美術科

陶芸

CERAMICS ARTS

さまざまな技法を身につけ、
京都で、本物の焼き物の世界へ。

陶芸の地・京都で、さまざまな技法を総合的、かつ専門的に習得。
器からインテリア、オブジェまで、日常の生活に潤いを与える陶芸作品の創造をめざします。

コースの特長

01 陶芸の技法をすべて学ぶ

ろくろ、石膏型、手びねり、タタラなどの成形技法、上絵などの加飾技法を習得し、表現力を身につけます。

02 土や火の発する声に耳を傾け制作する。

技術を習得するだけでなく、土をこね、窯へ入れ、焼きあがりを見ることで、土や火の発する「声」を体感。そこで磨いた感性を、器から大型のオブジェまで、幅広い作品にしあげます。また、窯による焼成の違いもキャンパス内で学べます。

03 窯焚きや釉薬まで専門的に学べる。

初心者でも取り組める基礎造形にはじまり、窯焚きや釉薬の専門的知識まで幅広く習得。また、技術だけでなくものづくりの考え方までを学び、本物の焼き物の世界に深くふれることができます。

京都+スクーリングまたは京都のみのスクーリング受講で卒業可
  • ※テキスト科目の課題提出は郵送指定となることもあります。
  • 電気窯・ガス窯

学びのポイント

電気窯・ガス窯

さまざまな窯を体験

電気窯・ガス窯など、タイプが違う窯での焼成を、キャンパス内で学習できます。

学びの4つのステップ

STEP1

土に触れ、素材の特性を知り、
基礎的な技法を学ぶ。
まずは「ろくろ」「型」といったつくる技法の基礎をひとつひとつ身につけていきます。それを通じて、素材=土や火の特性を学びます。技術的な指導はもちろん、感性を育成するという側面も重視。それぞれの技法や素材の発する表現性について、五感で体感する学びをすすめます。

白い器/ロクロ技法 白い器/ロクロ技法「何を盛るか」を想定したうえで鉢を制作します。電動ロクロによる成形を学びます。

STEP2

さまざまな技法や表現に触れ、
感じたものをかたちにする。
「ろくろ」や「型」に加えて、「ひねり」「タタラ」といった成形技法を学びます。各自がそれぞれの技法や素材のもつ表現の可能性を見い出し、さらには自らの表現につなげていくことをめざします。

円柱からの展開/手びねり技法 スクーリング科目例 / 円柱からの展開/手びねり技法美しい造形をめざして。手びねり技法により四角柱の基本成形を学び、形態を展開させていきます。呉須による下絵付けの装飾も実習します。

STEP3

自らの方向性を定め、
自分だけの表現を発見していく。
器とクレイワーク(土による造形表現)の2つの表現を学習。担当教員の指導を受けながら、制作に取り組みます。より自由な発想で制作にむかうことにより、自らの表現を発見していきます。

釉薬研究 スクーリング科目例 / 釉薬研究陶磁器の原料・釉薬調合・焼成など、陶磁器釉薬の基礎知識を習得します。

STEP4

制作のなかで、陶芸作家としての
自己表現の確立をめざす。
担当教員と密接にコミュニケーションをとりながら、各自のテーマを設定。テキスト科目の課題とスクーリングを連動させ、卒業制作をすすめます。ひとりの陶芸作家としての思考、制作姿勢などを確立するため、各自の個性を尊重し、育んでいきます。

合評(講評会) スクーリング科目例 / 合評(講評会)教員と相談し、素材と技法の出会いや、作り手との密接な関わりの中から制作テーマを設定。より深く自己の創造を追求します。

入学~卒業までのステップ

4年間で学ぶことがら

1年間の学習ペース

【1年次入学】専門教育科目の1年間の履修スケジュール例

【3年次入学】専門教育科目の2年間の履修スケジュール例

学びの時間割

時間割

制作場所は、ダイニングテーブルまたは自室(電動ロクロの横に布団を敷いて寝ていたので、作業後は毎回、完全に清掃する必要あり!)。主に家族がいない昼間に制作し、夜やスキマ時間に参考文献の読み込みやレポート作成をしていました。
(図:在学時の1日/平日)

平松 美絵
平松 美絵
東京都在住
2020年度卒業

学費の目安

入学選考料・入学金・保険料 50,140円
授業料 323,000円 × 4年間 = 1,292,000円
スクーリング受講料 312,000円~408,000円

卒業までの合計金額の目安(4年間)
1,654,140円~1,822,140円

  • ※スクーリング受講料は、科目の種類や開講場所によって料金が異なります。
入学選考料・入学金・保険料 50,140円
授業料 323,000円 × 2年間 = 646,000円
スクーリング受講料 312,000円

