超域プログラム 制作学[Poietics]
後藤 繁雄 ラボ

Interdisciplinary Program: Poietics

コンテンポラリーアートの最前線を動かす、グローバルな人材を育成する。

21世紀に入ってから、芸術を巡る情況はますます活発に、また複雑になってきています。そのなかにあって、今後どのような芸術活動が可能なのか、国際的な視野のひろがりを持って提案できる人材が求められています。このラボは単に、現代アートの研究者、専門家を育成することを目的にしていません。むしろコンテンポラリーアートの最前線の現場、例えば、美術館、ギャラリー、アートブックストア、アートイベントなどの現場で、ディレクターやキュレーターとして活動できる、即戦力となるプロフェッショナルを育成するためのプログラムを提供します。

後藤繁雄ラボ特別講義レポート

2017年10月に実施した後藤繁雄ラボ特別講義の様子を、本学のwebマガジンでレポートしています。
本年度は2020年10月18日(日)に東京にて開催予定です。詳細はこちら

後藤繁雄ラボ特別講義-コンテンポラリーアートを学ぶ者の心得

ラボの特長

深さのある現代作家研究、キュレーション研究

激しく流動するコンテンポラリーアートシーンをつかむには、事態のストラクチャーだけではなく、そこでトピックとして浮かび上がっているキーとなるアーティストの「深度のある研究」論文が不可欠となります。丁寧な個別指導を行うことで、スペシャリストとしての確信を身につけてもらいます。

研究対象の例

修了研究では、例えば以下のような作家をとりあげて論じることになります。この他の個人・団体を扱うことももちろん可能です。

  • オラファー・エリアソン
  • ピエール・ユイグ
  • 杉本博司
  • ヴォルフガング・ティルマンス
  • ウォリード・ベシュティ
  • ガブリエル・オロスコ
  • アピチャポン・ウィーラセタクン
  • 名和晃平
  • マルレーネ・デュマス
  • トマス・ルフ

年8日間のゼミ指導とインターンシップ

思考は議論によって鍛えられます。対面授業においては、スライドなども多用し、最先端のアーティストの発想や政策、ストラテジーを深く理解することが必要です。また、時には、様々な「美術館」や「アートブックストア」でのインターン(体験授業)を通じ、理解をより深め、実践的な知を身につけます。

webを用いた遠隔指導

月々の各自の研究記録の確認、論文草稿への添削講評など、通信教育ならではの細かな指導が行われます。また研究途中で生じた疑問も必要に応じて随時教員に質問することが可能です。

主担当教員

後藤 繁雄

1954年大阪生まれ。編集者、クリエイティブディレクター、アートプロデューサーとして活動。YMO、坂本龍一らのアートブックや伊勢丹などの企業キャンペーンのディレクションを手がけるとともに、篠山紀信や蜷川実花らの大型美術館巡回展を成功させる。「篠山紀信展 写真力」は、全国33の美術館で開催され、入場者数は100万人を突破。一方で、若手現代アート作家の発掘・育成・戦略的プロデュースを使命としており、全国の美術大学の卒展から優秀な才能を選抜するa.a.t.m(. アートアワードトーキョー)では300人以上のアーティストを輩出。自身が運営するG/P galleryにおいても、海外のアートフェアにフォトアーティストを次々と送り出し、国際的に高い評価を勝ち得ている。

このラボを志す人へのメッセージ

冷戦体制が崩壊し、経済や政治のグローバリゼーションが本格化した2000年以降、コンテンポラリーアートも急激な変化の波に飲み込まれました。例えば、ヴィジョナリーとも言うべき、キュレーションの巨人ハラルド・ゼーマンが、2001年に49回のヴェニスビエンナーレで引き金を引き、2003 年50回目のヴェニスでは、フランチェスコ・ボナミのもと、複数のキュレーターたちが「Dreams and Conflicts」のテーマのもと「流動的な世界」についての再編に挑戦するという出来事がありました。ハンス=ウルリッヒ・オブリストやダニエル・バーンバウム、マッシミリアノ・ジオーニなどの辣腕キュレーターたちが、グローバルなアートシーンをコンダクトし始めたのです。

このような動きに伴って、アートヒストリーやアーティストのポジショニングも変化しました。従来のモダンマスターズだけを研究するやり方では、到底ついてゆけない事態に突入したのです。美術大学の多くは、グローバルに変化し続ける「アートシーンの動向」に対応しきれていないと、私は考えます。ビエンナーレなどの国際的な展覧会は、不安定な社会状況の中で、コンテンポラリーアートを通して、かつてないほどのラディカルな姿勢で展覧会を組織してきます。また、それと並走して、雑誌やアートブック、クリティック、キュレーションなどの情報も、リアルタイムに流通しています。しかし、それに対応できる人材育成は、全く遅れをとっていると言ってよい状況です。

また、アートフェアだけではなく、コンテンポラリーアートの力が、ファッションブランドをはじめとする、「プロダクツ」に価値を与える上で、きわめて有効であることは、ますます重要になっています。このことは単に「アートビジネス」に対応できる能力というだけでなく、批評やキュレーションの能力にも不可欠なものだと思われます。

この「アートプロデュースラボ」は、私がこの17年間考え、実践してきたヴィジョン一知識とノウハウ、そして、ネットワークを総動員して、「これから必要なスキル:知識、戦略力」を持った人材を育成したいと考え、スター卜するものです。現在計画中の「さまざまなアートプロジェクト」や「アートブックショップ」などでの勤務も射程に置きながら、共に学んでいきたいと考えています。

