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2018年1月22日  イベント

【芸術教養学科】未知に触れて、つながるということ

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こんにちは、芸術教養学科教員の下村です。

去る12021日に、瓜生山キャンパスで本学通信教育部の一日体験入学が開催されました。

これは入学を検討されている方向けの、一日完結のミニ講座ですが、それぞれの学科の最もエッセンシャルな部分をお見せすることになるので、公式の授業にも増して熱が入ります。

特に、私たちの「芸術教養学科」は、webだけで学びが進められることが大きな特徴となっており、顔を合わせての「体験入学」は、ある意味最初から矛盾を抱えているともいえます。入学してからでは味わえない、しかし同時に芸術教養学科の本質が伝わるような、そういうものを目指しました。

以下、ちょっとした誌上講義のようなかたちで、当日の様子をお伝えしようと思います。

 

芸術教養学科の一日体験入学は、120日(土)の13時から開講されました。13:00から14:45が私、下村の担当するレクチャー&ワークショップ、15:00からが加藤志織先生によるカリキュラムと学び方についてのレクチャーという構成です。

 

やはり、芸術教養学科とは何を学ぶところなのか、どういうことを考えるのか、というところから話はスタートします。

芸術教養学科は、いわゆるプロのアーティストが創造する「芸術」、既知の作品だけを相手にするわけではないこと、卒業研究でも、多様な対象が取り扱われていることなどに触れました。それは、人間がその生(生活・人生)をよりよいものにしていくために企図(デザイン)する、モノやコトのすべてなのです。

そして、この学科では、そうした人間の企図のありようを考え、進めていくために、「伝統文化」と「デザイン思考」の両面からものごとを見つめていくことを話しました。

 

芸術教養学科では、多数の人の間から創発されるものにも注目しています。ものごとは一人の人の内側からだけ表現され、生まれるものではないからです。いろいろなよいこと、美しいものが、人々の関わりあいの中から生み出されています。

本学科の「芸術教養講義5」という科目で特に取り扱っている「ワークショップ」も、そういうわざの一つです。ここで、会場のみなさんに「あなたが知っているワークショップ」について聞きました。

すると、「公共施設の活用のために地域の人に集まってアイディアを出してもらった会議」といったものと、「みんなでものをつくるワークショップ」「ダンスワークショップ」といったものが出てきました。「政策立案・コンセプトづくり系」と「芸術系」と整理してもいいでしょう。

前者は、模造紙の上にみんなで付箋紙を貼っていくスタイルの会議という形をとることも多く、「芸術教養講義5」でも、そうしたものを中心に扱っています。

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体験授業では、この2種類は別々のものなのだろうか、ということを考えました。「芸術教養講義5」の動画教材などを参照しながら、

 ・フラットな参加資格

 ・体験・プロセスへの注目

といったことが、全く異なって見える2種類の「ワークショップ」で共通していること、ローレンス・ハルプリンのしごとなど、この2つが重なることだってあるのだということにも触れました。

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さて、ここからはワークショップの実践です。

この日は、音・音楽を扱うワークショップについて、音を出しながら考えることにしました。

音楽は楽しいものですが、「歌の上手い・下手」「リズム感の有無」といった、ふつういわれる音楽の得手不得手は、人々をときに分断してしまいます。

「そうではない」「もうひとつの」「オルタナティブな」音の楽しみを、「共有」する場を経験してみよう、というのがこの日の試みです。うまいへたのないところでの、新しい経験です。

 

ゲーム形式でのグループ分けと、自己紹介タイムを経て、場がなごみ、暖まってきたところで各グループに配られたのは、「炊飯釜」でした。

炊飯釜はおそらくほとんどの家庭にあるものですが、それが美しい音を出すことを知っている人はあまりいません。

そして、それをすりこぎで摩擦することで、美しく幻想的な持続音を出すことができることを知っている人は、ほとんどいないといってもよいと思います。

炊飯器の中の釜を手のひらにのせて、すりこぎで円を描くようにしてその縁をこすります。釜を握らず軽く保持すること、すりこぎは少し押し付けるようにすることがコツです。すりこぎにはガムテープ等を巻いておくと、表面の摩擦ノイズが吸収されてよく釜がよく鳴ります。だんだんウォーンとか、キーンといった持続音がうねりながら発生してきます。これを読んだみなさんもぜひ挑戦してみてください。

まず下村が手本を見せたあとで、会場のみなさんにも挑戦していただきました。炊飯釜を鳴らす技術というのは、ふつうの生活で役にたつものではありませんが、鳴らせるとやはりうれしいもの、そこかしこで顔がほころびはじめます。

次は、6つのグループ全体で、合奏をしてみました。かすかだったり、部屋全体に響いたりする釜の音を、お互いに聴き合いながら、音でコミュニケーションをします。部屋を暗くして、みんなで耳を澄ませました。一人で鳴らすのとは違う、響きあいの空間が生まれました。

 

この炊飯釜のあとは、不思議な民族楽器「口琴」を試したり、独自の方法による「誰でも弾ける爆音ロックギター」教室、それから下村による特殊唱法「ホーメイ」のデモ演奏といったことをしました。

みなさん、それぞれに相談しながらいろいろな試みをし、いろいろな音を生み出し聴き合っていました。

アンケートを拝見したところ、知らない音楽に触れ、驚きを感じた方も多かったようです。

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不思議な音を出してみる、聴き合ってみる、ということ自体、大変面白い経験なのですが、学んで欲しかったのはそれだけではありません。本当に気づいて欲しかったのは次のことです。

それは、未知の経験を共有することは、新しいつながりと場をつくりだすことができる、ということです。これは、新鮮で創造的なワークショップには、さまざまな人が平等な立場で参加できることが不可欠ですが、未知のものは、多様な背景や出自の人々が協働しあう環境を創りだしてくれるものなのです。

既知の、みんなが知っていること(音楽なら童謡など)は、既存の共同体のつながりを確認するのに役立ちます。これもまた地域系ワークショップなどでは重要な資源なのですが、異質な人々が出会いあう現代の市民社会の技として、この未知と冒険の感じというのを知ってほしいと思います。そしてこれは、政策立案系ワークショップであれ、芸術系のそれであれ、大切なことなのです。

 

芸術教養学科は、いつも炊飯器を鳴らしているわけではありませんが、教員たちはそれぞれのフィールドで研究・制作を進めています。今回の一日体験入学でのワークショップも、私のコミュニティ・ミュージックの実践研究や地域系スクーリングでの教育の試みを反映したものです。

普段はwebブラウザ越しのおつきあいになりますが、その向こう側には、今回変な音を出してみせたような生きた教員がいるのです。フライング・カフェと名付けられている対面の学習相談会では、実際に教員に会って話すこともできます。

 

さてこうした、京都造形芸術大学を体験する機会はまだあります。

入学説明会(ミニ講義付き)が、京都では24日(日)、東京では218日(日)に開催されることになっています。興味のある方はぜひお越しください。お待ちしています。

 

詳しくはこちら

https://www.kyoto-art.ac.jp/t/briefing_feb/

予約不要・参加無料

 

 

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