超域プログラム 制作学[Poietics]
青木 芳昭 ラボ

Interdisciplinary Program: Poietics

絵画材料と技法の蘊奥を究める。

絵画の領域では、20世紀初頭より世界的にさまざまな実験が展開してきました。しかしそれは華やかな流派やスタイルのショウケースでありながら、同時に時代のトレンドに棹さした平板化、均質化の弊ももたらします。しかし、ただやみくもにグローバルなスタイルを追いかけるのではなく、あらためて物質としての絵画が何によって成り立っているのかを反省するなら、そこには大きな可能性が秘められていることに気づかされます。
この青木ラボでは、絵画の根本に立ち戻り、顔料や定着剤、また支持体や筆などの特性を徹底的に探究します。

ラボの特長

絵画技法材料学に基づいた研究制作

本ラボでは単に絵画制作を行うのではありません。そもそも絵画を成立させている物質的な条件を研究を踏まえた実験的制作を行います。絵画、さらには絵画というジャンルを超えて材料の可能性を探ります。

年8日間のゼミ指導とインターンシップ

対面授業においては、外苑キャンパスでの制作指導のほか、天王洲の伝統画材ラボ「PIGMENT(ピグモン)」での実習を通じ、具体的な絵画材料の知識と自分の制作活動への応用とを学びます。

webを用いた遠隔指導

月々の各自の研究記録の確認、論文草稿への添削講評など、通信教育ならではの細かな指導が行われます。また研究途中で生じた疑問も必要に応じて随時教員に質問することが可能です。

主担当教員

青木 芳昭

美術家(技法材料学)。1976年パリ留学、ル・サロン名誉賞受賞。1983-84年 パリ留学。1989年 安井賞展出品。1991年 東京セントラル美術館油絵大賞展出品。1996年 銀座資生堂ギャラリー個展。1997年 安井賞展出品、NHKハート展出品。2011年 「よくわかる今の絵画材料」出版(生活の友社)。2015~18年 21世紀鷹峯フォーラムモデレーター。2016年 日本文化藝術財団 第8回「創造する伝統賞」受賞。京都技法材料研究会・会長。アカデミア・プラトニカ代表。

このラボを志す人へのメッセージ

フェルメールはラピスラズリを多用し破産したことや、堅山南風は昭和のはじめ家を買うためにためた千円で名墨一丁を買ったという話はあまりにも有名です。また横山大観作「生々流転」は明墨・程君房製「玄鯨寶柱墨」で描かれたということが、評価を高めている背景に少なからず影響しているように思われます。名画の理由は画材の良さに原因があることは確かです。伊藤若冲作「動植綵絵」に使用した画材は当時の最高品位であり、さらに超絶技巧で描かれ300年経った現在も色褪せることなく輝き続けています。
とりわけ日本美術は「質」を極限まで追求した歴史に裏打ちされ、日本美術の精神性は水墨表現に顕著に示され現代に受け継がれてきました。ルネサンス時代のフィレンツェの工房は美を追求することならば何でも引き受けるというシステムで、あらゆる種類の仕事が工房では行われ、ここでレオナルドやミケランジェロも育ったのでした。工房という「学校」で学んだ後に独立し、得意な分野で才能の花を咲かせるのが、フィレンツェの芸術家の生涯でした。
青木ラボでは、ルネサンスの工房に習いさまざまな絵画素材の特性と表現技法の可能性を把握することを目標とします。日本画と西洋画は全く違う表現だと思われがちですが、素材から見ていくと展色材と呼ばれる接着剤の違いだけで、使用される基底材・顔料に大きな違いはありません。日本画(東洋画)と西洋画の両洋を美術史と画材史で俯瞰してみることで、自身の制作や研究にフィードバックさせることが出来ます。日本美術史が生んだ奇跡の一点といわれる長谷川等伯筆「松林図屏風」は初めて真に日本の水墨画になったと言われています。これまで墨質と京都の水質には誰も言及して来なかった世界に新知見を見出してみませんか。

学びのすすめ方1年次

画材の特性を理解した制作方法を学ぶ

科目ピックアップ

超域制作学演習IV(スクーリング、スクーリング研究制作科目)

対面とweb上での遠隔指導を併用したゼミ形式で、 絵画材料の基礎的知識とその応用方法を学びます

超域制作学特論V-1(テキスト科目)

web上での授業で、文献や作例をもとに、 絵画がどのような材料によってどのような表現を可能にしてきたのかを学びます。

学びのすすめ方2年次

実験的制作と研究をまとめる

科目ピックアップ

超域制作学演習IV(スクーリング、スクーリング研究制作科目)

対面とweb上での遠隔指導を併用したゼミ形式で、 絵画材料の特性を生かした制作を実地に行うとともに、それに関わる研究報告を執筆します。

年間のスケジュールモデル

青木ラボは[東京:外苑キャンパス]を中心に開講。年8日間行われる対面および遠隔授業のほか、web上の指導を月々に実施します。
※一部、学外(東京)で開講します。

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。
詳しい日程は2021年12月下旬発行予定の『大学院スクーリング日程2022』でご確認ください。
『募集要項2022』にて、各科目と紐付けた年間のスケジュールモデルを記載しております。

■スクーリング日程 大学院スクーリング日程(2022年度予定)
■授業一覧 授業一覧(2022年度予定)

学生紹介

水上 佳子東京都 54歳 大学院1年次

長く油絵を描いてきて「自分で絵の具づくりをしてみたい」と思うようになり、絵画技法材料学の特別講義やラボ別の説明会へ。目からウロコが落ちる話の連続に、背中を押されて進学を決意。現在は、「墨」表現の精神性や奥深さなど、油絵とは異なる墨の魅力を追究しています。学びのなかで真摯に自分と向き合い、問いを検証することで、新たな知見を得たり、思いがけない表現技法を発見できることが大きな喜び。自身を深く知ることで成長し、生きる上での洞察力が身についていると実感します。目標は、墨をはじめ、さまざまな絵画素材や表現技法の使い手となり、その魅力を他者へ伝えることで、創造のプロセスを共有・共感できる人間となること。卒業後も、研究やワークショップをつづけ、素材や技法を通じて絵の具づくりの楽しさや、豊かな生き方を発信していこうと考えています。

超域プログラム 特別講義(アーカイブ)

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

芸術×大学院×通信 京都芸術大学通信制大学院 入学説明会