グローバル・ゼミGLOBAL SEMINAR
芸術表現・研究〈リサーチベースドアート、キュレトリアルスタディーズ〉

トップアーティスト、キュレーターを生むことだけを考え抜いたゼミ
このゼミでは総合力と跳躍力のあるアーティストやキュレーターを育てます。つまり、世界を俯瞰的に捉え、広い視野から世界の動向を把握できるような総合的な視点をもち、自分なりのリサーチを蓄積していくことによって、その後の跳躍を助ける知識をもつ人材になるということです。加えて、世界のアートシーンでは英語力が問われるため、授業やゲスト講師とのコミュニケーションはすべて英語で行います。在学中に可能な限り多くの学びと気づきを得て、卒業後にアーティストやキュレーターとして世界のアートシーンで高くジャンプできる人材を育てたいと思っています。
ゼミの特長
世界のアートシーンを肌身で学ぶ
世界のアートシーンで活躍するためには、その現実を実体験から学ぶ必要があります。そこで本ゼミでは、京都、東京、海外といった様々な学外研修プログラムを用意。著名美術館、ギャラリー、スタジオビジットを通して「世界の空気」を学びます。
時代を生き抜くための能力を培う
ポスト・インターネット時代を生き抜くために必要な素養は、創作技術だけにとどまりません。情報収集、調査研究、知識の編集、プレゼンテーション能力といったクリエイターに求められる様々な「サバイバル術」を、共同リサーチ・プロジェクトを通して培います。
2022年度ゲスト講師
ホー・ツーニェン
アーティスト|シンガポール
歴史的、理論的なテキストとの関わりから始まる映像、インスタレーション、パフォーマンスを制作するアーティスト。 近年の展覧会に、ハマー美術館(2022年)、豊田市美術館(2021年)、山口情報芸術センター(YCAM)(2021年)、エディット・ルス・ハウス・フォー・メディアアート(オルデンブルク、2019年)。グループ展では、あいちトリエンナーレ(2019年)、第12回及び13回光州ビエンナーレ(2018年・2019年)、ベルリン・世界文化の家(HKW)での「2頭もしくは数頭の虎」展(2017年)など。台湾のアーティスト許家維とともに、国立台湾美術館で開催された第7回アジア・アート・ビエンナーレ「山と海を越えた異人」をキュレーション。 2015年から2016年まで、DAADレジデントとしてベルリンに滞在。

サスキア・ボス
キュレーター|アムステルダム・オランダ
アムステルダムに拠点を置く、美術家・インディペンデント・キュレーター・批評家。アムステルダムのデ・アぺル・アートセンターにてディレクター兼キュレーターやニューヨークのクーパーユニオン大学芸術学部学部長を歴任。これまで国際プロジェクトへの参画を通して複数回来日経験があり、日本人作家との協働も多い。現在もニューヨーク、ジャパンソサエティの理事を務めており、日本への関心は高い。また、国際美術館会議(International Committee for Museums and Collections of Modern Art: CIMAM)の理事、文化に関するヨーロッパ・ソサエティ (Societe Européenne de la Culture: SEC)および国際美術評論家連盟(Association Internationale des critiques d’art : AICA)の理事も兼任する。

ヤン・ヘギュ
アーティスト|ソウル・韓国
ヤン・ヘギュの作品は、紙のコラージュからパフォーマンス型の彫刻、日常の事象に焦点をあてた大規模なインスタレーション、ハンドメイドの彫刻など多岐にわたる。その作品は、視覚的抽象を操る流暢な文体に特筆され、それらは歴史上の人物や出来事に関する彼女のリサーチに基づいている。複数の感覚にうったえかける環境は、制御不能で刹那的なコノテーションを示すものであり、そこには共有不可能な認識領域へと我々を接続させる時間、場所、形態そして経験が含まれる。マイアミ・ビーチのバス美術館(2019)、ニューヨークの近代美術館(2019)、サウス・ロンドン・ギャラリー(2019)、ミラノ・トリエンナーレ(2018)、ケルンのルードヴィッヒ美術館(2018)、ベルリンのKINDL-現代アートセンター(2017)、ハンブルグ美術館(2016)、パリのポンビドゥー・センター(2016)、サムスン美術館リウム(2015)などで個展を開催。

ライアン・タベット
アーティスト|レバノン
ベイルートを拠点に活動。自身の経験とリサーチに基づきながら、個人的なナラティブを通して、主な社会政治的出来事についてのオルタナティブな見解をもたらすストーリーを探求している。建築と彫刻の知見を基盤に、物理的かつ時間的な距離の認識を再構成するインスタレーションによって、構築環境とその歴史のパラドックスを紐解く。近年、ウォーカー・アートセンター、ストアフロント美術建築ギャラリー、メトロポリタン美術館、パラソルユニット現代美術財団、ルーブル美術館、ニームのカレダール、ハンブルグのクンストファーレン、ヴィッテ・デ・ヴィット現代美術センターで個展を開催。彼の作品は、マニフェスタ12、第21回シドニー・ビエンナーレ、第15回イスタンブール・ビエンナーレ、第32回サンパウロ・ビエンナーレ、第6回マラケシュ・ビエンナーレ、第10回・第12回シャルージャ・ビエンナーレ、第2回ニュー・ミュージアム・トリエンナーレでも注目されている。