卒業までの合計金額の目安(2年間)
1,008,140円

  • ※スクーリング受講料は、科目の種類や開講場所によって料金が異なります。

卒業後、通信制大学院 美術・工芸領域 工芸デザイン分野で
学びを深めることもできます。

大学、短期大学、専門学校等をすでに卒業している方は、京都芸術大学通信教育部(大学)陶芸コースに3年次編入学ができるため、最短2年間で専門分野の基礎を身に付けられます。大学入学から大学院修了まで、最短4年間で学ぶことができます。
また、通信教育部卒業生は大学院入学時に入学金10万円が免除されます。

  • 書類審査

    書類審査
    (大学等の卒業証明書など)

    最短2年

    3年次編入学の出願資格に
    該当しない方は最短4年(1年次入学)

    通信教育部
    陶芸コース

  • 書類審査

    書類審査
    (指定提出物など)

    最短2年

    大学院
    美術・工芸領域 工芸デザイン分野

  • 角帽

大学院 美術・工芸領域 工芸デザイン分野

教員メッセージ

かのう たかお 専任講師

新しい技術、表現に挑み、
火と土の可能性を探ります。

かのう たかお
KANO Takao
専任講師

1974年、京都生まれ。1998年京都精華大学美術学部造形学科陶芸卒業後、青年海外協力隊として西アフリカの、ニジェール共和国にて陶磁器の制作指導に携わる。2001年帰国。2002年より、全国の美術館やギャラリー、博物館にて個展・グループ展を開催。アフリカ滞在時に訪れた砂漠に感銘を受け、シャモットによる造形を始める。器と造形物に同時に対峙し、その境界を彷徨いつつ、紛らわすような作品を制作し、既存のやきものの価値を問う。朝日陶芸展、国際陶磁器展美濃、菊池ビエンナーレなど公募展入選多数。2008年国際陶磁器展美濃銀賞受賞。パブリックコレクションは、京都市京セラ美術館、兵庫陶芸美術館など。

「壺中天アリ」 2022年

「壺中天アリ」 2022年

このコースでは何を学べますか?
イメージを形にする学び。
「粘土を成形して高温で焼成することにより陶磁器などを作る技術」と言える陶芸。その技術を通して、生活に潤いを与える器をつくることや、アートとしての表現となる作品づくりが学べます。そのために、ろくろ、型、手びねり、タタラ、という基本となる4つの成形方法を習得します。ただし、つくるための技術だけでなく、それを使ってどのような形をつくりだすのか、自分が表現したいことを実現するにはどうすればいいのか、といったイメージを形にすることを学ぶのも大きな目的となります。卒業生の皆さんは、各地でグループをつくり、展覧会や勉強会を開くなど活発に活動しています。そんな風に、同じ陶芸をめざす同志として、お互いに影響を与えあえる仲間が全国各地にできるのも、本コースの魅力です。
どのような学びが待っているのでしょう。
初心者でも基礎から表現まで体得。
初めて土に触れる人でも、着実に学びをすすめていけるようなカリキュラムを用意しています。自宅学習は、シラバス(科目概要を記したもの)に載っている課題を制作して大学へ送付してもらい、それを焼成して添削し、お返しします。家に窯がなくても、作品を指定の段ボール箱に入れて大学に送ってもらえば大丈夫です。制作で生じるさまざまな疑問点は、メールなどで随時回答します。
一方のスクーリングでは、対面授業と遠隔授業を用意しています。各自が一緒に制作することにより、一人で制作していた時とは違ういろいろな発見を得られます。同じ課題を制作していても、人それぞれに考え方やとらえ方が異なります。それらに触れられるのも大きな勉強です。制作における技術面での指導はもとより、モノづくりの考え方や、表現の仕方などもアドバイスします。最終日の合評(作品講評会)では、作品を前に意見を言いあうことで表現の向上をめざせます。このような学びを通して、ぜひ、みなさんの持つ無限の可能性を形にしていきましょう!

