通信教育部

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2017年6月13日  授業風景

【芸術学コース】スクーリング「芸術学Ⅱ―3 芸術史:日本芸術史の諸問題」

 皆さん、こんにちは。芸術学コースの三上です。今日は、6月9日から三日間開催されました学部と大学院共通のスクーリング「芸術学Ⅱ―3 芸術史:日本芸術史の諸問題」(大学院の科目名は「芸術環境特論Ⅱ-1~4 日本芸術史の諸問題」)を紹介します。 20170613(1)

 

 講義ではまず、私の研究している横浜の実業家で美術コレクター、パトロンである原三溪について、三つのテーマで三日間、1講時から3講時まで話します。続いて4-5講時では、講義を受け、受講生たちが自分の考えを文章でまとめ、さらにそれについてグループごとに話し合って発表、そして全員でディスカッションしました。 初日では三溪とはどんな人だったのか、その生涯と事績、研究史を確認し、その時代背景を説明して、最後に三溪の古美術コレクションの内容と特徴について論じました。

 

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 これは三溪園の内園にある臨春閣と呼ばれる建物です。三溪園には三溪が各地から移築した歴史的建造物が自然の景観と調和するように配されており、関東でも有数の貴重な庭園といえます。余談ですが、芸術学コースのスクーリング「芸術学研修(芸術学フィールドワーク講義)b」でも、例年、秋の紅葉のベストシーズンに訪れていますので、興味のある方はぜひ御参加ください!この写真もその時のものです。今は木が成長して見えませんが、三溪の頃には臨春閣の縁側から下の写真、三溪園のシンボルとも言える旧燈明寺三重塔が見えていたようです。

 

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 こちらが旧燈明寺三重塔です。ちょうど17時の閉園間際で、薄暗くなっていますね。

 

 さて、初日の議論のテーマは「美術の受容の在り方について」。講義で三溪の古美術手記「美術品買入覚」から分かった古美術コレクションの特徴について論じた後、授業中課題の執筆に移ります。
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 続いて5つのグループに分かれ話し合いを行います。ちなみに、グループ分けは毎日行い、できるだけ前日と違う仲間と話し合ってもらいます(三日間、できるだけ重ならないようにするのは結構大変ですが)。 初日では、三溪たち近代数寄者による古美術蒐集は、古美術の大きな散逸を逃れさせたという意味で重要である、という意見に皆なるほどと納得しました。他に「パトロンとしての性格はどうだったのか」という、三日目のテーマを先取りする疑問も出ました。

 

 二日目は、三溪の近代美術コレクションについて分析し、三溪が同時代美術の愛好者でもあったことから、「同時代美術との関わり」をテーマとしました。この日も講義で感じた疑問や意見が飛び交い、充実したディスカッションが行われました。
 「美術家支援は未来に目を向けた発展的な意義があるのでは」という意見や、自分の卒論のテーマとひきつけて、江戸時代の画家ですらこうした工夫をしているのだから、当時日本画家たちが受容者開拓にもっと積極的に乗り出すべきだったのでは、といった具体的な発言も。最後は「古美術の蒐集は散逸を防ぎ、近代美術のコレクションは次世代に伝えるための意義が大きかった」という意見で締められました。「三溪の支援した美術家の中で、名を成さなかった人はいないのか?」という疑問には、明日のお楽しみに、ということで、二日目を終えました。

 

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 4講時の授業中課題。短時間にもかかわらず、講義内容をしっかり聞いた上で浮かんだ疑問や意見がまとめられていました。これを元に、次の話し合いに進みます。

 

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 二日目のグループワークでの話し合いの様子。講義の時の真剣な表情から一転(?)、和気藹々とした雰囲気のなか、各自の意見を出し合い、まとめていきます。

 

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 二日目の発表準備の様子。初日は担当者のみのホワイトボード記入だったのが、全員で相談しながら記入する班も出てきました。

 

 三日目のテーマは「三溪の美術家支援」。三溪の次世代のパトロンとして、細川護立、大原孫三郎、大原總一郎、原善一郎も取り上げました。このテーマは関心を持つ人が多かったようで、「三溪が50代で若手を育てたのはすごい、高く評価したい」という意見、「私的な支援でなく、公的な支援にはどんなものがあったのか、また、今はどうなっているのか?」といった疑問も出ていました。これに応えて身近な地域の事例を紹介する方もいて、盛り上がりました。最後の班では「天心、三溪は人(芸術家)を育てていたのだ」という意見を結論としました。私も三溪の美術家支援の意義はそこにあったと考えていますので、思わず嬉しくなりました。

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 A班とE班のホワイトボード。「パトロンの支援の終焉はいつなのか?」や、「パトロンの出自がその後の活動に影響を与えたのでは」といった鋭い意見や疑問も書かれていますね。書き方にも違いが見えます。三日目では、早々にホワイトボードを使うグループの一方、話題が広がりすぎてか、なかなか腰を上げないグループなど、班ごとに個性が出てきて面白かったですね。

 

 日を重ねるごとに意見交換もスムーズに行われていったようです。発表も、ホワイトボードを使うグループ、口頭で数人ごとに発表するグループとさまざまでしたが、各自の意見を手際よく簡潔に発表できるようになり、プレゼン力も三日間で確実にアップしていました。同じ講義を受けてもさまざまな切り口からの議論が飛び交い、講義の論点をさらに深めることができました。
 出席票のコメントやアンケートには、「ディスカッションで他の人の意見が聞けて良かった」「視野が広がった」というものが多く、有意義な三日間だったようです。疑問がその場で解消されるのも、こうしたディスカッションのよいところですね。
 今回、講義をきっかけにいろいろな疑問や意見が出ました。講義でもお話ししましたが、どんな小さな疑問でも、それは皆さん自身から出たもの。それを大切にあたためていくことが、新たな研究の糸口になります。この講義が皆さんのこれからの研究に役立つよう願っています。
 三日間お疲れさまでした!今の疑問や問題意識が薄れないうちにレポートに取り組みましょう。楽しみにお待ちしています。

 

 

 

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