エリック・ボードレール
アーティスト、映画監督|米国
政治学者としてトレーニングを受けた後、写真、版画、ビデオを取り入れた研究に基づいた実践により、ビジュアルアーティストとしての地位を確立。 2010年以降は、映画制作を中心に活動する。長編映画《アン・フィルム・ドラマティーク》、《別名ジハード》、《マックスへの手紙》、《アグリー・ワン》、《重信房子、メイと足立正生のアナバシス そしてイメージのない27年間》はロカルノ、トロント、ニューヨーク、 FIDマルセイユ、ロッテルダムなど多くの映像祭で上映された。 ボードレールの主な個展はヴィット・デ・ウィット(ロッテルダム)、タバカレラ(サンセバスティアン)、フリデリツィアヌム美術館(カッセル)、ベイルートアートセンター、ガスワークス(ロンドン)、ハマー美術館(ロサンゼルス)など多数。 2017年ホイットニー・ビエンナーレ、2014年ヨコハマトリエンナーレ、2014年ソウル・メディアシティ、2012年台北ビエンナーレに参加。 2019 年グッゲンハイム財団フェローシップ、同年にマルセル デュシャン賞を受賞。

荒木 悠
アーティスト、映画監督|日本
米国ワシントン大学で彫刻を、東京藝術大学では映像を学ぶ。日英の通訳業を挫折後、誤訳に着目した制作を始める。近年の主な展覧会にシドニーオペラハウス(2021年)、ポーラ美術館(2020年)、資生堂ギャラリー(2019年)、アートソンジェ・センター(ソウル、2019年)など。上映は、ロンドンICA(2021年)、マルセイユ国際映画祭(2021年)、ロッテルダム国際映画祭(2018年、2020年)など多数。2017年に光州のアジアカルチャーセンター、2018年にはアムステルダムのライクスアカデミーにゲスト・レジデントとして滞在。2019年はフューチャージェネレーション・アートプライズのファイナリストに選出される。恵比寿映像祭2023「コミッション・プロジェクト」に参加予定。

2022年度講義科目(芸術分野特論)講師
浅田 彰
京都芸術大学大学院芸術研究科教授、ICA Kyoto所長|日本
京都大学経済学部卒業。京都大学経済研究所・准教授を経て、京都芸術大学(旧:京都造形芸術大学)大学院長就任。哲学・思想史のみならず、美術、建築、音楽、舞踊、映画、文学ほか多種多様な分野において批評活動を展開。

島袋 道浩
京都芸術大学大学院芸術研究科客員教授、アーティスト|日本
1990年代初頭より国内外の多くの場所を旅し、そこに生きる人々の生活や文化、新しいコミュニケーションのあり方に関するパフォーマンスやインスタレーション作品を制作。詩情とユーモアに溢れながらもメタフォリカルに人々を触発するような作風は世界的な評価を得ている。近年ではモナコの国立新美術館(2021年)やベルンのクンストハーレ(2014年)で個展を開催。パリのポンピドゥー・センターやロンドンのヘイワード・ギャラリーなどでのグループ展やヴェニス・ビエンナーレ(2003年、2017年)、サンパウロ・ビエンナーレ(2006年)、ハバナ・ビエンナーレ(2015年)、リヨン・ビエンナーレ(2017年)などの国際展にも多数参加。ドイツ、ブラウンシュワイグ芸術大学HBKの客員教授(2005-2006年)やチューリッヒ芸術大学ZHdkの客員講師(2014-2015年)なども務める。

遠藤 水城
京都芸術大学大学院芸術研究科客員教授、東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)代表|日本
キュレーター。art space tetra (2004/福岡)、Future Prospects Art Space(2005/マニラ)、遊戯室(2007/水戸)などのアートスペースの設立に携わる。 2005年、若手キュレーターに贈られる国際賞「Lorenzo Bonaldi Art Prize」を受賞。2007年、Asian Cultural Councilフェローとして米国に滞在。同年より2010年までARCUS Projectのディレクターを務める。2011年より「東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス」エグゼクティブディレクター。2017年、ヴェトナムはハノイに新しく設立されたVincom Center for Contemporary Artの芸術監督に就任。国際美術評論家連盟会員。これまで国内外で多数の展覧会を手がけている。

( 写真 麥生田兵吾 )
大坂 紘一郎
京都芸術大学大学院芸術研究科准教授、
キュラトリアルスペース「アサクサ」代表|日本
インディペンデントキュレーター、ライター。1979年生まれ。批判的思考を促す現代アートのプラットフォームとして2015年に「ASAKUSA」を創設し、現在まで代表を務める。近年の主な展覧会に、ニューヨーク「e-flux」での『機械の中の亡霊(CIAを考える)』(2019年)、香港の現代アートセンター「Para Site」でのレジデンス滞在中に企画した『呪いのマントラ』 (2019年)など。ICA京都 (Institute of Contemporary Arts Kyoto) プログラムディレクター。
