在学生の紹介

アートの空気と、世界のスピードを、そのまま運び込んでくれた。

石井 潤一郎さん[ グローバル・ゼミ 1年次 ]

福岡県出身。九州の大学を卒業した後、レジデンス・プログラムに応募。2004年よりアジアから中東、ヨーロッパを中心に20ヵ国以上でアートを制作・発表。国際展「10th International ISTANBUL BIENNIAL: Nightcomers(トルコ'07)」「4th/5th TashkentAle(ウズベキスタン/'08/'10)」「2nd Moscow International Biennale for Young Art(ロシア'10)」「ARTISTERIUM IV/VI(グルジア/'11/'13)」など、個展、グループ展多数。http://junichiroishii.com/

20ヵ国で経験したことを、
学術的な文脈の中へ、置き換えていく。

私は2002年に学部を卒業して以来、海外に身を置き、その土地ごとに作品をつくってきました。韓国で2年、フランスで7年、そして、チェコに移りプラハで4年間。世界の様々な土地で、どのようなアートが、どのような文脈のもとで営まれているのかということに興味があり、ローカルな場所に飛び込んで体で覚えようと、20ヵ国以上で制作・発表を行ってきました。
海外でいろいろな経験をする一方で、マスターで学びたいという長年の想いがありました。「経験」として知ることはもちろん大事なのですけれど、そこから得たものを「学術的な文脈」の中に置き換えていくことが、とても重要だと考えています。「自分が経験したことは何だったのか」。個人的な追憶として留めるのではなく、学術的な言葉で説明できるようになりたいと考えました。
日本に戻ってくることが決まり、京都造形で「グルーバル・ゼミ」というものが開設されることを聞いて、まさに私の求めている学びだと感じました。世界のアートの動向や、ますます変化のスピードを増す社会への適応。これらは作家としての私の興味でもありますし、一個人としての興味でもあります。これほど時代にマッチしたコースはないと考え、チャレンジしました。

学ぶことで、作品は変わらなくとも、作品がどこへ行くかは変わる。

先日、オランダのキュレーター、サスキア・ボスさんを講師に、初めての集中授業が行われました。2週間、面白くてたまりませんでした。アートを身体的に感じている人が、ここに来て、そのままの空気を運び込んでくれている。世界のスピードが入ってきたような感覚がありました。楽しい。ここが自分の生きている場所だと実感しました。
アートは西洋で生まれて、いろいろな歴史が積み重なってきました。コンテンポラリーアートをするのであれば、その文脈を踏まえて、歴史を参照し、引用して、コンテンポラリーアートというフィールドの中でプレイをしなければならないと思います。
サスキアさんの話には、当たり前のようにアートの歴史や展覧会のことが出てきて、ついて行くのが大変ではありましたが、それをごく自然にされているのを見ると、鼓舞されるものがありました。「勉強することで、あなたたちの作品は変わらないかも知れない。ただ、あなたたちの作品がどこに行くかは変わるでしょう」。最後の授業での言葉が、印象に残っています。つくった作品が実家の車庫に眠るのか、NYのギャラリーに行くのか。アートという国際的な文脈の中に、自分を位置づけていく力が、問われていると感じます。

きっかけを掴もうと、動き続けてる。絵を描いて生きていくために。

東 慎也さん[ 美術工芸領域 2年次 ]

大阪府出身。修士1年次に作品の世界観を形づくり、一度見たら記憶にのこるインパクトがありながらも、何度見ても飽きないような作品をめざす。修了展で生まれた出会いをきっかけに、東京EUKARYOTEでのグループ展「YOUNG ARTIST EXHIBITION 2019」に出展。

チャンスも、自分の手で創る。
アート・ワールドとのつながりを求めて。

絵を描くだけでは、作家になれない。絵を仕事にするには、ギャラリストに顔を覚えてもらったり、コレクターに作品を見てもらう機会を、自分から掴みに行くことが大切。学部時代に、大学院から作家への一歩を踏み出す先輩たちを見て、自分も同じフィールドに立とうと決めました。大学院に進み、学内外のイベントにできる限り身を置くようにしています。著名なアーティストやギャラリスト、コレクターの方々がキャンパスに来られる「Pr PROJECTS」には毎回参加し、朝方まで議論に加わります。先生方が個展を開かれるときはオープニングに顔を出させてもらい、アート・ワールドにいる方々と接点をつくろうとしてきました。

ギャラリストとの出会いが生まれ、東京のグループ展へ。

私の存在や作品を知ってもらうきっかけを創るために、行動を起こしてきた1年次。先輩たちの修了展を機に、自分のアトリエにも様々な方が来られ、作品が売れていきました。さらに、そこで出会ったギャラリストの方からメッセージが届き、東京でのグループ展が決まったのです。めざすものに、一歩近づけたという手応え。大学院に進んで作品の世界観のようなものを掴み、その作品を評価してくださる人が現れはじめた。社会に出てから自分がどうなるのか、まだくっきりとイメージはできないけれど、これからもずっと絵を描き続けていきたいし、そのために今できることを、これからもやり続けていこうと考えています。

グローバリゼーションが加速する社会を、キュレーターとして、生きていく。

黄 韶安さん[ グローバル・ゼミ領域 2年次 ]

台湾出身。復旦大学、卒業。複数の美術館(上海)での勤務を経て、日本へ留学。グローバル・ゼミの1期生として、グローバリゼーションが加速する社会におけるキュレーターの在り方を追求する。

キュレーターとしてのキャリアを築くため、
上海から京都へ。

日本に来る前は、上海の美術館でキュレーターのアシスタントをしていました。上海という街は成長速度が速く、グローバリゼーションを肌で感じます。こうした社会の中でキュレーションを手がけていくために、大学院で力をつけたいと考えました。世界からアーティストやキュレーターを招き、様々なバックグラウンドをもつ方から講義を受けられる「グローバル・ゼミ」に参加。アジアでは、日本からコンテンポラリーアートのムーブメントが湧き起こってきた歴史があり、このゼミに入れば、世界のことも日本のことも学びながら、自分のルーツである台湾のアートについても考察できるのではないかと考えました。

議論と発見を重ね、作品を理解する力、言語化する力を磨き上げる。

作品の背景にある目的や意義について、どのような解釈をするのか。作家のコンセプトを、どのように理解するのか。キュレーターとして仕事をするうえで大切なことだと考えています。グローバル・ゼミでは、ゲスト講師のもとで2週間、集中的に議論を展開していきます。その議論は、非常に多くの、そして多様な情報を含んでいます。ある時、2週間の締めくくりに2日で展覧会をつくるというミッションがありました。私はキュレーターとして、メンバーがどのように物事を考えているのかを発見し、それを集約し、言語化していきました。こうした濃密な日々をキャリアの初期に経験できることは、大きな財産だと思います。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。