来持っていた能力を伸ばすもの、と定義します。地域のコミュニティーや子どもの保育、教育、福祉などの現場を元気にしたいという方が集まり、それぞれの手法とテーマで研究と実践を行っています。この分野で学んだ皆さんが、ささやかな生活の中にも美や喜びを見いだし、他者と共有し、新たな価値を創造するべく、芸術教育士として活躍していただきたいと願っています。(教員:森本玄)

森本玄『束の間のかたち:寝る』 72.7x91cm リペルペーパーに鉛筆 2014年
第5回「ドローイングとは何か」展大賞受賞作

学びのすすめ方1年次

物事を多角的にとらえる視点を養い、研究に必要な考え方や手法を学ぶ。

科目ピックアップ

芸術環境特論Ⅱ-1~10、Ⅳ-1、2(スクーリング)

芸術環境研究領域に関わる諸問題を、芸術作品の歴史・理論的研究、文化遺産・伝統芸術の歴史的研究、文芸研究、芸術教育と芸術計画の実践という4つの視点から考察。専門性の高い10の講義群から2つ以上を選択して受講します。

例:芸術環境を巡る諸問題、祭礼と感性、近現代美術の諸相、外国文学、日本芸能史の諸問題、西洋芸術史の諸問題、東洋芸術史の諸問題など(2016年度実績)

芸術環境演習Ⅰ・Ⅲ(スクーリング)

Ⅰ(前期)・Ⅲ(後期)では、学生が各分野で研究を遂行するために必要な考え方や方法を、ディスカッションや共同作業、各ゼミ独自の課題等を通して身につけます。さらに、ゼミ内での発表やディスカッションを通じて修了研究につながるテーマを設定し、〈調査・分析・まとめ・提案・報告〉という方法論を学びながら、各自の研究の方向性を決定します。

学びのすすめ方2年次

独自の着眼点で掘り下げた研究を、論文や報告書として結実させる。

科目ピックアップ

芸術環境研究Ⅰ(スクーリング)

「芸術環境演習Ⅰ・Ⅲ」での研究成果に基づいて、修了にむけての研究を行います。各自が設定した研究テーマに沿って、適切な資料の収集、分析、調査などをすすめると共に、その成果を論文あるいは研究活動実施報告書にまとめます。指導は主に年5回のゼミと2回の「中間報告書」に対する講評で行います。1週間に1回(必須)のWEB上での研究過程の記録のほか、必要に応じて個別指導も行います。

年間のスケジュールモデル

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。
詳しい日程は下記『大学院スクーリング日程2017』でご確認ください。

■スクーリング日程 大学院スクーリング日程2017
   

学生紹介

上島 愛子兵庫県 26歳 大学院2年次

保育の現場で働きながら、勤め先の理解を得て大学院へ。実際に働いているからこそわかる、保育の難しさや現場の抱える問題などを造形の分野で解決し、保育士がより働きやすく、子どもたちと楽しく過ごせるシステムをつくれるよう研究しています。研究のために他園からも話を聞くうち、あらためて保育士という仕事の重要性を感じました。
保育園で過ごす期間は、子どもにとって心身ともに人生の基盤を培う時期。だからこそ、ベテランだけでなく若手の保育士でも、豊かな原体験を与えられる環境をつくりたいのです。大学院で先生や仲間にもらった助言は、現場で実践。そこで同僚の保育士や子どもの生き生きとした表情を見られたときは、「学びを活かせた」という感謝と喜びを感じます。また、社会人ならではの幅広い学生交流で、保育という狭い世界だけでなく多様な人とのつながりを得られたのも貴重な経験でした。

教員紹介

出願分野 開催地 学べる内容 担当教員
芸術教育分野 東京 社会人芸術教育
文化資産スチュワードシップ
松井 利夫
上村 博
石神 裕之
春日部 幹
京都 こども芸術教育 森本 玄
上村 博

修了生の研究テーマ

「再拡張する芸術領域(三田市での生涯学習活動を例に)」

髙辻 京芸術環境計画分野 2013年度修了 兵庫県 51歳 学芸員

芸術とは学習と呼ばれる行為とほぼ同じ行為であると仮定した上で、三田市生涯学習活動の実施報告をした。まず、「拡張する芸術領域(資料展示の可能性)」では三田市収蔵民俗資料、三田焼を屋外に持ち出し、三田市内の観光名所や店舗などと一緒に撮影し、後に写真と共に資料を展示。鑑賞者に新たな美的感覚を提示した。次に「再拡張する芸術領域(教育による三田焼の普及と更新の可能性)」では高校教育での三田焼研究授業で制作した三田焼を農業祭で販売することで、自らが学んで興味を持った三田焼を多くの人に知ってもらうためにできることを生徒が考え実践した。最後に『再拡張する芸術領域2(ごみ問題と芸術の関係生涯学習活動)』では各自治体に指定ごみ袋の提供してもらい、メッセージ性についての展示や、一週間分のある家庭が排出したゴミを展示した。これらの生涯学習活動を実施しすることで、人々が先祖から受け継がれた情報をもって生まれ、それらを日々の学習から更新していくことこそが芸術であると考えた。我々は、いつの間にか眼に見えない刷り込まれた芸術を追いかけていた。
それを止めると、本来の芸術が見えることで、芸術環境が再拡張していくと結論づけた。

※髙辻さんは芸術環境計画分野修了生ですが、現在の芸術教育分野に該当する研究をされていましたので掲載しています。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

芸術×大学院×通信 京都造形芸術大学通信制大学院 入学説明会