芸術環境研究領域
比較芸術学/文化遺産・伝統芸術/芸術教育/芸術環境計画

Art and Environment Studies Field

さまざまな角度から、研究を深める視点を養う。

芸術は環境をつくり、また、環境も芸術を育みます。本領域では、研究者と制作者それぞれの立場から、過去・現在にわたり人類が営んできた芸術という活動を反省しつつ、新しいモデルの構築、評価と普及を目指していきます。

領域の特長

個々の研究をしっかりサポート

各分野の専門家である教員を軸にゼミを運営し、文献講読をはじめとする共通課題と、各自の研究内容の発表・ディスカッションを通して研究を掘り下げていきます。

定期的な対面ゼミによる研究指導

各分野のゼミは年間に6回(2年次は5回)定期的に開講されます。研究ジャンルに応じて、京都もしくは東京で開講されるゼミを選択して受講します。教員と学生が顔を合わせて意見を交わすことで、きめ細やかな指導を受けることができます。1年次生と2年次生が同じゼミに出席することで、さまざまな情報交換の機会も得られます。

専門性と多角的な視点の獲得

各自の所属するゼミを通じて、それぞれの専門領域に固有の問いや研究手法を習得しながら、研究を進めていきます。ゼミおよび修士論文、報告書の講評には複数の教員が加わり、様々な研究観点を得ることができます。また、ゼミとは別に各分野の専門性の高い講義(芸術環境特論Ⅱ・Ⅳ)を受けることができます。

学べる領域・分野

本領域では、人類の芸術活動の多様なありかたを尊重し、その環境との具体的な関わりを研究します。主に論文執筆を通じて研究を行う分野(比較芸術学分野、文化遺産・伝統芸術分野)と実践的な活動をめざす分野(芸術教育分野、芸術環境計画分野)とがあり、それぞれ以下のような研究を行っています。

比較芸術学分野

多様な時代や地域の芸術活動を研究

「比較芸術学」と呼ばれる学問にはいろいろな方法がありますが、本分野では確立された芸術ジャンル間や作品相互間の比較を行うというよりも、さまざまな時代や地域における芸術活動について、比較という視点をもちつつ、その特性を研究します。これはむしろ今日ではスタンダードな美術史研究においても必要な姿勢であり、本分野でもそのような基礎的な態度を共有したうえで、具体的な作品研究を奨励しています。

文化遺産・伝統芸術分野

有形無形の文化遺産について研究

特に日本や東アジアに伝えられてきた有形無形の文化遺産についての学術的研究を目指す分野です。各地に残された文化には、文字による史料だけでなく、保存されてきた造形物や代々伝承されてきた技術も重要な部分を担っています。それらはまた歴史的価値とあわせて芸術的な価値も有しており、本分野ではそうしたさまざまな価値の問題や保存継承のありかたをそれぞれの環境の特性を考慮しつつ研究します。

芸術教育分野

学びとしての芸術活動を支える

本分野では、個人の、あるいはコミュニティの創造的な学習行為としての芸術活動をサポートし、プログラムする方法を実践的に研究します。これは従来の美術科教育とはやや異なるもので、人々と共に各地で大切にされてきた文化資産を守り育てる、あるいは特定のコミュニティにとっての新たな文化的な価値を作り出すような活動でもあります。そのような活動を担う人材こそが本分野が目指す修了生、すなわち芸術教育士です。

※芸術教育士1級取得のためには修士課程の修了要件に加え、指定された2単位のスクーリングの単位修得が必要です。

芸術環境計画分野

芸術活動で人、もの、地域と関わる

芸術活動によって人、もの、地域の関係を再構築することを目指します。絵画や工芸といった既成のジャンルにかかわらず、みずからのプロジェクトを計画遂行することで、芸術的な環境を育成する人材を育てます。とりわけ、さまざまな地域の伝統的な素材や技法、産業などを生かしつつ、芸術活動によってそれらに今日的な文化的価値を吹き込むことも重要な目標となっています。

学びのすすめ方1年次

物事を多角的にとらえる視点を養い、研究に必要な考え方や手法を学ぶ。

研究の基礎を学び、自身のテーマを学ぶ
演習科目[必修]

芸術環境演習Ⅰ・Ⅲ(スクーリング)

各ゼミで共通の課題と自身の研究に並行して取り組み、調査・分析・まとめ・提案・報告といった研究の基礎的な手法や考え方を修得しつつ、各自の修了研究の方向性を決定していく。

さまざまな研究テーマや手法を知る
分野特論[必修]

芸術環境特論Ⅱ-1〜10、Ⅳ-1、2(スクーリング)

芸術環境研究領域に関わる諸問題について、さまざまな視点から考察。専門性の高い講義から、選択して受講する。
例:芸術環境を巡る諸問題、祭礼と感性、外国文学、日本芸術史の諸問題、社会教育としての芸術、実践こども学など(2015年度実績)

専門領域にとらわれず学びを広げる
専攻共通[必修]

芸術環境論特論Ⅰ・Ⅱ、芸術環境原論ⅠまたはⅡ(テキスト)

課題例
・自分以外の芸術家、職人などの活動を調査し、まとめる。
・日常の中で「美しい」と感じた事柄を考察し、描写する。

学びのすすめ方2年次

独自の着眼点で掘り下げて進めてきた研究を、修士論文、または研究活動実施報告書として結実させる。

研究を深め、論文または研究活動実施報告書に結実させる 研究科目[必修]

