学長賞
文芸表現
クリエイティブライティングコース
小説

小林 真世【澄美子】

コメント

未婚の母の苦悩、亡き母と娘のしこり、血脈の肯定など、本作のテーマは普遍的で深刻な一方で、やや新味には欠ける。しかし、それでも物語に引き込まれ、心を激しく揺さぶられてしまうのは、著者の圧倒的な筆力と人間的な成熟度、そして小説全体を覆う強烈な悲壮感と切迫感によるものだろう。書き手としての真の実力があるなら、小細工や変化球に頼ることなく、ど真ん中に渾身のストレートを投げ込むだけで、読者を魅了できるのだ。山田 隆道

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