環境デザイン領域日本庭園

Environmental Design Field

一流の現場に立ち、実践を身につける。

日本庭園の歴史を振り返ると「いつの時代にも創造的であったものだけが伝統となり、その伝統が新たな創造性を刺激する」という「創造する伝統」の思想が見えてきます。そして、それこそが、現代に求められている重要な命題だといえます。「庭園史研究」「作庭技術」「文化財庭園の保存と活用」を三本柱とする本分野では、日本庭園の歴史を踏まえたうえで、伝統的日本庭園の立地・空間構成・意匠・素材・技法等を実地に検証・考察する中から現在へのメッセージを読み解き、それぞれの研究や作庭、デザインに生かしていきます。

この分野の特長

京都を中心に、週末スクーリングを開講。WEB学習も組み合わせ、効率的に学ぶ

京都と東京それぞれの立地を活かしたスクーリングを開講。土・日のみのスクーリングで修了できます。またwebを活用した自宅学習を組み合わせることで、社会人にも取り組みやすいカリキュラムを整えています。

充実した実地研修で深く学べる

文化財庭園の保存・管理・修復・活用の現場、石造美術の工房などの現地を訪れ、実践的な学びを重ねます。名庭と向き合い、作庭家の意図、職人の思いを直接感じ取ることで、独自の視点を確立していきます。

学びの要となる三本柱

「庭園史研究」「作庭技術」「文化財庭園の保存と活用」を学びの要とし、一流の研究者や庭師、文化財庭園の保存管理技術者及び、運営マネジメント実務者から直接指導を受けることで、多様な視点から各自の研究を深めていきます。

教育訓練給付制度 指定講座 ※詳細は『募集要項2022』をご確認ください。

教員紹介

加藤 友規

博士(学術)
【経歴】千葉大学卒業、京都造形芸術大学大学院博士課程修了。2005年~植彌加藤造園株式会社 代表取締役社長。
【受賞】2012年度日本造園学会賞研究論文部門、日本イコモス賞2018、2018年度日本造園学会賞技術部門、2020年度日本造園学会賞事業・マネジメント部門など。
【主な業績】作庭実績として「くろ谷 金戒光明寺 紫雲の庭北庭」、「嵯峨野山墅十五景~名所(などころ)をつくる~」など。研究発表に「山縣有朋記念館所蔵の古写真にみる往時の無鄰菴庭園に関する研究」『( 日本造園学会 ランドスケープ研究』 Vol.80 No.5.2017)など多数。

金戒光明寺 紫雲の庭「ご縁の道」

ここで学ぶことの魅力は?

代々造園業を営む家に生まれ、家業の技を受け継いできましたが、日本庭園の伝統の継承のためには、さらなる飛躍が必要と考え、本学通信制大学院修士課程第一期生として入学しました。充実した講義内容と名園や文化財庭園での現地学習は、庭師の私にとっても新たな発見と学びの連続でした。また、ともに学ぶ仲間は経歴や職業も様々で、老若男女問わない学習環境も新鮮で刺激的です。皆さん、ぜひここで、日本庭園の伝統のみならず、刻々と変化する日本庭園へのニーズに対する先端的な取り組みに触れ、仲間とともに豊かな学びの時間を味わってください。

この分野を志す人へのメッセージ

日本庭園を学ぶ上で大切なのは「伝統から学ぶ、仲間から学ぶ」ということです。平安時代の『作庭記』にも、上手な先達の仕事を手本にしながらも、施主の意向を心にかけ、自分自身の風情(感性・美意識)をめぐらせて庭をつくることの大切さを説いています。「伝統から学ぶ」ことは、平安時代からの教えでもあるわけですね。また、ここで出会った仲間たちとともに学ぶことで、仲間の学びも共有し自身の糧とできます。「伝統から学ぶ、仲間から学ぶ」を実践しながら、皆さん自身が日本庭園の担い手や語り手となれるよう、ともに励んでいきましょう。

