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2017年6月27日  イベント

【芸術教養学科】研究と教育 フライング・カフェでの試み

芸術教養学科は「てのひら芸大」。普段は大学に来なくても、学びを深めることができる学科です。でも、顔をあわせて経験や知識をシェアする機会も設けられています。

このブログでたびたび紹介されている「フライング・カフェ」もその一つ。その名のとおり学科の専任教員が飛んで行って、全国津々浦々で交流・学習相談会が開かれています。とはいえ、この「フライング・カフェ」の主役は教員ではなく、全国から集まる学生たちです。レポートの書き方やテキストの読み方その他もろもろ、学ぶ仲間同士でいろんな意見が交わされます。

 

そんな「フライング・カフェ」、直近では617日(土)に開催されました。場所は大学にほど近い多目的スペース「ケパサキ」。東日本大震災のあと、関東から移住してきたミュージシャンやデザイナーがシェアしているスペースで、ときどきライブが行われたりもしています。もともと居酒屋だったスペースなので、お酒の相性もすごくいいです。教員の下村も、このシェアメンバーのひとりなので、今回使わせてもらうことにしました。

「フライング・カフェ」は学習相談会が中心ですが、多くの場合、展覧会や文化財の鑑賞やまちあるきがセットされます。こうした機会を通じてのいろいろな話も、いろいろな学びにつながります。今回は、私下村が最近執筆した博士論文「近代京都の土地区画整理事業地における町割についての研究」をネタに、京都の知られざる都市空間史についての講義と、その対象地となった平井高原地区のフィールドワークをプログラムとしました。この日参加した受講者は、現役学生とOBを合わせ14名。西は熊本、東は埼玉、北は秋田など、全国から幅広い参加がありました。

 

01:スライドに見入る参加者たち 西田宗司さん撮影

(スライドに見入る参加者たち 西田宗司さん撮影)

 

内容にも少しだけ触れておきましょう。京都の歴史的な中心市街地では、通りをはさんだ両側が一つの「町」を形成する「両側町」が見られることはよく知られています。しかし、昭和になってからつくられた新しい市街地にも、そうした道を軸とした「路線式」の町割が見られることや、その経緯についてはほとんど論じられたことはありませんでした。瓜生山キャンパスの近く、映画学科がある平井高原地区もそうした場所のひとつです。

 

02:平井高原地区の町割

(平井高原地区の町割)

 

今回の研究では、そうした町割をもつ地区が、京都市内のどのあたりにいつごろつくられた、どういう考えのもとにつくられ、どうしてやめられたのか、といったことについて、行政資料の精査やGISを用いた分析など、さまざまな方向から研究したものです。郊外のこうした町割が、京都の都市的伝統を踏まえてモデル化されたものであること、太平洋戦争直前にこうしたまちづくりが行われ、戦後の民主化の中で使われなくなっていったことなどが明らかになりました。

町割は、目に見えない都市空間のデザイン。モノとしての形はとらないけれど、各戸へのアクセス性を確保し、地域コミュニティの単位となるなどの機能もあります。そして今回研究した京都の例のように、そこに都市の歴史性への思いが込められているような場合もあります。こうしたものも、芸術教養的な関心の対象となりうるのだと思います。

 

スライドを用いた研究発表の後は、平井高原地区の街のようすのフィールドワーク。この地区にお住いの現役学生の方が、案内してくださいました。素敵なギャラリーにおじゃましたり、楽しい街歩きになりました。この地区の児童公園(街区公園)には、昭和7年に建てられた区画整理組合の記念碑がありました。

 

03:公園に残る区画整理記念碑 平田悟さん撮影

(公園に残る区画整理記念碑 平田悟さん撮影)

 

参加された方の中には、興味をもってご自身に縁のある都市の地図を見直して、そこにも両側町を見出したと知らせてくださった方もありました。こういう知識を得ると、都市空間の見え方がまた変わってくると思います。

 

街歩きのあとは、会場「ケパサキ」に戻って乾杯です。もともと居酒屋だったスペースなので、ビールがよく似合います。楽器をいじったりしながら、夜は更けていきました。

 

芸術教養学科は、学びやすさが大きな魅力となっている学科ですが、デザイン、美学、美術史、歴史学、都市計画と多様な専門性をもつ教員がチームを組んでいるのも特徴です。これからも、教員の研究成果をシェアする機会を設けていきたいと思います。その折りには是非ご参加ください

 

芸術教養学科|学科・コース紹介

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