KYOTO UNIVERSITY OF THE ARTS 学校法人 瓜生山学園 京都芸術大学

作家になれる 編集者になれる ことばのプロになれる 文芸表現学科 クリエイティブ・ライティングコース

本や小説を読んだり、雑誌を眺めたり。
ふだん「趣味」として楽しんでいることを「しごと」にしたいと思ったことはありませんか?
文芸表現学科はそんな夢をかなえるための学科です。

本も小説も雑誌も、すべて「ことば」をもとにして成り立っています。
文芸表現学科では、この「ことば」をとおしての表現を学ぶことによって、
みなさんが、これまで趣味として楽しんでいた
小説や雑誌を実際に作る側に立つことを可能にするのです。

「ことば」は小説や詩を書くための道具であるばかりではありません。
私たちは自分の考えを人に伝えるのにも、もっといえば
そもそもものを考えるのにも、ことばを使っています。
ことばは、世界を観察し分析するためのレンズのようなものでもあり、
また、自分自身を見つめる鏡のようなものでもあります。

「ことば」を使って、わたしたちと一緒に、あなたの人生を、世界を、より豊かなものにしませんか?

文芸表現学科
3つの特徴

1.作家になれる

 手にとった小説があまりに面白くて一気に読んでしまったとき、読んだ小説に涙が出るぐらい感動したとき、自分もこんな小説を書いてみたい、と思ったことはありませんか? 文芸表現学科には、そんな思いをもった作家志望の学生がたくさん集まっています。

 だからといって作家になる、というのはそれほど簡単なことではありません。だからこそ文芸表現学科では、小説のスキルを上達させるための「ステップ」を重視します。いきなり大長編に取り組むのではなく短篇小説からスタートし、じょじょに作品のスケールを大きくしていき、卒業制作では原稿用紙100〜200枚の長篇小説にチャレンジします。また「表現メソッド」の授業では、小説の「技法」「メソッド(=方法論)」に焦点をあて、ただ書くだけではえられないテクニックを身につけます。

 しかし何といっても、作家としてデビューするのために一番大切なのは、「デビューするまで書き続けること」。文芸表現学科では、実践だけではなく、「書き続ける」ための小説の基礎体力を身につけます。

作家になれるプログラム

  • new

    創作エクスパートクラス

    1~2年次では、小説やノンフィクション、シナリオ、マンガ原作などから、自分で選択したクラスで学びます。また、作家をめざす人向けに、少数精鋭の創作エクスパートクラスも新しく開講します。

  • メソッド-小説の技法を学ぶ

    面白いアイディアがあれば、それだけで面白い小説が書けるわけではありません。Ⅰ〜Ⅳの4科目からなる表現メソッドでは、小説のさまざま「技法」を分析的・体系的にとらえ、小説のもととなる着想を、どのように小説にしていくのかを学びます。

  • ゼミでの個別指導・添削指導

    2年次後期からは、教員ごとに開かれる少人数のゼミに所属し、各自の作品制作に取り組みます。ゼミで合評するほか、1対1での丁寧な面談指導も行ない、それぞれの書く力を伸ばします。

在学生の声

3年間ここで学び、小説を書いてきて思うことがひとつあります。それは、おもしろくない物語はないということです。あなたの小説はつまらない、と言われても自分は楽しんで書いていたはずですから。でも、そこで終わるなんてもったいないと思いませんか?

どうすれば他人にも「おもしろい」と言わせられるか。そこが勝負で、そう言わせたいなら学ぶしかない。それはテクニックを学べば明確になっていきます。もちろん簡単ではありません。うまく使えず頭を抱えたり、筆が止まることばかりです。けれど、それを乗り越えた時の達成感、読んでくれた人からの言葉は震えるほど嬉しいものです。

あなたがもし小説を書いているのならば、私はそれを読みたいです。そして一緒に物語ることにどっぷりとはまってみませんか?

京極光奈乃さん 3年

2.編集者になれる

「編集」という仕事は、書籍や雑誌を企画し、それを「出版」というゴールまでもっていくことです。そのプロセスには、さまざまな力が必要となります。企画を立てるためにはアイディアが必要ですが、いいアイディアにたどりつくためには、情報やそれを分析する力や、雑多なもののなかからほんとうに面白いものを見つけだすセンスが必要でしょう。また編集の仕事はつねにチームワークですから、他者と一緒に作業をし、おたがいの長所を最大限に引き出す能力も必要です。

 日本の出版業界では、長いこと、編集の仕事は仕事を始めてから身につけるものだと考えられてきました。大学では編集なんて勉強しなかった、という編集者のほうが多いのです。しかし文芸表現学科は、それは違う、と考えています。文芸表現学科では「編集」の本質を見すえ、1・2年次から実践的な授業に取り組むことにより、真の意味での「クリエイティヴな編集者」を育てます。

