京都造形芸術大学大学院SDI ──ソーシャルデザイン・インスティテュート

京都造形芸術大学大学院SDI
──ソーシャルデザイン・インスティテュート

ソーシャルデザインの未来を学ぶ

「人と発見をつなぐ」「人と実践をつなぐ」をポリシーに専攻の枠や既存の価値観にとらわれない学びの場を目指す京都造形芸術大学。伝統芸術から最先端ポップカルチャーまで、幅広い領域・分野に取り組んでいる。この大学院SDI(ソーシャルデザイン・インスティテュート)では、社会の課題をデザインで解決していく。広義のデザインをベースに社会の課題に対してソリューションをみつけ、解決に向けて取り組んでいく実践的デザイン教育の場を提供している。

大学院SDIが目指す社会導入実験

従来のアイデアやカタチ、色だけにとどまってしまう研究提案では、社会への還元は何も起こらず、学生たちのモチベーションも下がってしまう。実現し、社会導入実験できるリアルな研究のために、キャッシュフローも含めた循環経済にどう落とし込むかを考え、商品化し、マーケットインするために、専門領域に限らない広いデザイン領域を横断するデザインの目を養うことを目的とした。

ソーシャルデザイン社会導入研究

デザインがソリューションツールであることを利用し、社会問題の解決にいどむ研究テーマがメインのゼミとなる。小さなプロダクトデザイン一つが多くの命を救うかもしれない。あるいは何かをしっかり可視化し伝えるだけで、スムーズになることがあるかもしれない。デザインを総合的に統合し、そこに経済的な知恵、工学的な工夫、マーケティングや広報手段を加えることで、アイデアだけに終わらずに実現し、実際にその効果を体感できるかもしれない。SDIでは、マスターで研究したソーシャルデザインのプランをまずはwebコンテンツとして公開し、ドクターで実現していくプログラムを持っている。

京都造形芸術大学 プロダクトデザイン 学科・修士・博士カリキュラム

METAPHYS パートナー
共同開発研究

マスター2年次からは、大学院のサテライトとしてハーズ実験デザイン研究所でのインターンが始まる。ここでは商品化し、マーケットインするための研究対象として、METAPHYSパートナー企業との共同研究がある。これによって、ソリッドワークスを用いた3Dデジタル設計とラピッドプロトタイピングによる立体出力などのデザイン開発だけでない、総合的なスキルをマスターすることができるしくみになっている。コアコンピタンス研究、製造方法の研究、マーケティング研究、商品企画、感性価値研究、行為のデザイン研究、ブランディング研究、グラフィックデザイン、広報化研究、コスト計算スキルなども、実践として学んでいくしくみを採用している。

事例 -「社会課題」への挑戦-

事例1 水が原因で毎日、
6000人の子どもが亡くなる
現実を解消したい

京都造形芸術大学大学院SDI
千葉 陽

汚水を飲料水に変える「鍋蓋型蒸留水生成装置」

現在、世界人口の5分の1が水不足で苦しんでおり、毎日、水が原因で6000人の子どもたちが亡くなっている。10年後には3分の2が水不足で生活が困難になると言われている。

水不足のエリアにおける低所得層の人たちは、いくつか水精製装置を用いて命をつないでいる。しかし、蒸留量が低いことによるサイズの肥大化や、それにともないコストアップの問題が起こっている。

そこで、蒸留量を上げるために、発展途上国で年々普及している簡易型ソーラークッカーに着目。これを熱源として用いることにより、水精製の効率とコストダウンを実現する方法を考案した。

具体的には集光装置に鍋を置き、汚れた水を入れ「鍋蓋型蒸溜水生成装置」を設置する。太陽光を集光装置が集めることで鍋の水が沸き、水蒸気が結露し、蒸留水を短時間で生み出すことができる。

また、集光装置として既存のソーラークッカーや現地の段ボールによる自作タイプのものを使うことで、低コストによる蒸留水生成が可能となる。

さらに、クリーンな水を生み出すことだけに限らず、ソーラークッカー自体の普及にもつながることが期待される。

事例2 環境汚染の恐れから
禁止される灯籠流しを
続ける方法はないのか

灯籠「ほおずき」

京都造形芸術大学大学院SDI
堀ノ江 匠

消え行く伝統行事を守る
「灯籠流し再興プロジェクト」

日本の伝統行事である灯籠流しは、各地で慰霊の際に行われている。従来の灯籠流しは、灯籠を海や川に放流していた。しかし、近年環境汚染の恐れから、禁止する地域が増加し、問題を改善するべく、水溶性灯籠が市販化されたが、水に溶けた後、糊状になり水底に沈殿することが指摘され使用禁止となった経緯がある。そのため現在では回収を前提に行事を行う地域がほとんどだが、その回収コストから中止に追い込まれる自治体も多い。