初心者×陶芸=

土岡貴子

土岡 貴子
陶芸コース(3年次編入学)
'19年度卒業 京都府在住56歳
土岡貴子

ギャラリーまで確保していたグループ展が、コロナの影響で延期に。「来年まで開催が延びたぶん、いっぱい制作することに。いまは掻き落としの花器に取り組んでいます」。

希望のタネまき

窯から出てくる直前まで、それは「悩みのタネ」だった。もともと初心者だった土岡さんを一年間、悩ませつづけた卒業制作。本コースに来るまでは、そんな創作の苦しみどころか、土にふれた経験すらなかった。自宅で制作中に土が割れて途方にくれ、メールで先生に救いを求めたテキスト科目。人生初のろくろに振りまわされ、最後の最後でなんとか仕上げたスクーリング。未経験ゆえの苦労は数えきれないが、少しずつ、手の中の土が思うようになっていくことに、かつてない気持ちの高まりを感じた。「とにかく毎日、土にふれない日はありませんでした。ふれるのが安らぎでもあったし」。けれど卒業制作だけは、そんな安らぎさえも吹き飛んでしまう、苦悩の連続だったという。

「いま振り返ると、背伸びしすぎていたんでしょうね」。大好きな小説をテーマにしたものの、実体験とはかけ離れた世界を、どうしても上手くかたちにできない。「ちょうど私生活でも心配ごとがあって、家族にきつく当たってしまい、そんな自分にも嫌気がさして」。中間発表が迫るなか、夜中まで思い詰めて、ふと気づいた。「私にはタネがある」。ずっと好きで集めていた植物の種子、何度かモチーフにしていたのに、あまりにも身近で忘れていたのだ。「いまのトゲトゲした自分や、その殻を破りたいという想いを、ありのまま表現してみよう」。新しいテーマに力を得て、醜い殻に包まれた美しい実を、丹精込めてつくりあげていった土岡さん。焼成で窯から出てきたその姿を見て、考えが180度変わってしまった。「トゲを立てたその殻さえ、懸命に私の成長を守る、愛おしいものとして感じられたんです」。そんな想いを映すように、彩色を変え、名前を変えた作品は、自己最高の評価をもらえた。「一年かけて取り組んだからこそ、ここまで突き詰めることができました」。卒業制作「希望のタネ」は、これからも、土岡さんの中で育ちつづける。

初心者×陶芸=

井上義昭

井上 義昭
陶芸コース(3年次編入学)
'16年度卒業 大阪府在住63歳
井上義昭

学友たちと立ち上げた「土詩」という陶芸グループで、卒業後にグループ展を開催。「自身の活動としては、地元の山土や灰をつかった陶土・釉薬にこだわり、今後もオブジェや器などの作品をつくりつづけたいです」。

伸びあがる陶土

「自分の手のあとがかたちになる、その感覚がいいなと」。本コースの体験授業で初めて真剣に陶土にふれ、入学を決めた井上さん。元々ものづくりが好きで開発職に就いたものの、年齢とともに立場が変わり、現場からは遠ざかっていた。「どうせなら理論も含めて本格的に教わろう」と陶芸教室よりも大学を選び、手びねり、タタラ、型、ろくろといった基本技法を一から学ぶことに。「もちろん窯などないので、課題はすべて大学に送って焼いてもらいました」。焼成された作品を初めて受け取ったときは、「こんなに縮むんだ」とびっくり。また、先生の鋭い添削指導にも驚かされたという。

「本当に、対象物をよく見ましたか?」。たまたま身近にあった筍を題材にした課題で、先生に痛いところを突かれ、人生で最も真剣に筍を観察。すると、思わぬ造形の法則や美しさが見えてきて、一気に惹きつけられた。「以来、ずっと筍だけをモチーフに」。藝術学舎での木彫など、土以外の素材による制作も大いに役立ったという。「振り返ると、大学で経験したすべてが、卒業制作のためのトライアルだった気がします」。キャンパス内の土を焼成する授業で開発者魂に火が付き、「土からつくりたい」と一念発起。地元の土や灰を用いて試行錯誤をくり返し、陶土も釉薬もオリジナルの作品を完成させた。「無謀な挑戦にも助言をくださり、温かく見守ってくださった先生方に感謝しています」。スクーリングでは、多彩な学友たちと「芸術とは」といった話を真剣に議論するのも楽しみだったという井上さん。「卒業してわかったのは、制約のある課題より、何をしても自由な方が制作は難しい、ということ」。だが、難しさは喜びでもある。「ここからが、芸術」。大学とは、そのための手法を身につける場所。そこでさまざまな養分を吸収した井上さんの土は、まさにこれから、天にのびあがろうとしている。