コンテンポラリーアートの研究、フィールドワーク、アートブックの編集や批評などを行うだけでなく、ギャラリーの運営、アワードの実施など、様々な実践を積極的に行なってきた。これらの作業を通して、新たなアートのヴィジョン、人材育成などを開発してきた。

コンテンポラリーアートをめぐる仕事は、国内にとどまらず、グローバルな知見や行動力が求められている。ヨーロッパや中国での、キュレーションやアートフェアの経験やネットワークを活用し、受講者にもそのような場を共有したい。写真は、中国でのアワード審査員の時のもの。

学びのすすめ方1年次

基礎的な研究手法を学ぶ

科目ピックアップ

超域制作学演習Ⅲ(スクーリング、スクーリング研究制作科目)

課題に対する発表とそれをめぐる討論により、基礎的な研究手法を学びます。また、各自の研究発表に対する質疑応答や講評、学生相互の発表等を参考にしながら、自身の研究の方向性・手法を探ります。

超域制作学特論Ⅳ-1(テキスト科目)

コンテンポラリー・アートの諸文脈を理解するため、発表とそれに対する指導講評を通じて指定された文献の読解を行います。現代アートは常にその時代を反映し有機的に変化していますが、そうした現在進行形の芸術について思考するために近現代芸術の研究書を取り上げ、現在起こっている変化、その背景となった現代美術史の理解を深めます。これらを通して、現代の芸術について考え、自身の言葉で表現する力を養います。

学びのすすめ方2年次

コンテンポラリー・アートに関する個別研究をまとめる

科目ピックアップ

超域制作学研究Ⅲ(スクーリング、スクーリング研究制作科目)

ゼミ形式で、各自の選択した研究テーマに沿った研究発表とディスカッションを通じ、それぞれの論文執筆をサポートします。今日のさまざまな芸術情況を、世界的な視野から捉えつつ、院生ひとりひとりの強い問題意識によって、他にない独自の研究論文を仕上げることが本科目の目標となります。

年間のスケジュールモデル

後藤ラボは[東京:外苑キャンパス]を中心に開講。年8日間行われる対面授業のほか、Web上の指導を月々に実施します。※一部、学外で授業が行われることがあります。

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。
詳しい日程は下記『大学院スクーリング日程2020』でご確認ください。

■スクーリング日程 大学院スクーリング日程2020

※2021年のスクーリング日程は2020年12月下旬に公開予定

   

学生紹介

斉藤 勉東京都 47歳 大学院2年次

本ラボに進学した理由、学びの目標は?

先の見えない変革の時代。現代アートが、どのような意味を持つのか。先生と面談をするうちに深掘りしたくなりました。アート研究どころか教育すら受けたことがありませんでしたから、1年目は美術史や哲学書と格闘。展覧会にも通いました。そうした研究活動から一筋の光が見えたのが、2年目のスタート時点です。修士論文の研究テーマは、現代アートの非物質化や展覧会の作品化、そしてアート・マーケットの錬金術的な価値創造です。アーティストの考え方であるアート思考も研究テーマにしています。研究の一環として始めたコレクションを継続し、それを活用する展覧会の企画を考えています。

学びによる気づき、得られたことなどは?

現代アートはよくわからない。作品に途方もない価格がつくことがあります。もはや何が購入できるのか分からない作品、それを買うコレクター。こうした行為そのものがアートと呼べるのかもしれません。コレクションを構築していく中で、様々なアーティストとの交流がありました。議論あるいは対話、その積み重ね。現代アートの探究は、いままでの仕事、経験、学習のすべてに通じる軸のような、アメーバのような、そうした結合があったと思います。現代アートの鑑賞を通じた内省と解釈は、仕事にも役立っています。提案、顧客が抱える課題を別の視座から眺められるようになりました。そうした観点からの対話は実務にも役立っています。

西本 春佳滋賀県 24歳 大学院2年次

本ラボに進学した理由、学びの目標は?

通学部で演劇を学んだ後、舞台芸術だけでなくアートというより広い領域で自らの表現や作品について考えたいと思い、進学しました。現在はAnot her worldをテーマに研究を進めています。その集大成として修士論文と合わせて上演台本も提出する予定です。台本の中ではたくさんの生き物や世界が登場するので、それらと交信するために日々奮闘しています。ここでの学びを通じてアートやアーティストとは何かといった考察を深め、文献や活動するアーティストの作品を経て学ぶことがたくさんありました。この経験を生かし、世界を更新していけるようなアーティストになりたいです。

学びによる気づき、得られたことなどは?

作品や文献に触れることはもちろん、年齢や背景もそれぞれ異なるラボ生とのディスカッションはいつも新しい発見があります。特にまだ社会人経験のない私にとっては世界を広げ、構築する上でも、とても刺激的な時間です。授業以外に他のラボ生とのやりとりでも学ぶことが多く、積極的にコミュニケーションを取っています。アーティストは皆、人間の倫理観や価値観、社会性とは別に自分だけの世界を持っている。私が生きる世界はリアルワールドだけじゃない!常に楽しくハッピーで創造的であること。ここでの学びを通して、こうした気づきを得られたことは、とても大きな収穫のひとつです。

修了生の研究テーマ

  • 新しいコレクターの戦略
  • トーマス・ルフを中心にコンテンポラリーアートの写真を考える
  • アートシンキングなモードデザイナーが提示する世界の未来
  • ストーリーテリングにおけるコンテンポラリーアートとポー

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

芸術×大学院×通信 京都芸術大学通信制大学院 入学説明会