この回収型のしくみは、参加者からすれば、目の前で回収され情緒や想いが伝わらないという不満の声が多い。これを踏まえて伝統的行事の存続を考え、回収を目的にした灯籠を考案し、行事のオペレーションまで改変し解決へ導くことにした。

灯籠は、LED(ソーラー充電式)が組み込まれている本体と供養紙の2パーツで構成されている。灯籠本体は和紙調の耐水性プラスチックで成形されており、小さく折りたたんで保管できる。

供養紙に個々の想いを記入し、灯籠本体に挿入する。LEDを点灯し、河川に流す。その後、回収し、供養紙を取り出し運営側が寺などで供養する。「祈願をするための回収」という意味を付加することで、消えゆく行事をサステナブルなしくみに変えた事例だ。

事例3 高齢化、テントの老朽化による
土佐日曜市の来客数減少を
食い止めたい

フラフの連なる街路市

京都造形芸術大学大学院SDI
百田 俊一

フラフで美しい軒並みを創る「土佐日曜市活性化プロジェクト」

高知市で300年もの歴史を持ち、500店舗もの露店が立ち並ぶ「土佐の日曜市」は、終日路上で行われる街路市として日本一の規模を誇る。歴史ある日曜市だが、さまざまな問題も抱える。

たとえば、「高齢化」「テントの老朽化」などのさまざまな社会課題をかかえ、訪れる顧客の減少も著しい。日曜市の活性化の材料として、フラフをモチーフとした暖簾を利用するアイデアだ。

フラフとは、男の子のたくましく健やかな成長を願い、端午の節句に高知県高知市から東部の海岸地域まで、主に鯉幟(こいのぼり)や幟とともに立てられている旗のことで、大漁旗の起源とも言われる。

このフラフをモチーフとした暖簾を各店舗ごとのオリジナルデザインで連ねていくことで、店舗ごとの特性を表現する。それとともに全体の統一感を創出することで、美しい軒並みを創り出すことを提言した。高齢者が組み立てやすいテント構造、雨天時にも傘なしで通行できる仕様など、プロダクトデザインだけでなく、この観光資産化によって、高知市への集客を高め宿泊施設、商店街、交通機関、観光業への経済的波及が予測される。そのことから、フラフとテナントへの出資をファンド化することも視野に入れ提案している。

水が原因で毎日、6000人の子どもが亡くなる現実を解消したい

環境汚染の恐れから禁止される灯籠流しを続ける方法はないのか

高齢化、テントの老朽化による土佐日曜市の来客数減少を食い止めたい

ハーズ・ソーシャルデザインオープンデスク

世界中の学生たちが学べる場を提供する

ハーズでは、「ソーシャルデザイン・オープンデスク」制度を設けている。毎年世界中から、10名程度の学生たちが参加している。自国の社会問題をデザインで解決するソーシャル・デザインの課題制作と並行して、現場を体感するデザインアシスタントを兼務、通常1カ月間の指導を受けることができる。(応募には、プロダクトデザインの3Dスキル、プレゼンテーションスキルおよび日本語か英語の言語能力が必須)。こうした経験を通して学生は取り組みたい自国のイシューテーマを決めて、ソーシャル・デザインをカタチ(3Dレンダリング)にしている。それぞれの取り組み事例を簡単に紹介する。

オープンデスクの学生たちが取り組むソーシャルデザイン事例

スイス

Mugi Yamamoto ハイカーのゴミの放置の問題
スイス登山のごみの持ち帰りをうながす収集システムとアプリ

トルコ

Ahmet Barak Akta 「オットー伝説」の寄付の石碑がいまに通用しない問題
ゲーム感覚でコイン募金できるストリートファニチャー
Adem Onalan 水道のインフラができていない問題
給水場から持ち帰ったタンクをそのままセットできるキャリングタンク内蔵のシンク

インドネシア

Annya Suhardi 露店のプラスチックコップが環境破壊を引き起こしている問題
日本の折り紙をヒントにバンタンリーフ、バナナリーフでつくる自然素材パッケージ

