在学生紹介

山島

孫 天宇さん[ 芸術専攻 修士課程 2年次 ]

中国出身。母国の大学でドキュメンタリー制作を学び、日本へ留学。三重県の林業、北海道の猟師を取材した際に、猟犬や猟師にもカメラを装着、臨場感のある映像を撮影した。『KUAD ANNUAL 2020 フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート』に映像作品として初めての出展を果たす。

一人だから、どこまで行くか自分で決められる。
関係性を築く過程も、作品になる。

日本のドキュメンタリーを初めて見たとき、とても驚きました。事実を教科書的に伝える中国のドキュメンタリーとは全く違い、作り手の視点や考え方を色濃く反映した世界が、そこにはありました。今の指導教員である北小路隆志教授と出会ったのは入学説明会。私は“一人称”の視点から撮るドキュメンタリーに憧れていたのですが、北小路教授は「それだけでは浅い」と、私に“立体的”な視点を持たせてくれました。教授のもとで研究計画を練り直し、フィールドワークへ。日本の都市は、グローバリズムの影響もあり、他の国との違いを見つけることが難しくなっています。私は、地方に残る伝統的な営みや、厳しい環境で暮らす人々の中に、“日本の独自性”を見つけ出したいと考えました。たとえば、自然に対する観念も都市と地方では大きく異なり、奈良の観光地では人に親しまれている鹿が、隣の三重県では害獣として駆除されている。どちらも日本。その対比を示すことで、日本の現状の一端を、映像から描き出そうと試みました。一人で地域に入り、生活を共にするうちに、関係性をつくるまでの過程も映像作品の一部となっていることに気づきます。一人での撮影には孤独も付きまといますが、一人だからこそ、「どこへ行くか」「どこまで追求するか」自分自身で決められる。そんなドキュメンタリーの魅力を生かし、まだ誰も知らない物語を届けていきたいです。

山島

[左] Plants for Advice (2017) /[右] Untitled Mirror (2018)

ニコラス・ジョセフ・ロックさん[ グローバル・ゼミ 2年次 ]

アメリカ出身。幼い頃から写真に興味を持つ一方、詩や小説を中心に言葉の世界にも関心を深める。The School of Visual Artsで写真を学び、言語から興味を持った日本へ留学。現在は、言葉を使わず世界の人々と対話する「写真会話」というテーマで研究・制作を試みながら、学芸員の資格取得をめざす。

「政治とアート」の関係から、
国家のアイデンティティに深く切り込む。

ニューヨークの美術大学で写真を学びながら、アメリカのアートに対する意識に問題を感じていました。国立美術館を持たず、国民の目も世界のアートに向いていないように思われたのです。世界のアートシーンについて関心の高い海外の大学院で学びたい。そう考えていた時、大学の教授を通じて「グローバル・ゼミ」と出会いました。ゼミでは世界各地から招いたアーティスト、キュレーターをゲスト講師に、2週間にわたる集中的な講義を展開していきます。振り返ると、年間のカリキュラムにはひとつの流れがあり、ゼミのアドバイザーである片岡真実教授の巧みなキュレーションを感じます。たとえば、「政治とアート」に言及した2人の講師、アーティストのスーザン・ノリーさんからキュレーターのデビッド・テさんへのつながりは素晴らしく、まったく異なる視点から議論を深めることができました。スーザンさんの授業では、「福島の原発に関する政府の動向」を考察し、アーティストとしてどのようにアプローチするかを議論しました。一方、デビッドさんが取り上げたのは「博物館と政策の関係性について」。国ごとのアートに対する意識の違いや、博物館・美術館に求められる役割を考え、豊かな価値観にふれました。今は、このゼミを通して学芸員の仕事に興味が湧き、資格取得をめざしています。日本から、世界のアートを見つめていけたらと願っています。

[左] いい場 (2018) [中] Untitled Void (2019) [右] Something Impossible (2020)

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

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