編集者になれるプログラム

  • 雑誌をつくる

    実際の編集部さながらに、企画から取材、原稿依頼、撮影、校正、デザイナーや印刷所とのやりとりまでを授業で行ない、雑誌づくりのすべてを実践的に学びます。

  • メディア演習

    編集者にも求められるようになってきた、IllustratorやPhotoshop、InDesignなどのソフトの扱い方を、チラシや冊子をつくりながら学びます。また簡単なWEBサイトを構築する技術も身につけます。

  • new

    301文庫編集部

    どんなすばらしい作品も読者の手に届かなければ何の意味ももちません。そのために文芸表現学科では301文庫(仮称)をスタートします。学生自身の手で学生自身の作品を編集し、それをどうやって社会に発信するかを考えます。

在学生の声

1年生の春から大学広報誌『瓜生通信』編集部に所属して、「編集」という仕事を実践で学びました。広報誌に載っているコンテンツの企画から、取材対象のリサーチやアポイントを取ったりと、本当の雑誌の編集部のようなことをさせてもらいました。

文芸表現学科では、編集系のゼミに所属していたので、履修した授業は編集やインタビューに関連したものが多いです。授業で学んださまざまな原稿の書き方、取材方法を編集部で応用して、こつこつと自身のスキルアップに勤しんでいました。

現在は趣味の日本酒を研究テーマに、今まで得た知識や経験と人脈をもとに冊子などかたちに残るものを制作しています。自分の好きなものを自分の手で好きなかたちにできるのは、やりがいがあるし、何より楽しいです。

横山優佳さん 4年

3.ことばのプロになれる

 文芸表現学科で学んだことを活かせる仕事は、作家や編集者だけではありません。文章力や取材・インタヴューの能力を活かして、ライターとして活躍している卒業生もいます。広告の世界でコピーライターとして、あるいは、文芸・書籍・出版についての知識を活かして、書店員や図書館司書として活躍している先輩もいます。

 それだけではありません。たとえば編集の勉強のプロセスで身につけた企画力やプレゼン力は、卒業後、どんな仕事についても役にたつ力でしょう。小説の執筆をつうじて養った、物語や世界観を構築する力を活かして、ゲーム業界で活躍している卒業生もいます。もっといえば、文芸表現学科の根本にある「文章を書く」という力は、「ことば」を使わずにできる仕事がほとんどない以上、あらゆる仕事において活かせる力なのです。

 文芸表現学科は、小説からノンフィクションまでさまざまな文章を書くことを学び、そしてまた編集を学ぶところです。ここで生まれる「ことばのプロ」は、あらゆるジャンルの世界で活躍しています。

ことばのプロになれるプログラム

在学生の声

雑誌やWEBに掲載される記事を書くライターに興味があったため、小説だけでなくノンフィクションも学べる文芸表現学科に入学しました。現在は映画をテーマにしたブログを運営したり、情報サイトの設立に携わったりしながら経験を積んでいる最中です。昨今では「大学に行かなくてもインターネットを使えば独学で勉強できる」という言説も耳にしますが、大学の魅力は自分の視野の外から影響を受けられるところです。実際ぼくはライターの近藤雄生さんの授業を通して、以前は興味のなかった紀行文の魅力を知り、旅に出たいと思うようになりました。文芸表現学科に入ったおかげで本当に自分の世界が広がったと実感しています。

辻本智哉さん 2年

京都芸術大学で文芸を学ぶ 理由 メリット

京都芸術大学には、全学の取り組み「リアルワークプロジェクト」をはじめとし、学生が実社会と関わりながら学び、また学んだことを社会のなかで活かすことのできる機会がたくさん設けられています。そしてこれらのプロジェクトは、全学生に開かれています。

絵が描ける、デザインができる、モノをつくれる、それぞれの得意分野をもつ学生が集まり、一緒にプロジェクトを進めていきます。

文芸表現学科の学生はもちろん「ことばの力」を武器にさまざまなプロジェクトで活躍しています。全学規模でのプロジェクトに加え、学科独自のプロジェクトもどんどん展開していきます。

卒業生の活躍

文芸表現学科を卒業した先輩たちが、作家、編集者、ことばのプロとして、どんどん活躍しています。

作家 藤田祥平 2013年度卒業

人生というものを生きるにあたって
応用できる本能と技巧

 文章を書くときはいつも、「これは闇のなかに分け入って、よくわからない良いものを引っぱり出してくる仕事だな」と思います。

 闇のなかで立ち往生してしまったときは、私はいつもさまざまな過去の作家の声を聞くようにしています。すると、たどるべき道がわかるのです。そして考えてみると、こうした先人たちのすばらしい仕事に出会ったのは、文芸表現学科でのことでした。
 つまり、ここで私が学んだのは、このわけのわからない人生というものを生きるにあたって応用できる本能と技巧なのです。そのために、いまの私には作家として生きていけるだろうという確信があるだけでなく、最後の時までたしかに生きていけるだろうという確信さえあるのです。