台湾

Tim Hsiao 台風による農作物被害の問題
もみ殻を圧縮した柱を畑の畝に埋め、土壌の脆弱さを補う土壌改良のシステム
Huang Yi-Tien ゴミ回収を営む高齢者の問題
職と安全が確保できる移動式分別ゴミ回収所のデザインと定点配置
Sun Yi-Tien 処理されない牡蠣の殻が悪臭を放つ海産物加工地域の問題
貝殻を砕いて粉状にし、漆喰塗料をつくるアイデア
Chiu Yu-Hsuan レジ袋の問題
レジ袋のいらないアイテム別引き出し型キャリングカート
Hsing Yu Hsu 夜市の串焼きのゴミが危なく回収しづらい問題
藁に刺すことで、しだいにハリネズミになっていくアフォーダンスオブジェ
Tu Chun-Yi プラスチックバッグが膨大なゴミとなっている問題
プラスチックバッグの2次使用によってゴミの総量を抑えるプロダクツ

韓国

Won-gyung Lee キャンプ場でのゴミ問題
竹でつくられた紙を用いた、鳥の巣にもなる皿・カテラリー
Seongin Kim 大気汚染問題
自転車に取り付けられるイオン発生器

ソーシャルデザインプロジェクトワーク

村田智明およびハーズ実験デザイン研究所が関わっている
ソーシャルデザインプロジェクトワーク事例

【ECO PRODUCTS DESIGN COMPETITION】

実行委員長/大阪市/おおさかATCグリーンエコプラザ/財団法人大阪デザインセンター/ NPO法人エコデザインネットワーク/大阪デザイン振興プラザ/アジアトレードセンター株式会社

協賛企業がテーマを提示し、公募により選ばれたアイデアを商品化することで、単なるデザインコンペではなく、エコの実質的促進、啓蒙を目的としている。

【百年物語】

巳年、午年、デザインプロデューサー/にいがた産業創造機構×新潟企業12社

「100年後にも大切にしていきたい生活文化を楽しみ、維持し、継承していくための道具」が基本テーマ。
毎年1人のデザインマネージャーを定め、企業とデザイナーをコンサルティングし、商品群を開発する。国内のみならず、欧米のハイエンドマーケットで高い評価を受けている。

【iiZA ECHIZEN JAPAN】

ディレクター/越前ブランドプロダクツ・コンソーシアム/福井

越前打ち刃物を中心とした、福井の伝統産業の魅力を国内外にアピールするためのブランディング事業。
「2010 IF Design Award」「2010 アンビエンテ Design PLUS賞」「2010 感性価値デザイン展(金沢・香港)セレクション」2010Gマーク受賞。

【感性価値創造ミュージアム in kobe】 

実行委員長/経済産業省/独立行政法人中小企業基盤整備機構/兵庫県/神戸市

消費者の感性に働きかけ、感動や共感を得ることができる魅力を包含する「感性価値商品」を選定、新たな価値基準を啓蒙する事業。

【TOKYO CRAFTS&DESIGN新伝統工芸プロデュース事業】

アートディレクター/東京都美術館、東京都中小企業振興公社、公益財団法人日本デザイン振興会

江戸文化を伝える41品目の伝統工芸と、デザイナーとのマッチングによる、新たな文化価値創造のコンペ事業。
2013 Gマーク受賞。

【SOCIAL DESIGN CONFERENCE 2012 〜2014】

実行委員長/アジア太平洋トレードセンター株式会社/一般財団法人大阪デザインセンター/大阪市/大阪デザイン振興プラザ/おおさかATCグリーンエコプラザ/ NPO法人エコデザインネットワーク

ソーシャルデザインに関する理解を深めるためのカンファレンス。
2012年テーマ「デザインで日本再生を考える20日間」国内外の69の事例展示とカンファレンス。
2013年テーマ「2033年の日本に向けたグランドデザイン」東京・大阪の5回のカンファレンスを通して30人の有識による提言発表。
2014年テーマ「A+A)リアルタイムプロジェクトが生むダイナミズム——理論と実践の同時進行」。

【KYOTO D-School】

審査委員/公益財団法人京都高度技術研究所ASTEMの京都市地域プラットフォーム事業

京都地域における起業や新事業の創出を促進させ、地域産業や経済の活性化を図るため、経営戦略や新規事業を立案されている人などを対象に、顧客との関係性構築のための「共感力」「発想力」「表現力」などのスキル向上を目的とした講座である。文章引用(http://kyoto.dschool.jp/aboutus/)

【Design Support Project(DSP)】

審査委員

産業の根幹をなすデザインが軽視されがちな日本産業に着目し、デザイナーにとってフェアな環境づくりをサポートする目的で立ち上げられた大阪のファンド事業。
知的財産法務、デザインの事業化、経営・会計、情報管理などに関して、創作意欲、権利意識およびビジネスセンスを高めることを目的としてデザイナー向けセミナーを開催している。