元公務員×陶芸=

川本修

川本 修
陶芸コース(2年次編入学)
'15年度卒業 北海道在住66歳
川本修

現在は、在学中お世話になった方に贈る、日常の食器や花器を制作中。「以前はあまり考えなかった、使う人の気持ちを思いつつ、自分らしさを出したいです」。

氷を溶かす土

「何しに行くんだ」と冷やかす周囲に「俺が行きたいんだ、好きにさせてくれ」と言い返し、北海道から入学した川本さん。本学を開設時から知り、趣味の陶芸を学び直したい、と思いつづけていた。「入学して、これこそ大学でやれることだと感じました」。石膏、たたらなどの多様な技法に、焼成や釉薬の本格的な探求。「何よりも、先生が苦心して培った自らの手技を、惜しげもなく見せてもらえる」。貴重なスクーリングだからこそ大切にしたいと、いつも教室に一番乗りする川本さんだったが、途中には苦悩もあった。

「自分の入院や家族の事情で学びが途切れ、一時はあきらめようかと思ったんです」。その胸中をふと先生に語ると、「いったん制作の手を止めることで、見えなかったものが見え、できなかったことができることもある」と自らの体験を語ってくれた。「嬉しかったですね。こんな一介の学生も、先生は作り手仲間として接してくれる」。作り手として向き合うからこそ、深い考えを求められ、ときに厳しく評価される。「ただ漫然と作ってきた気持ちをリセットされました」。そして卒業制作、川本さんが生みだしたのは、115㎏もの土を使った氷塊。「北海道の冬の厳しさを表現しました」。冬は5月まで土が凍って制作できない。天候が荒れるたび飛行機は止まる。巨大な氷塊は、北海道と京都の遠さ。辺境の地で抱いてきた、都への反発。しかしよく見ると、その内側にはトンネルが。「来るたびに、大学が、京都が好きになってきたんです。遠くても、想いがあればつながりあえる。全国に大切な友だちができました」。長年、公務員として四角四面な業務をこなしてきた川本さん、本学で初めて、自由に発想し、つくる喜びを学んだという。「自分が教わったことを少しでも周りに伝えたい」と、自宅をギャラリーとして開放。地元に作陶の輪を広げている。「こんなおかしな作品を見て、自分も好きなことやっていいんだ、と思ってくれたら幸いです」と破顔一笑。北海の厳しさを知る氷塊は、大海原の自由のすばらしさも知っている。

漠然としたもの足りなさ×陶芸=

島崎美智代

島崎 美智代
陶芸コース(1年次入学)
'14年度卒業 千葉県在住 57歳
島崎美智代

同級生の立ちあげた学習会で、授業とは別に備前や益子へ。先生が紹介や参加をしてくださることも。そんな学友や先生とのつながりが、卒業しても終わらないのがうれしいです。

土といつまでも

島崎さんと陶芸との出会いは、本コース入学より少し前のこと。「何かものづくりがしたいと思っているうちに時が過ぎて。このままではいけない、と仕事のかたわら陶芸教室へ」。最初は楽しかった。けれど何年か経つうち、もの足りなさを感じてきた。そして、もっと幅広い表現を学びたいという想いから、本学への入学を決めた。

「人生初のレポートは、びっしり添削が書き込まれて返ってきました。そこから少しずつ要領を学んでいったんです」。幅広いテキスト科目で見識を広げつつ、スクーリングで多彩な制作を満喫。「増穂に黒田村。とくに学外スクーリングは、思い出してもわくわくするような経験でした」。

なるべく会社を休まないよう、授業初日はいつも、早朝の新幹線で京都入り。「おかげで、同じ新幹線にのる学友とすっかり仲良くなりました」。多くの仲間がいる大学。そこには、個性あふれる先生もずらりといた。「ときに厳しい指摘や問いかけが、ぐっと胸にささることも。でも、問われたからこそ、自分のこだわりを見いだせました」。

どうしてこの色にしたのか。この形にしたのか。ひとつひとつの問いに答えられる強い想いを、まず自分の中に持たなくてはいけない。「こだわりとは、自分が何に心を惹かれ、どう表したいのかを突きつめること。それを形にするのが作品づくりなんですね」。制作や講評を通して、先生や学友たち、そして自分自身の想いを見つめた島崎さん。卒業制作のテーマに選んだのは、人の心の内と外だった。

「1年かかって作品に仕上げたものの、もっと表現を深めたくて。卒業後のいまも別の形で取り組んでいます」。陶芸工房「たびびとの木」で新しい刺激を受けつつ、学友との個展をめざして今日も制作。「大学で多くの友だちができました。陶芸は、その中でもさらに特別な友だちです。ずっと私の支えになってくれる」。本気でぶつかるからこそ、悩まされるし、喜びもくれる。島崎さんがふと知り合った陶芸は、本コースの学びを経て、一生をわかちあう心の友になっていた。

卒業生の声
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