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授業風景

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2017年10月30日  授業風景

【歴史遺産コース】今年はさらにスペシャル!スクーリング報告 歴史遺産Ⅲ-2 民俗資料調査方法論(京都)

 

 

みなさん、こんにちは。まもなく立冬を迎える季節ですが、台風が繰り返しやってくるなど天候の不順が続きます。

各地の文化財も被害を受けているとの話も聞きますが、災害に遭われた方々の一日も早い回復をお祈りしています。

 

 

さて、今日は少し前のスクーリングとなるのですが、歴史遺産コースの魅力の一つであるフィールドワークを含む授業のご紹介です。

 

さる92324日に民俗資料を学ぶ基礎的な科目である「歴史遺産Ⅲ-2 民俗資料調査方法論」が京都で開講されました。

 

 

1日目は瓜生山キャンパスで座学ですが、翌日のフィールドワークに向けて、どのような調査の方法があり、現地では何を調べ、記録すべきかといった実践的な講義が行われます。

 

 

そして2日目。

フィールドワークの現場は、嵯峨野にある清凉寺(右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町)です。1016年創建で、ご本尊が著名な永延元年(987)に奝然(ちょうねん)が宋から持ち帰ったという国宝の釈迦如来像です。

 

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さてこの境内には、狂言堂が構えられており、春と秋には狂言が演じられます。地元の人々によって伝えられてきたもので、その特徴としては、演者も囃子も裏方もすべてアマチュアの方々によって行われており、「仮面劇」で、セリフのない「無言劇」であるといった点が挙げられます。

 

もともとは平安後期に良忍上人(天台声明の中興の祖/10731132)が始めた「融通念仏」に由来するとされますが、明確なことはわかっていません。現在、嵯峨大念佛狂言保存会には天文181549)年の銘を持つ古面があり、遅くともこの頃には「嵯峨大念佛狂言」が上演されていたものと推測されます。

 

さて、この授業では毎年、保存会の方にご協力頂き、実際の狂言の一部を拝見したり、面の民俗調査をさせていただいたりしています。

 

しかし、今年は、狂言堂が大修理に入ったため、いつもとは違うスペシャルな体験をさせて頂くことができました。

 

 

 

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それは修理中の狂言堂を拝見することです。

 

実際に修理を担当されている職人の方にお話を伺いながら、こうした現場を体験できるのは、極めて稀です、改めてこの場を借りて、保存会の関係者のみなさまのご配慮に、心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

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【修理前の狂言堂(2015年)】

 

 

この狂言堂は明治34年(1901)に現在地に移設されたとされていますが、具体的な建築年代はよくわかっていません。最近、京都府・市文化財保護課の指導による建物調査で瓦屋根の老朽化や損傷などが著しいことから、2016111日付で修復工事許可が文化庁から出され、2018年の完了にむけて工事が進んでいます。

 

こうした古建築の修理では、もともとの部材をできる限り残しつつ、最低限の新材を補完して進めていきます。壁土や壁材一つとっても伝統工法に則って修理を行うため、一般的な建築と異なり、手間や特別な技術を要します。

 

 

 

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【狂言堂修理の様子】

 

京都は多数の町家建築なども残されているため、こうした伝統工法を行なうことのできる職人さんの数は他の地域に比べれば多いですが、やはり人材は不足しています。

この狂言堂でも少数精鋭の職人さんの手で、地道に進められているとのことでした。

 

現在狂言保存会では、莫大な修理費を補うべく寄付を募っておられます。

ぜひご関心をお持ちの方は、下記ホームページをご覧頂き、嵯峨大念仏狂言の継承・存続につながる狂言堂修復へのご協力をお願い申し上げます。

 

嵯峨大念佛狂言保存会公式ホームページ「嵯峨狂言堂修復募金のお願い」

http://www.sagakyogen.info/rebuilding.html

 

 

 

 

さて、じっくりと狂言堂の修復の様子を拝見したあとは、仮の練習や活動拠点とされているプレハブ小屋で、狂言面の調査をします。

 

 

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【狂言面の調査の様子】

 

 

ここで拝見する狂言面は、実物をもとにしたレプリカですが、極めて精巧に作られており、練習などでも使われている面です。

 

学生一人ひとりが、一面ずつをお借りして大きさや色、装飾など色々な点を「調査カード」に記録していきます。

 

そして実際の公演のときと同じように、面を付けさせていただきます。みなさん普段、面をつける機会などはありませんので、嬉々として互いに写真を取り合ったりされていました。

 

 

 

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【狂言面をつけての記念撮影】

 

さて狂言面の調査の後は、清凉寺門前の道標の調査です。この講義では、愛宕山への参詣の玄関口、清滝の調査を午後にしますので、そうした参詣道の調査もかねて、道標を調べます。

こうした石造物の調査では、拓本が大きな力を発揮します。紙を石に貼り、墨をのせていくという単純な作業ですが、これが案外難しく、みなさん四苦八苦して採拓されていました。

 

 

 

 

 

 

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【拓本実習の様子】

 

 

拓本は、写真では光って写せない碑面でも、刻まれた銘文を明瞭に読み取ることができるとともに、持ち帰って資料化できる点で優れています。こうした民俗調査に欠かせない技術をこの講義では修得していきます。

 

さて、午後は清滝に。ここは火除けにご利益があるとして、長く信仰されてきた愛宕神社への参詣道の玄関口です。とても風光明媚な場所ですが、毎年731日から81日にかけての「千日参り」の日以外は、ひっそりとしています。

 

 

 

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【清滝でのフィールドワーク】

 

 

かつては賑わったであろう旅館や茶店の建物も、廃墟と化している場所もあり、こうした清滝のもつ魅力を、フィールドワークを通じて再発見していくことが、午後のテーマとなります。

 

グループに分かれて、思い思いに写真を撮り、地元の方にお話をお聞きしたり、民俗調査の基本である、あるく、みる、きく、を実践されていきます。

 

最後は公民館をお借りして、グループ発表です。色々な清滝の魅力を発見されるとともに、また課題も多いこと等も話し合われて、有意義な調査となったようでした。

 

 

 

講義後は解散となりますが、有志の方々とかつて愛宕山鉄道(1929年開業・1944年廃業)の通っていたトンネルをくぐり、歩いて清滝から鳥居本の伝統的建造物群保存地区へと下山しました。さらに洛西地域の文化遺産のあり方について学びを深められたようです。

 

歴史遺産コースでは、こうしたフィールドワークの授業が充実しています。それは、現場で体験し、感じたことが学びを深める契機となるからです。

 

ぜひみなさんも来年はご一緒に清凉寺、清滝へ学びのたびに出かけませんか。お待ちしております。

 

 

こうしたフィールドワークに興味があるみなさま。

1112日(日)に、「秋の一日体験入学」が開催されます。

歴史遺産コースは、「京都の近代建築を訪れよう-身近な文化遺産を守るツボ-」と題して、大学に程近い、ヴォーリズ設計の建築を訪ねます。ぜひお越し下さい!

【秋の京都で1日芸大生】詳細はこちら↓

http://www.kyoto-art.ac.jp/t/1day_autumn/

 

 

 

■歴史遺産コースの詳しい情報はこちら↓

学科コース紹介|歴史遺産コース

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■歴史遺産コース栗本徳子教員の人気連載をお楽しみいただけます↓

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