【ニイガタIDSデザインコンペ】

審査委員/財団法人にいがた産業創造機構

商品化の手前で専門化集団がアドバイスする「地域発ブランド」振興コンペ。

【WANOKI プロジェクト】

田辺市・田辺森林組合・龍神村経済局・G.WORKS・TREE・ハーズ実験デザイン研究所

和歌山県産の杉、檜を使い、都心部への商品供給を果たすブランド創生を目的とした木工プロジェクト。

【sebanz・レザーシリーズプロジェクト】

公益財団法人/姫路・西はりま地場産業センター/兵庫

全国の70%の生産量を誇る牛革の産地でありながら、最終商品がないために生産地として知られていなかった西播地域を、商品と共に訴求するプロジェクト。

【残糸シルクプロジェクト】

株式会社宮下織物/山梨県 富士吉田地域織物メーカー

捨てるしかなかった少量のシルクの残糸を集め商品化するプロジェクト。貴重な資源を使い切ることで新たな商品価値を生み出す。

【gekka suiu・錫製酒器】

大阪錫器/大阪

伝統工芸品 大阪浪華錫器メーカーとのコラボレーション。注ぐときの所作が美しくなる酒器、gekka、鏡餅に見立てた華やかな酒器suiuを開発。
2009 感性価値創造ミュージアム(gekka) 2011 Design for Asia Award Silver Award(gekka) 2013 Design for Asia Award Grand prize(suiu)。

【METAPHYS HOUSE】

株式会社さつまホーム/大阪

国内最高基準の断熱性、気密性さらに全熱交換換気システムを導入した次世代スマートハウス。漆喰壁や無垢のフローリングなど、調湿性の高い素材を採用し、安全な空気環境をデザイン。ストレスを軽減する和みをテーマに、住まいのあり方を提案。2011 Gマーク受賞。

【薪ストーブ】

フタガミ/クリエイトテーマ/高知林業組合/高知

これまで使用されていなかった針葉樹を使用できる薪ストーブの開発。
ホームセンターが開発に関わることで販路が確保され、間伐材を有効利用することで、林業の振興につながる。

【白兎神社お守り】

鳥取県経済観光部観光コンベンション推進課/鳥取

鳥取市観光産業育成支援事業
鳥取県の観光産業の振興を目的に、大国主命で有名な白兎伝説を持つ白兎神社のお守りを開発。兎をモチーフにした縁結び守りが人気を博している。

【太陽光発電LED照明】

日本ハイコン株式会社/鳥取県 石田商事株式会社/鳥取県 日下エンジニアリング株式会社/鳥取県

鳥取県産官学連携事業。循環型社会の確率を目標に、廃瓦を利用したコンクリート二次製品の開発。
リサイクル材利用×自然エネルギー×省電力LEDによるエコプロダクトの創造を目指した。2011年Gマーク受賞。

【Kite Plane RESQUE 1.0】

株式会社スカイリモート/熊本 株式会社アトリム/大阪

災害時情報収集用無人航空機(UAV)。風速10m/sでも飛行可能。自重の40%に相当する 600gの情報収集機器を搭載できるなどの優れた機能を持つ。2005年Gマーク中小企業庁長官賞受賞。

【PET & ECO】

自治体の赤字回収の問題、PET再生材料の海外流出や非再生廃棄の問題など、PETボトルのリサイクル問題を解決するしくみも含めた提案である。子どもが保育園などの施設にPETボトルを持ち寄りこの装置でつぶす。集まったものを資源再生業者が直接回収することでコスト問題を解決、実効的エコリサイクルにつなげる。子どもや施設にはお礼にPET再生品を提供する。楽しい社会参加、教育機会となるよう、過程の可視化と効果の実感を重視している。2013 Gマーク受賞。

【日本形・不形 村田智明設計展】

台湾デザインセンター・成功大学・南台科技大学・京都造形芸術大学

デザインメソッドをコンセプチュアルに解き明かす約5か月間の展覧会。併設として日台の学生のソーシャルデザインプレゼンテーションが行われている。

【co-design(デザインビジネス塾)】

講師/財団法人大阪デザインセンター

プロデュース能力のあるデザイナーを育成するためのプロ向けワークショップ。

【デザコン(全国高等専門学校デザインコンペティション)】

創造部門/審査委員長/高等専門学校連合会

主に土木建築系学科の学生を中心にデザイン専門学生が取り組むデザインコンペ。より良い生活空間について考え、提言するコンペとして全国の高等専門学校で開催している。

【福井デザインアカデミー】

講師/公益財団法人ふくい産業支援センター

企業内における、デザインマインドを持つ人材を育成するための研修セミナー。

【鳥取県デザインセミナー】

講師/鳥取県産業技術センター/鳥取県産業振興機構

それぞれの企業が、本来の意味でのデザインを活用することで、市場における商品力を目的としたデザインワークショップ。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。