VOL.33
ひとつに
決められなくても
私は好奇心旺盛な性格で、興味を持ったことには積極的に挑戦したいと思っています。でも、その反面、1つのことだけを突き詰めるのは少し苦手でした。
高校では演劇部に所属し、役者だけではなく、演出や音響、照明など、さまざまな役割に挑戦していました。1つの役割に絞るよりも、「もっと他のこともやってみたい」という気持ちが強く、興味はたくさんあるけれど、1つに決めきれないことがどこか引っかかっていました。
そんな経験を通して舞台そのものの魅力に惹かれ、将来は舞台業界で働きたいと考えるようになりました。舞台業界について調べる中で、華やかな舞台を裏側から支えるスタッフの存在を知りました。でも、その「いろいろなことに興味を持つ自分」だからこそ惹かれたのが、舞台監督という仕事でした。舞台監督は、さまざまなスタッフや出演者と関わりながら、公演全体を支える仕事です。1つのことだけではなく、幅広い分野に関わる仕事だと知り、自分の性格に合っているのかもしれないと思いました。
舞台について専門的に学べる大学は全国的にも少なく、私は3つの大学で進学先を検討していました。京都芸術大学を初めて訪れたのは、⾼校2年⽣のときの「卒業制作展」のオープンキャンパスです。学生が制作した舞台美術や衣装の完成度の高さに驚き、学内の劇場・春秋座を見学して、本格的な設備にも魅力を感じました。
その後、オープンキャンパスで先生方と個別相談をした際、1年次は音響や照明、美術などすべてのセクションの基礎を学び、2年次にどの分野を専門にするかを選べることを知りました。舞台監督はあらゆるセクションと関わるため、幅広く学べる環境は理想的だと感じました。また、小劇場だけでなく春秋座でも実践的に学べることや、1年生から劇場でアルバイトができることも大きな魅力となり、京都芸術大学への進学を決めました。
受験では体験授業型入試を選択しました。一般的な入試とは異なる方式だったため、面接練習をしたり、舞台公演に積極的に足を運んだりしながら対策を進めました。成果物よりも熱意や取り組む姿勢を重視すると募集要項に書かれていたので、自分を必要以上によく見せるのではなく、舞台芸術を学びたいという気持ちを率直に伝えることを意識しました。
入学後は、舞台芸術学科が掲げる「協働」を日々実感しています。舞台は一人ではつくれず、多くの人と意見を交わしながら作品を創り上げます。京都芸術大学は学科やコースを越えて関わる機会が多く、多様な価値観や表現に触れられる環境があります。だからこそその中で、自分の考えが伝わらなかったり、相手の意図を理解できなかったりすることもありましたが、相手の話を最後まで聞き、自分の考えを言葉で伝えることを意識するようになりました。異なる価値観に触れることで、自分では思いつかなかった発想にも出会い、作品づくりを通して協働する面白さを実感しています。
現在は舞台制作だけでなく、1年⽣のワークショップ型授業であるマンデイプロジェクトのMS(マネジメントスタッフ)として、受講生と先生をつなぐ役割も担っています。多様な人の意見を調整しながら目標に向かって進む経験は、将来舞台監督を目指す私にとって大きな学びになっています。
高校生の頃の私は、「1つに決められない」という自分の性格を少し気にしていました。でも今は、それも自分の強みだったのだと⾒⽅を変えることができるようになりました。興味を持ったことに挑戦してきた経験が、舞台監督という目標につながり、大学での学びにもつながっています。これからもさまざまな経験を積み重ねながら、舞台を支える舞台監督として成長していきたいです。
舞台芸術学科
舞台デザインコース 2年生
静岡県⽴吉原⾼等学校出身
臼井 友菜

































