長田 祐樹
牧谿は中国・南宋時代の画僧で、日本の中世・近世における文化史、絵画史に大きな影響を与えたとされる。中でも「牧谿猿」は足利将軍家同朋衆、狩野派、長谷川等伯等が手本とした図像である。本研究は、高校時代から関心を持っていた牧谿の中で特に誰もが知る「牧谿猿」をテーマとして取り上げ、先行研究を再考するとともに、その図像及び構図のパターンを分析することにより、図像の持つ意味の変化を考察した。本研究は東洋絵画史における牧谿の位置付けと日本の中世・近世絵画への受容を追究する上で大いに意義あるもので、彼の今後の研究活動における布石になるであろう。木村 栄美