濱口竜介と酒井耕が共同監督を務めた三部作を主題に据えた論文。同作を特徴づけるものとして注目を集める、ある撮影方法を対象に議論は順当に始まるが、むしろその注目の集め方が問題視され、さらには同作をドキュメンタリー映画とする前提を覆すべく、ある劇映画を比較対象にそれらが同じロードムービーであるとされる。どこに辿り着くのかわからない……。おそらく、そんな旅に身を投じることこそ、この論文及び筆者の秘めたる願望である。北小路 隆志