作者は、400年ものあいだ先祖の信仰を守り続けている人々の元を訪れ、1年以上の取材と撮影を続けてきた。「オラショ」の声の響きの中で「かくれキリシタン」の帳方の生活とそれを継承する人々の言葉が綴られ、そしていつ誰が刻んだか分からない十字の石が林の中に横たわっている。これらの3つの映像の中に身を投じた時、遠く離れた場所での出来事が“いま、ここ”へとこだまする。この作品は混沌の時代にある私たちの足元の少し先を照らす光なのである。髙橋 耕平