よく見る、よく描く、よく考える。

本分野では、これまで各自が育んできた絵画表現を、さらに発展させていきます。
担当教員との対話を重ねながら、研究計画を立案し、創造活動を実践していきます。作品の創作とプレゼンテーションを主軸に、研究を進め、特別講義、作品鑑賞で自己の相対化を企ります。
また、制作研究ノートの作成で理論的思考を鍛え、絵画についての知識や理解を深めていきます。

分野の特長

少人数制のスクーリング×多彩な作家が指導

スクーリング毎に行う講評会で、自主制作のテーマを深め、技術を高め、表現をさらに発展させることを目標にしています。講評会にはゲスト講師が参加し、様々な視点からのアドバイスや指導を行います。また学習用webサイト「airU」やweb会議システム「zoom」を活用し、スクーリング以外でも年間を通じて教員のサポートが受けられる体制を整えています。

創作と考察を鍛え、自身の絵画表現をさらに発展

考察としては、作家研究と発表を通して自らの創作の立ち位置をはかりつつ、制作研究ノートの作成により自己を客体化し批評する力をつけます。作家研究は、創作の精神的、内面的支えともなり、作品の力強さを高めます。

教員紹介

奥田 輝芳

1983年京都市立芸術大学大学院油画修了。2020年「natural vol.2」(ギャラリーヒルゲート・京都)、2019年「DECADE」(galerie weissraum・京都)、2019年「natural」(ギャラリー恵風・京都)、2018年「nara」(ギャラリー勇斎・奈良)、2017年「abstruct」(ギャラリーヒルゲート・京都)、2016年「time」(galerie weissraum・京都)、しがの風展、Ge展等に出品。

natural vol.2(2020年)

この分野を志す人へのメッセージ

絵は、作者と見る人を繋ぐメディアです。作者の感じたこと、考えたことをキャンバスに塗り込めるのが絵で、見る人はその絵から様々に想像を広げます。そのメディアとしての仕組みが機能する時、作品が新しい世界として生まれます。絵を描くことの楽しさだけを知っている人ではなく、ジリジリとした苦しみを知っている人がこの研究分野へ入学されます。それを我々はとても頼もしく感じています。さあ、一緒に新しい世界を創りましょう。

藤田 つぐみ

1986年広島市生まれ。東京藝術大学絵画科油画専攻卒業、同大学院修了。 École NationaleSupérieure des Beaux-Arts Paris留学。現在は「目に見えないもの」の可視化と「感覚」の可視化をテーマに制作を行っています。

SPACE ECSTASY (2021年)

この分野を志す人へのメッセージ

大学院では個々の制作するテーマをさらに深めていきます。絵画は、完成すると一つの形として決定しますが、そこに至るまでの道程は、なぜそれを描こうと思ったのかというところから始まり、取捨選択を繰り返す流動的なものです。その流れは、キャンバスと向き合う時間を超えて、生きている時間そのものだと感じます。絵画は、私たちがその中で〈感じた/考えた〉ことを、それを与えてくれた世界へ、キャンバスを介して報告するような行為なのかもしれません。

山河 全

1954年 福井県生まれ 1982年京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了1988年 大阪現代アートフェア(現代美術センター) 1993年芸術祭典「京」現代古典空間学(無鄰菴)1993-97年 IMA絵画の今日展(新宿三越美術館)1999年現代日本絵画の動向展(東京ステーションギャラリー) 2003年「 水を掬う。花を弄する。展」(横浜市民ギャラリー他)2009年 真澄寺別院流響院襖制作(京都岡崎) 2010年水の表現展(桜ヶ丘ミュージアム)

Li-Bo #57 2014

水口 裕務

1958年 徳島市生まれ、1983年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了、1983年安井賞展・京都美術展/新人賞、1993年IMA絵画の今日展(95・97年)、1994年金山平三賞記念美術展/佳作賞、1999年京都美術工芸展選抜部門/京都府買上、2002年自然を見つめる作家たち-現代日本の自然表現と伝統(徳島県立近代美術館)、2003年みどりのちから-日本近現代絵画にみる植物の表現(群馬県立館林美術館)、1982年より個展開催多数、現在 無所属。

