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女川アートサポートプロジェクト 千住博学長メッセージ
学生諸君、そして卒業生諸君、
寄せていただいた作品は、300点を超えました。
そのうち、9割以上の作品が、女川の町民の方々のご自宅に引き取られて行きました。
たまたまご自宅に行かなかった作品は、町役場に展示しようと思います。
家の中に美がほしい、絵がほしいという切実な町民の方々の話を仮設住宅の設計をしていた坂茂教授とともに混乱の中ごった返す女川の現場で聞き、今こそ芸術作品の出番だ、と思い、諸君に呼びかけました。
諸君の作品は、女川の新しい家族の一員となって、これから生活を共にします。
全部で3000戸の女川町の、実に10軒に1軒のご家庭には諸君の作品があることになります。
小品は大作に比べ価値がない、などと間違ったことを言う人がいます。
しかしながら歴史的に見ても、戦争や内戦の中、コートに忍ばせ、たった1枚だけ絵を持って必死に逃げた人たちに希望を捨てないで生きて行こうと勇気と活力を与えたのは数々の小品でした。
むしろ小品こそ、具体的に人々と芸術をつなぐ窓です。
津波や地震で全てを失った町民の方々が、夜絶望の中向かい合う殺伐とした空間の中、心を暖めることが諸君の作品にできるなら、それは小さな作品ではあるけれど諸君の心と町民の方の心が時と空間を超えてコミュニケーションできた瞬間です。
画歴に、「女川アートプロジェクト」(京都造形芸大、女川町)参加、と1行を加えてください。
これが今回私達が手にした絆の証です。
私も出品しましたのでそうします。
呼びかけに答えてくれた諸君、ありがとう。
そして、女川の皆さんのご健勝をお祈りします。
千住博