超域プログラム 制作学[Poietics]
後藤 繁雄 ラボ

Interdisciplinary Program: Poietics

コンテンポラリーアートの最前線を動かす、グローバルな人材を育成する。

21世紀に入ってから、芸術を巡る情況はますます活発に、また複雑になってきています。そのなかにあって、今後どのような芸術活動が可能なのか、国際的な視野のひろがりを持って提案できる人材が求められています。このラボは単に、現代アートの研究者、専門家を育成することを目的にしていません。むしろコンテンポラリーアートの最前線の現場、例えば、美術館、ギャラリー、アートブックストア、アートイベントなどの現場で、ディレクターやキュレーターとして活動できる、即戦力となるプロフェッショナルを育成するためのプログラムを提供します。

後藤繁雄ラボ特別講義レポート

2017年10月に実施した後藤繁雄ラボ特別講義の様子を、本学のwebマガジンでレポートしています。
本年度は2019年10月20日(日)に東京にて開催予定です。詳細はこちら

後藤繁雄ラボ特別講義-コンテンポラリーアートを学ぶ者の心得

ラボの特長

深さのある現代作家研究、キュレーション研究

激しく流動するコンテンポラリーアートシーンをつかむには、事態のストラクチャーだけではなく、そこでトピックとして浮かび上がっているキーとなるアーティストの「深度のある研究」論文が不可欠となります。丁寧な個別指導を行うことで、スペシャリストとしての確信を身につけてもらいます。

研究対象の例

修了研究では、例えば以下のような作家をとりあげて論じることになります。この他の個人・団体を扱うことももちろん可能です。

  • オラファー・エリアソン
  • ピエール・ユイグ
  • 杉本博司
  • ヴォルフガング・ティルマンス    
  • ウォリード・ベシュティ
  • ガブリエル・オロスコ
  • アピチャポン・ウィーラセタクン    
  • 名和晃平
  • マルレーネ・デュマス
  • マシュー・バーニー

年8日間のゼミ指導とインターンシップ

思考は議論によって鍛えられます。対面授業においては、スライドなども多用し、最先端のアーティストの発想や政策、ストラテジーを深く理解することが必要です。また、時には、様々な「美術館」や「アートブックストア」でのインターン(体験授業)を通じ、理解をより深め、実践的な知を身につけます。

Webを用いた遠隔指導

月々の各自の研究記録の確認、論文草稿への添削講評など、通信教育ならではの細かな指導が 行われます。また研究途中で生じた疑問も必要に応じて随時教員に質問することが可能です。

このラボを志す人へのメッセージ

冷戦体制が崩壊し、経済や政治のグローバリゼーションが本格化した2000年以降、コンテンポラリーアートも急激な変化の波に飲み込まれました。例えば、ヴィジョナリーとも言うべき、キュレーションの巨人ハラルド・ゼーマンが、2001年に49回のヴェニスビエンナーレで引き金を引き、2003 年50回目のヴェニスでは、フランチェスコ・ボナミのもと、複数のキュレーターたちが「Dreams and Conflicts」のテーマのもと「流動的な世界」についての再編に挑戦するという出来事がありました。ハンス=ウルリッヒ・オブリストやダニエル・バーンバウム、マッシミリアノ・ジオーニなどの辣腕キュレーターたちが、グローバルなアートシーンをコンダクトし始めたのです。

このような動きに伴って、アートヒストリーやアーティストのポジショニングも変化しました。従来のモダンマスターズだけを研究するやり方では、到底ついてゆけない事態に突入したのです。美術大学の多くは、グローバルに変化し続ける「アートシーンの動向」に対応しきれていないと、私は考えます。ビエンナーレなどの国際的な展覧会は、不安定な社会状況の中で、コンテンポラリーアートを通して、かつてないほどのラディカルな姿勢で展覧会を組織してきます。また、それと並走して、雑誌やアートブック、クリティック、キュレーションなどの情報も、リアルタイムに流通しています。しかし、それに対応できる人材育成は、全く遅れをとっていると言ってよい状況です。

また、アートフェアだけではなく、コンテンポラリーアートの力が、ファッションブランドをはじめとする、「プロダクツ」に価値を与える上で、きわめて有効であることは、ますます重要になっています。このことは単に「アートビジネス」に対応できる能力というだけでなく、批評やキュレーションの能力にも不可欠なものだと思われます。

この「アートプロデュースラボ」は、私がこの16年間考え、実践してきたヴィジョン一知識とノウハウ、そして、ネットワークを総動員して、「これから必要なスキル:知識、戦略力」を持った人材を育成したいと考え、スター卜するものです。現在計画中の「新美術館計画」や「アートブックショップ」などでの勤務も射程に置きながら、共に学んでいきたいと考えています。

コンテンポラリーアートの研究、フィールドワーク、アートブックの編集や批評などを行うだけでなく、ギャラリーの運営、アワードの実施など、様々な実践を積極的に行なってきた。これらの作業を通して、新たなアートのヴィジョン、人材育成などを開発してきた。