蓮池2018

森田 康雄

1972年武蔵野美術大学油絵専攻卒業。1981年日伯現代美術展/最優秀賞1982年安井賞展(83,89,90,92,96)。1983年京都市新人芸術家選奨。1986年独立展/独立賞。1988年文化庁現代美術選抜展1990年メリニヤック国際ビエンナーレ展(ボルドー他)。1991~92年武蔵野美術大学研修員として渡仏。京都/東京他個展多数。独立美術協会会員/京展委員。

画室にて

押江 千衣子

1995年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。2001年VOCA賞、タカシマヤ美術賞、京都市芸術新人賞を受賞。2003年作品集「目をすます」が刊行される。文化庁新進芸術家海外留学制度によりベルギー、ブリュッセルに2年間滞在。2008年滞在プログラム『ARKO2008』に招聘され、成果を大原美術館で発表。2012年美濃加茂市民ミュージアムにて滞在制作、個展。

萬葉

鷹木 朗

1957年東京生れ。1982年京都市立芸術大学大学院修士課程美術研究科油画修了。1980年ジャパンエンバコンクール、吉原治良賞。1983-91年CONTACT'83-'91。1999年アートドキュメント'99 アジアの森から。1999年金山平三賞記念美術展。2002年 新鋭美術選抜展(京都市)。2003年CAP EXHIBITION「party」。2009-10年架空通信 百花繚乱展。2012-14年尼崎アートフェスティバル。1979-2019年個展30回(galerie16、信濃橋画廊など)他、グループ展多数。

Work.k01 路上から

■教員 奥田 輝芳(教授)藤田つぐみ(専任講師)山河 全(教授)、水口 裕務(講師)、森田 康雄(講師)、押江 千衣子(講師)、鷹木朗(教授)

学びのすすめ方1年次

絵の具、支持体、モチーフなど素材を変え、描くことを模索し、新たな可能性を試す。

美術・工芸演習(洋画)
(スクーリング科目、スクーリング研究制作科目)

現代の絵画を考察しながら「創ること」「描くこと」の意味を問いなおし、形式の新しさではなく、自身の考えを深め、自身にとって新鮮なテーマを模索します。また、活躍中の作家や多彩な講師陣による特別講義、材料研究実習や合評とともに、学生同士の意見交換によって自作を客観視し、個性的で魅力のある絵画表現を探っていきます。

美術・工芸特論Ⅰ-1、2(テキスト科目)

本科目の目標は、美術・工芸に関する理論的著作を批判的に読み解くことと、その上で、各自の制作研究行為を今日の社会環境の中に位置づけて考察することにあります。制作研究は個人的な表現内で完結するものではなく、社会との関わりの中で熟成・発展していくものです。自己を包む環境について新たな見解を持ち、創作への思いを言語化することで、自作品の明解なビジョンが育ちます。

学びのすすめ方2年次

自身の中から生まれる魅力ある表現を追求し、オリジナリティーのある制作へ導く。

美術・工芸研究(洋画)
(スクーリング科目、スクーリング研究制作科目)

「美術・工芸演習」で培ってきたそれぞれの研究を核心へと近づけます。今日の絵画表現と規範は、多様であるが故に、創り手に表現の基軸を見失わせる可能性があります。社会の中の様々な状況を俯瞰しながら何をどう描いていけばよいか、発想・表現・素材・技法について研究しつつ、様々な表現の作家による講評も受けて、自身の内面の具現化に努めます。「整理より混沌」というこの国が生み出した空間構造も学んで、柔軟で新鮮な発想を備え、かつ普遍的な絵画表現を拓いていきます。

年間のスケジュールモデル

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。
詳しい日程は2021年12月下旬発行予定の『大学院スクーリング日程2022』でご確認ください。
『募集要項2022』にて、各科目と紐付けた年間のスケジュールモデルを記載しております。

■スクーリング日程 大学院スクーリング日程(2022年度予定)
■授業一覧 授業一覧(2022年度予定)