編集者 植田真衣 2014年度卒業 株式会社KADOKAWA

自分が企画しなければ、
新しい本は生まれない

 ビジネス・生活文化局配属で、おもに女性向けの実用書を企画・編集しています。入社1年目から、どんどん本を企画し、編集を担当して、出版したあとは販促するということをやっています。

 いまは売れる本をいかに企画するかでいっぱいいっぱいですが、もっと自分がつくりたいと思う本をつくれるように、力をつけたいと思っています。

 学生時代は、授業のアシスタントをしたり、友人と同人誌を発行したり、企業とのプロジェクトに参加するなど、「面白い話があればかならず乗る!」ということをモットーにやってきました。そうして増えたたくさんの引き出しが、編集の仕事でも活きているように感じています。

編集者 三浦あやか 2014年度卒業 京阪神エルマガジン社

自分が思う〈良いもの〉を
たくさんの人に知ってほしい

 はじめは小説家志望でこの学科に入学しました。けれど好奇心で編集の授業もとるようになり、そのときに小説家も編集者も「何かを発信する」ということには変わりないのだと気づきました。何度か編集長も経験しましたが、けっきょく周りに助けられてばかり。そこで、自分はひとりで文章を書き続けるよりも、人と繋がりながらひとつのものを作りあげるほうが好きだと思いました。
 縁があって今の会社に入社させていただくことになり、今は女性情報誌『SAVVY』の編集をしています。月刊誌を作ることはチーム戦のように見えて実は孤独な作業。担当したページの責任は自分にあるので、今も完成を見るのが怖いです。何かを作るということは誰かの目にふれるということ。その意識と作ったものへの責任感は学生のときから変わりません。

BOOK担当コンシェルジュ 鵜飼慶樹 2011年度卒業 京都岡崎 蔦屋書店

人生を豊かにしてくれるような
ことばとの出会いを提供する

 良いことばとの出会いには、人生を変えてしまう力があります。100年前に書かれた本でも今日発売の新刊本でも、その力は変わりません。 本のコンシェルジュとは、人生を豊かにすることばとの出会いを提供する仕事です。そのために毎日、お客様に本をおすすめし、トークショーや読書会などのイベント開催にも取り組んでいます。
 大学在学中は、さまざまな本を知ったのはもちろん、ことばに対して真摯に向き合う仲間との議論や教授からの論評に感銘を受けました。本に書かれたことばも人とのコミュニケーションで使うことばも同じだと気づき、それはいまの仕事にも活かされています。ただ生きるのではなく、豊かに生きるためのことばを届ける活動をこれからも続けていきます。

ライター 西岡拓哉 2015年度卒業 株式会社グループ エス・エヌ・イー

読者とコミュニケーションすることで
文章を磨いていく

 現在僕は株式会社グループSNEという作家集団に所属し、シナリオおよびゲームライターとして働いています。具体的には、会社と関係会社が制作しているゲームのシナリオを一部執筆したり、発売が決定したゲームの特集記事を雑誌に書いたりと、仕事はほぼすべて「ライティング」といっても過言ではありません。
 物書きとして現場で働くうえで、非常に役立った授業は、互いの作品についてコミュニケーションできる授業です。授業で培った知識を用いて、自分ひとりで作品を書くことができても、読んだ人の感想は作者には思いがけないものばかりで、意見を参考にして掘り下げることで自分の文章が磨かれた経験が多々ありました。
 ライターという職業でも読者の知りたいこと、面白いと感じる部分を文章で際立たせる必要があり、そのために読み手と意見を交わすことは文章を書くことと不可分だと感じています。

詩人 宿久理花子 2011年度卒業

書きながら考えたり
文字にして伝えるのが私のやり方

 2年間会社員として働いて、いまは出版社とコールセンターのアルバイトを掛けもちしながら、詩を書いたり、詩のイベントを主宰したりしています。
 はじめての詩集『からだにやさしい』(2015年11月、青磁社)を出版して、それが今年の中原中也賞最終候補に選ばれました。これからも詩や小説を書いていくだろうと思います。
 言葉を選ぶことと選ばないことの連続で、それによって伝わることがぜんぜん違ってくるから、自分一人が満足するのではなく誰かに何かを伝えようとしたときに、とても怖くてとてもしんどい。言葉の力みたいなものがようやく分かってきた感じかな。でも、私はうまくしゃべれへんので、活字にして伝えるとか、書きながら考えるということが必要なんだと思っています。