幼少から石垣を偏愛する藤井さんは、縄文から人が住み吉野杉で栄えつつもダム建設に伴う地滑りで住民が離散し、斜面に石積が残るだけの川上村白屋地区を敷地に選定し、その集落の再生を試みている。石積を鍵とする4つの方針と6つの具体的プログラムによる段階的再生計画が精緻に設定され、それを貫く工法コードとしての「石積基礎」の差込が実物を伴い提案されていることで、景観・生活再生の「生」の鼓動が伝播し説得力を持つ。
小野 暁彦