学生紹介

吉田 小夜子24歳 北海道 大学院2年次

環境を変えて学び続けたいと思い、進学しました。進学したことにより、大学時代と比べると今の作風は変化してきています。これまで以上に自分の作品を他者がどう見るかということを意識し、作品を通して鑑賞者やその考えなど、他の世界に繋がることができると考えています。通学生時代は関わり合えなかった、年齢や出身の異なる人々との出会いにより、私自身の考えや視野も広がったように感じています。また、複数の先生方にご指導いただけることも魅力です。対面授業のない日でも、メールや郵便でサポートをいただくこともできます。コロナ禍で計画通りに進み難いこともありますが、自分で意思を強く持ち、やり遂げたいです。今後の目標は、これからも制作活動を継続し、作品を発表していくことです。

修了制作 作品ギャラリー

吉川 直孝66歳 愛知県 2020年度修了

[修了制作について]めざしたのは、見ているだけで心が癒されるような絵画。ペインティングナイフを使い、混じり合わない油絵具の性質を利用して、穏やかに揺れる水面を表現しました。達成度は、見ている人にどれほど意図が伝わったかが重要で、70点程度かと考えます。

[学びの振り返り]19世紀後半のフランスに現れた、モネら印象派の絵画を深く学びたいと考えて進学。彼らは、筆触分割の技法を用いて屋外の明るい光を捉えていた。この革新的な技法を取り入れることで、「光と水の表現」の修了作品と、制作研究ノートをまとめることができた。


光と水の表現

白川 洋二71歳 香川県 2020年度修了

[修了制作について]これまでの制作よりも色相・トーンの幅を広げ、豊かな色面構成を心がけました。その反面、形態への意識が薄れてしまいました。形態と色彩の両方を意識すること、そして、いかに他者の評価を気にせず純粋に描くかが、今後の課題です。

[学びの振り返り]漠然と「公募展に挑戦できる力がつけば」と思っていましたが、先生方のご指導はもちろん、同じ志を持つ級友の存在が力となり、実際に公募展で入選。連続入選という目標ができたことで、修了後も制作を中心にした生活のなか、老いへの不安もなく充実した毎日を過ごしています。


ガーデン

久保田 節子85歳 東京都 2020年度修了

[修了制作について]風景の場合、季節感を表現することは難問。工夫するといっても、風景の色彩は非常にむずかしいと感じています。それでも、「少しでも良いものを残したい」の一念で、制作に向かっていました。

[成果、そして、これから]特別な進学の目的があったわけでなく、毎日絵を描き、文字を書く平凡な日々でしたが、あっという間に終わりました。クラスの方々がよくて、スクーリングの時間はとても楽しく過ごせました。これからの目標は、「自然の中で自然を描く」。この一念で、自然とかかわれる土地に近づきたいと考えています。


上:浜離宮恩賜庭園 中島の御茶屋
下:浜離宮恩賜庭園 燕の御茶屋

小柴 博正68歳 三重県 2020年度修了

[修了制作について]散らばった絵の具や油の匂い、モデルの表情をどう表現できるかに挑戦。「人物を描き、絵を楽しむ」とともに、臨床美術と洋画との共通点を見出すことを目標とした。がむしゃらに描く自分は、臨床美術を実践する障害者や高齢者、夢中である子供たちそのものかもしれない。

[成果、そして、これから]これまでの制作と違い、構想、発想、取材力にずいぶん悩み、苦労した。コロナ禍のリモート授業や取材制限の中でも、修了できたことへの充実感はひとしお。春の県展に初入選し、秋の独立美術展、市展へ向けて制作中。今後もチャンスがあれば公募展に挑戦していきたい。


アトリエ風景とモデル

中村 恵司郎33歳 愛知県 2020年度修了

[修了制作について]テーマは「抽象絵画を試みる」。エスキースに際して、近所の土手ぞいにそびえる大きな桜の木を撮影。画面一杯に表現したく、その雄大さの中にも鳥・猫などを描いた。四枚の絵画のうち半分は満足している。後の二枚は重厚感が出せなかったことが心残りである。

[成果、そして、これから]芸術とは、絵画とは何か」を知らぬまま大学院へ。「よく頑張ったな」と自分を褒めてやりたい。先生方の親切で丁寧なご指導のおかげで絵画の奥深さにはまり、いまも自分の描きたいように描けることをめざして勉強中。できれば大きな賞をいただき、個展が開ければ、と夢を大きく持っています。


上:紅葉
下:さくら咲く ―桜とツバメ―

洋画分野 オンライン説明会

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

芸術×大学院×通信 京都芸術大学通信制大学院 入学説明会