KUA ANNUAL 2022 ディレクター 服部浩之

in Cm ゴースト,迷宮,そして多元宇宙

2022.2.24 THU-26 SAT 東京都美術館1階 第2・第3展示室 9:30-17:30(最終入場時間17:00) 会期中無休 入場無料

KUA ANNUAL 2022 in Cm ゴースト,迷宮,そして多元宇宙

KUA ANNUAL 2022 in Cm ゴースト,迷宮,そして多元宇宙

出口が見えない、先が見通せない。
そんな日々が2年近く続いています。
この状況下で学生生活を送る作家たちは公募時 のテーマ「C | 接触と選択」に対して、不確実な日々を敏感に感受し、迷宮を彷徨いながらも異なる世界のあらわれを予見するように、どこか不穏さ漂う表現を提示しました。かつて謳われた「明るい未来」という響きが白々しいと実感する彼らからは呑気で無邪気な提案はほぼ見受けられず、彼らの活動を解釈するようにこちらもチューニングを合わていきたいと思いました。
作曲家テリー・ライリーは《in C》 においてメジャーコードの音の重なりにより即興演奏・ミニマル音楽の新境地を切り開きました。限られた要素が反復しつつ複雑に変容し独特な迷宮世界を形成していくこの楽曲と通ずるものを、若い作家たちの実践 の集合に感じました。ただしメジャーコードではなく、マイナーコード「Cm」の半音ずれた響きで。
劇的に動きつづける世界を感得し、自らの位置を見出そうとする彼らの表現は、その不安や不確実さをあらわすに留まらず、ときに不協和音を奏でつつも複雑な思慮深さとともに新たな行動への気概も見え隠れします。
明確な答えや明るい出口は簡単には見つからないでしょう。
ゴースト、迷宮、そして多元宇宙へようこそ。

KUA ANNUAL 2022 ディレクター

服部浩之

京都芸術大学は、芸術教育のあり方を問い直し、芸術大学の学びが個人的な興味・関心から生まれる一方向的なメッセージに終始するのではなく、歴史・文化・社会・政治を複層的にリサーチし、未来の社会に対して芸術的視点から何が提案できるのかを考えてきました。学生選抜展「KUA ANNUAL」では、第一線で活躍するキュレーターを招聘し、これまでの4年間『シュレディンガーの猫』(2018)、『宇宙船地球号』(2019)、『フィールドワーク:世界の教科書としての現代アート』(2020)、「irregular reports ーいびつな報告群と希望の兆し」(2021)というテーマで本展を開催してまいりました。
今年度は、昨年度に引き続いてキュレーターに服部浩之 (インディペンデント・キュレーター、京都芸術大学芸術学部客員教授)を迎え、全学部生、院生を対象とし、100名を超える応募の中から15組18名の作家を選出しました。また同時に、アシスタント・キュレーターを公募し、5名が選ばれ、作家と並走して展覧会を実現しました。ぜひご高覧ください。

アーカイブ -ARCHIVE-

KUA ANNUAL 2022本展(東京)

2022年2月24日(木)から26日(土)まで、学生選抜展「KUA ANNUAL 2022 in Cm | ゴースト、迷宮、そして多元宇宙」が東京都美術館で開催され、800名を超える方々にお越しいただきました。瓜生通信にて、15組18名の作品、そして「in Cm」の不穏な迷宮世界をご紹介いたします。

瓜生通信

KUA ANNUAL 2022プレビュー展(京都)

2021年12月、京都芸術大学のギャルリ・オーブで開催されたプレビュー展。今年は浅田彰(ICA Kyoto所長、大学院芸術研究科教授)、竹内万里子(美術工芸学科学科長)、国枝かつら(京都市京セラ美術館アソシエイト・キュレーター)による講評会が開催されました。講評会の様子、そして展覧会のレビュー記事をお届けします。プレビュー展を踏まえ、本展をご覧いただくと、作家の軌跡や成長が感じられます。

瓜生通信

アクセス

東京都美術館

〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
TEL 03-3823-6921(代表)

JR上野駅「公園口」より徒歩7分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅「7番出口」
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当館には駐車場はございませんので、車でのご来館の際はご注意ください。

お問合せ

京都芸術大学 教学事務室

  • 075-791-9165