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陶芸コース

2018年12月22日

【陶芸コース】卒業生紹介 伸びあがる陶土

通信教育部のパンフレットでは毎年卒業生の方に直接お会いして在学時のお話をお伺いしていますが、その内容をこちらのブログでも紹介いたします。

本日は陶芸コース。陶芸教室ではなく、陶芸コース。その理由が見えてきます。



「自分の手のあとがかたちになる、その感覚がいいなと」。本コースの体験授業で初めて真剣に陶土にふれ、入学を決めた井上さん。元々ものづくりが好きで開発職に就いたものの、年齢とともに立場が変わり、現場からは遠ざかっていた。「どうせなら理論も含めて本格的に教わろう」と陶芸教室よりも大学を選び、手びねり、タタラ、型、ろくろといった基本技法を一から学ぶことに。「もちろん窯などないので、課題はすべて大学に送って焼いてもらいました」。焼成された作品を初めて受け取ったときは、「こんなに縮むんだ」とびっくり。また、先生の鋭い添削指導にも驚かされたという。

「本当に、対象物をよく見ましたか?」。たまたま身近にあった筍を題材にした課題で、先生に痛いところを突かれ、人生で最も真剣に筍を観察。すると、思わぬ造形の法則や美しさが見えてきて、一気に惹きつけられた。「以来、ずっと筍だけをモチーフに」。藝術学舎での木彫など、土以外の素材による制作も大いに役立ったという。「振り返ると、大学で経験したすべてが、卒業制作のためのトライアルだった気がします」。キャンパス内の土を焼成する授業で開発者魂に火が付き、「土からつくりたい」と一念発起。地元の土や灰を用いて試行錯誤をくり返し、陶土も釉薬もオリジナルの作品を完成させた。「無謀な挑戦にも助言をくださり、温かく見守ってくださった先生方に感謝しています」。スクーリングでは、多彩な学友たちと「芸術とは」といった話を真剣に議論するのも楽しみだったという井上さん。「卒業してわかったのは、制約のある課題より、何をしても自由な方が制作は難しい、ということ」。だが、難しさは喜びでもある。「ここからが、芸術」。大学とは、そのための手法を身につける場所。そこでさまざまな養分を吸収した井上さんの土は、まさにこれから、天にのびあがろうとしている。

井上 義昭 さん
陶芸コース(3年次編入学)’16年度卒業 大阪府在住 63歳

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2/1より、春入学の出願受付開始!
出願手続方法について詳しくはこちら ↓
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/shutsugan/

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