コンテンポラリーアートをめぐる仕事は、国内にとどまらず、グローバルな知見や行動力が求められている。ヨーロッパや中国での、キュレーションやアートフェアの経験やネットワークを活用し、受講者にもそのような場を共有したい。写真は、中国でのアワード審査員の時のもの。

学びのすすめ方1年次

基礎的な研究手法を学ぶ

科目ピックアップ

超域制作学演習Ⅲ(スクーリング、スクーリング研究制作科目)

課題に対する発表とそれをめぐる討論により、基礎的な研究手法を学びます。また、各自の研究発表に対する質疑応答や講評、学生相互の発表等を参考にしながら、自身の研究の方向性・手法を探ります。

超域制作学特論Ⅳ-1(テキスト科目)

コンテンポラリー・アートの諸文脈を理解するため、発表とそれに対する指導講評を通じて指定された文献の読解を行います。現代アートは常にその時代を反映し有機的に変化していますが、そうした現在進行形の芸術について思考するために近現代芸術の研究書を取り上げ、現在起こっている変化、その背景となった現代美術史の理解を深めます。これらを通して、現代の芸術について考え、自身の言葉で表現する力を養います。

学びのすすめ方2年次

コンテンポラリー・アートに関する個別研究をまとめる

科目ピックアップ

超域制作学研究Ⅲ(スクーリング、スクーリング研究制作科目)

ゼミ形式で、各自の選択した研究テーマに沿った研究発表とディスカッションを通じ、それぞれの論文執筆をサポートします。今日のさまざまな芸術情況を、世界的な視野から捉えつつ、院生ひとりひとりの強い問題意識によって、他にない独自の研究論文を仕上げることが本科目の目標となります。

年間のスケジュールモデル

後藤ラボは[東京:外苑キャンパス]を中心に開講。年8日間行われる対面授業のほか、Web上の指導を月々に実施します。※一部、学外で授業が行われることがあります。

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。 詳しい日程は2020年1月公開予定の『大学院スクーリング日程2020』でご確認ください。

   

学生紹介

寺井 絢子東京都 38歳 大学院2年次

本ラボに進学した理由 、学びの目標は?

社会人として無我夢中で働いて約15年。この先、自分が一生かけて取り組みたいことを見つめ直し、「子どもの頃から好きなアートの仕事がしたい」と確信しました。いちから美術の専門的知識を教わりつつ、仕事に活かせるような実践的アートの現場も知りたい。そんな学びの場を求めて出会ったのが、後藤ラボでした。現在は、「現代アートとファッションの相互影響」について研究しています。ゼミでは、経験豊富で視野の広い先生に指導していただき、様々な動機から積極的に学ぶ優秀な仲間と刺激しあい、一人では思いつきもしなかった角度で物事を見られる環境に、日々感謝しています。

学びによる気づき、得られたことなどは?

大学院の学びは大学と違って、自ら道筋を立てて自主的に研究するもの。自由度が高いぶん、高い自律性が求められます。けれどこのラボでは、研究を進めるための授業と並行して、研究対象である現代アートについて自身の考えを深めるためのプログラムも用意されています。だからこそ、独りよがりになる不安もなく、研究テーマに対して多角的に捉えられる目を養うことができるのです。また、通信でありながら、web上で毎月研究経過を報告し、ゼミ仲間と積極的にディスカッションできるのも魅力。自分の研究テーマ以外にも視野が広がり、モチベーションを高く保ちながら学べている、と感じます。

安村 尋千葉県 29歳 大学院2年次

本ラボに進学した理由 、学びの目標は?

芸大卒業後、アーティストとして活動していくにあたり、「私には自己プロデュース能力がない」と自覚。このラボの存在を知って、入学しました。この大学院では、年齢もキャリアもまったく違う方が集まり、普段の生活では会えないような方が隣に座っていたりします。担当の先生はもちろん、周囲のクラスメイトから学ぶことも多くあり、クラスメイトの数だけ思考回路があり、その多様な脳みそを覗き見ることができる機会は、めったにないと思います。ここでの経験をもとに、世の中に問いつづけるものをつくっていけるアーティストになりたいです。

学びによる気づき、得られたことなどは?

大学院では「現代におけるアートの世界でどうやって生き残るか」を、制作と理論の両面から学んでいます。たとえば、作品制作におけるストーリーテリングなど。既存の物語についてレファレンスを行い、制作しながら、物語を扱うアーティストの事例を理論的に学んでいます。入学前は、もののつくり方がわからず、つねに霧の中を歩いているように右往左往しながら、手探りで制作していたように思えます。いまも「地に足ついている」とは言い難いですが、以前よりも「社会や世界に対して、私自身がどう考えるか」について、自分なりの考えがまとまってきたという実感があります。

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

芸術×大学院×通信 京都造形芸術大学通信制大学院 入学説明会