芸術環境研究領域芸術教育
Art and Environment Studies Field
学びとしての芸術活動を支える。
本分野では、個人やコミュニティの創造的な学習行為としての芸術活動をサポートし、プログラムする方法を実践的に研究します。
これは従来の美術科教育とはやや異なるもので、人々とともに各地で大切にされてきた文化資産を守り育てる、あるいは特定のコミュニティにとっての新たな文化的な価値を作り出すような活動でもあります。
学びのすすめ方1年次

物事を多角的にとらえる視点を養い、研究に必要な考え方や手法を学ぶ。
科目ピックアップ
芸術環境特論I-1・2、III-1・2(テキスト科目)
この科目では、芸術環境に関する研究にとって基本的な文献の解読を通じて、基礎的な知識や問題、研究の手法を学びます。各自の専門性に応じて課題を選択し、指定の文献を批判的に検証してレポートにまとめます。過去の研究を知り、その方法論的な意義を考えることで、各自が研究を進めていく上での基礎的な知識を身につけることが目標です。
芸術環境演習Ⅰ・Ⅲ(スクーリング)
Ⅰ(前期)・Ⅲ(後期)では、学生が各分野で研究を遂行するために必要な考え方や方法を、ディスカッションや共同作業、各ゼミ独自の課題等を通して身につけます。さらに、ゼミ内での発表やディスカッションを通じて修了研究につながるテーマを設定し、〈調査・分析・まとめ・提案・報告〉という方法論を学びながら、各自の研究の方向性を決定します。
学びのすすめ方2年次

独自の着眼点で掘り下げた研究を、論文や報告書として結実させる。
科目ピックアップ
芸術環境研究Ⅰ(スクーリング)
「芸術環境演習Ⅰ・Ⅲ」での研究成果に基づいて、修了にむけての研究を行います。各自が設定した研究テーマに沿って、適切な資料の収集、分析、調査などをすすめると共に、その成果を論文あるいは研究活動実施報告書にまとめます。指導は主に年5回のゼミと2回の「中間報告書」に対する講評で行います。1週間に1回(必須)のWEB上での研究過程の記録のほか、必要に応じて個別指導も行います。
年間のスケジュールモデル
■スクーリング日程 | 大学院スクーリング日程(2021年度予定) |
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■授業一覧 | 授業一覧(2021年度予定) |
学生紹介
中井 芳美兵庫県 64歳 大学院2年次
学部の文芸コースでエッセイ執筆に取り組み、書き終えた後、自身が過去の心的外傷から成長できたと実感しました。この経験を活かそうと、「芸術活動と心的外傷後成長の関わり」について学ぶために入学。そこで出会ったのが、「コミュニティアート」という考え方です。「個人の問題」から「地域の課題解決」へと視点が広がり、さらに、アートとケアの関係性についてもあらためて気づかされました。そして1年かけて実際に、高齢者や障害を抱える方を対象とした独自のアートプログラムを実施。「地域市民がアーティストとなる、地域市民の協働による、アートコミュニティのデザイン」の実践に挑みました。あらゆる人に内在するアート性を介して、だれもが地域とつながり、暮らしていけるように。これからも地域の仲間たちと、人と人、人と地域をつなぐために活動していきたいです。
教員紹介
開講地 | 主担当 | 学べる分野 |
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東京 | 本間 正人 | 社会人学習支援 / こども芸術教育 / 福祉のアート |
京都 | 上村 博 | 社会人学習支援 / こども芸術教育 / 福祉のアート |
修了生の研究テーマ
- 子どもの育ちを促す造形活動の実践と考察 ― 描くことと語ることの相互作用について ―
- 大学と地域の交わりによる新たな学びの場の形成 ―「 白樺派のカレー」を介した我孫子市民と大学の協働を通して ―
- 造形あそびに対する保育士の『困り感』解消のために(レシピを用いた子どもの主体性を育む環境づくりを目指して)
- 博物館の展示・普及活動における文化資源活用に関する考察 ― 地域回想法から考える資料と記憶との関係から ―
- 大学博物館における教育的アプローチの手法の研究(早稲田大学演劇博物館を事例として)
- 障がいを持つ子供たちの居場所作り(アートスペースPINAにおける計画と実践)
- ファッションデザイン教育の成立と新たな時代に求められる教育カリキュラムの提案(日本とフランスのファッションデザイン教育の比較を通して)
- 学びのコミュニティをデザインする(学校を地域のハブとして機能させる学びの環境づくり)