玉腰 由実
俵屋宗達の描く風神雷神は見つめ合っていない。雷神は雷を落とす下を見つめ、風神は前をまっすぐ見据えている。今年の風神は寡黙で冷静に黙々と作り続けた。決して平坦ではなかったはずだが、それを成し遂げたのは自分に対するストイックさと作品を愛する想いに他ならない。オマージュであり挑戦であり、集大成としての作品は揺るぎない強さを持っている。風神は次に何を見つめるのか。社会の中で嵐を起こすのを楽しみにしている。野村 誠司