芸術環境研究Ⅰ(スクーリング)

各ゼミで研究報告と討論を繰り返し、中間報告書を2回提出したのちに、最終成果物として完成させる。また、修了展での展示にも取り組むことで、展示発表の形態まで視野に入れた研究をめざす。

演習科目、研究科目のすすめ方
スクーリングでの指導

ゼミ内で各自の研究を発表。それに対する質疑応答や教員の講評、お互いの発表などを参考に、さらに自身の方向性や手法を練る。

自宅学習

学習用WEBサイト「airU」を活用。自宅ですすめた研究過程の記録や、スクーリング前後に掲出する研究発表に対し、WEB上で指導を受ける。

年間のスケジュールモデル

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。
詳しい日程は2015年12月下旬発行予定の『大学院スクーリング日程2016』でご確認ください。

■スクーリング日程 大学院スクーリング日程2016

学生紹介

梅澤 直己東京都 44歳 大学院2年次

学部の陶芸コースに在籍中、「幻の土器」とされる沖縄県八重山諸島の「パナリ焼き土器」を制作。しかし失敗の連続で、「どうすれば現地に残るような大型作品を作れるのか」を探究するため大学院へ。研究も試行錯誤の連続ですが、土器の痕跡を求めて八重山諸島を訪れ、文献資料を探るうち、「青い空と海」という現在の南国イメージとは違う、過酷な民衆史を知りました。土器が教えてくれた「もう一つの歴史」を意識しながら、この製法研究に取り組んでいます。

学位論文概略・在学生の研究テーマ紹介

小学校家庭科教育における布を用いたカリキュラムの構築

大𣘺 寛子2014年度修了 東京都 35歳

家庭科は衣・食・住について学ぶ科目であり、生活に身近で必要不可欠な知識と、生きるために必要な能力を養う教育である。本研究では、小学校家庭科教育の中での布を用いた製作において、児童が技術や知識の向上ともの作りへの興味関心を抱くことができ、また教員も指導しやすい教材の提案と、それを用いたカリキュラムの構築を目的とする。
今回の研究では、布を用いた教材とカリキュラムを構築し提案したが、今後それが実際の小学校家庭科の授業で有用であるかどうかの検証をするため、継続して研究したいと考える。これからも教材の開発をおこない、ものづくりの楽しさを小学校という早期の段階での授業を通して知ってもらい、服飾やファッションへの興味につながる提案をしたいと考える。

歌舞伎の将来への憂慮 ー現代の問題点…主として演出の観点からー

坂口 容子2014年度修了 大阪府 55歳

自身が古典作品に余り魅力を感じなくなってきたのは、演出家不在が問題ではないかと感じる時がある。能・文楽などと同じように、歌舞伎は日本の古典芸能として継承しなくてはいけないものである。さまざまな問題を抱える歌舞伎が、今後も廃れず生き残っていくには、を考察する一論とする。
大阪市長による助成金削減決定以来、杉本博司・三谷幸喜など文楽への異なる分野からの新演出や新作が活発化している。杉本氏は「古典は変えるべき」との発言をしている。歌舞伎にももっと「傾いて」型破りな役者・演出家が輩出されることを期待する。切磋琢磨の必要性がある。守りの姿勢だけでは古典芸能は退化するだろう。挑戦し続けさまざまな試行錯誤があってこそ、歌舞伎は活性化し、存続・発展がのぞめると考える。

在学生の研究テーマ

上島 愛子兵庫県 25歳 大学院1年次

いま取り組んでいるのは、『子どもが歓び、アトリエリスタとして輝けるカリキュラムの研究』です。活動の「ねらい」を保護者にも保育者にも分かりやすく伝えることで、子育てに必要な「行政と地域社会と保育園の緊密な連携」を構築。この三位一体が調和した環境で、子どもたち一人ひとりの個性を伸ばし、本来持っている「生きる力」を活かせる保育の実現をめざします。もともと本学の「こども芸術学科」を卒業後、保育士として就職。その勤め先から「さらに芸術的発想を活かした保育の研究を」と後押しをいただいたのが、進学のきっかけです。先生の濃密な人生観、多様性に富んだ発想力、迅速な行動力に感化され、未熟ながらも学びをしっかり吸収し、身につけたいと考えています。

※芸術教育分野は2014年度開設のため、修了生は輩出しておりません。

教員

出願分野 ゼミ・開催地 学べる内容 担当教員
比較芸術分野 東京 西洋美術史 池野 絢子
上村 博
京都 美学
芸術理論
文学理論
梅原 賢一郎
加藤 志織
大辻 都
文化遺産・伝統芸術分野 東京 日本美術史
伝統文化研究
森田 都紀
野村 朋弘
京都 日本文化史
日本美術史
伝統文化研究
五島 邦治
栗本 徳子
金子 典正
井上 治
橋本 素子
芸術教育分野 東京 社会人芸術教育
文化資産スチュワードシップ
内田 俊秀
松井 利夫
上村 博
石神 裕之
春日部 幹
京都 こども芸術教育 目黒 実
森本 玄
芸術環境計画分野 東京 芸術計画
創作文芸
春日部 幹
松井 利夫
田中 尚史
中村 亮二
京都 芸術計画
伝統文化・工芸構想
松井 利夫
下村 泰史
井上 治
伊達 伸明

※担当教員は変更となる場合があります。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

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