町田 香

博士(学術)
【経歴】北海道大学工学部建築工学科卒業、京都造形芸術大学大学院芸術研究科博士後期課程修了。国際日本文化研究センター機関研究員、京都造形芸術大学非常勤講師などを経て現職。
【受賞】「近世初期の宮廷の庭園文化に関する研究」で日本造園学会研究奨励賞受賞(2008)。
【主な業績】『近世初期宮廷庭園の文化史論的研究』(学位論文)、『すぐわかる日本庭園の見かた』(共著、東京美術、2009)、『都市歴史博覧』(共著、笠間書院、2011)、『京都を学ぶ【洛西編】-文化資源を発掘する-』(共著、ナカニシヤ出版、2020)など。「宮廷庭園における演劇的遊興について」(『ランドスケープ研究』71(5)2008)ほか論文多数。

尼﨑博正監修『日本庭園の見かた』共著 東京美術 2009年

『都市歴史博覧-都市文化のなりたち・しくみ・たのしみ』共著 笠間書院 2011年

ここで学ぶことの魅力は?

本分野は、日本庭園を芸術として探究できる日本で唯一の通信制大学院といえます。そして、日本庭園のメッカである京都で日本庭園を学ぶということは、他の芸術にはない意義をもっています。日本庭園、というと限られた分野のように思われるかも知れませんが、庭園は建築だけではなく、さまざまな芸術品や人々の生活を包み込んでいる自然の空間です。庭園を探究することは日本文化を総体的にとらえることにつながります。広く自由な視野をもって、何事にも関係性を持ちながら楽しんで対峙する、そのように学生のみなさんと一緒に育っていきたい。そう思っています。

この分野を志す人へのメッセージ

さまざまな芸術文化との関係性のなかで庭園をとらえ、自分自身と庭園とのつながりを見い出すことは、自分自身とは何かという問いに対するひとつの答えになることは間違いありません。また、庭園の歴史を学ぶことは、目に見えない過去の物語をイメージすることでもあり、現代とは異なる自然観や価値観に出逢い、理解することと言えます。いままで見たことも感じたこともない新たな世界を一緒に楽しみましょう。

■教員 加藤 友規(教授)町田 香(准教授)尼﨑 博正(教授)、吉村 龍二(講師)

※尼﨑 博正教員、吉村 龍二教員は2022年度はテキスト科目のみ担当し、研究指導は担当しません。

学びのすすめ方1年次

日本庭園の本質を見極め、その再生と創造に資する力を養う。

環境デザイン演習(日本庭園)
(スクーリング科目、スクーリング研究制作科目)

伝統的日本庭園の本質とは何か。そこから何を学び、未来へ継承・発信すべきか。この命題に応えるため、名庭と向き合い、作庭家の意図、職人の思いを感じとり、独自の視点を確立していきます。実地研修と研究発表の二本柱で、文化財庭園の修復現場なども訪問。その成果を各自の視点で発表し、研究テーマを絞り、資料収集や調査など、修了研究・制作への骨格づくりをします。

環境デザイン特論Ⅰ-1、2
(テキスト科目)

本科目では、「プロジェクト研究」「工法・技法研究」、それぞれについて基礎的資料収集・調査、あるいは教材の精読、および整理・分析を行います。それらを通して、修了制作の研究テーマを抽出するための基礎知識および観察力を獲得し、さらには自身の研究を客観的に位置付けることのできる判断力を養います。

学びのすすめ方2年次

独自性のある視点と知見を生かし、質の高い研究・制作へ。

環境デザイン研究(日本庭園)
(スクーリング科目、スクーリング研究制作科目)

自身の設定したテーマについて、学術的・芸術的・デザイン的解答を導き出すための演習を行います。先行研究や事例の資料収集などから自身の研究制作の客体化と位置づけを行い、そこから導き出される目的の明確化、方法論を検討、調査、ケーススタディ、分析評価、結論への到達といった一連の研究制作プロセスを通して、専門家としての素養を高め、独自性のある視点と新しい知見を手に入れ、質の高い研究・制作へと結実させていきます。

環境デザイン特論Ⅱ-1、2
(テキスト科目)

日本庭園はランドスケープデザインの原点といえます。本科目の「日本庭園論」と「ランドスケープ論」では、総合的な観点からの思索を通じて、修了研究・制作をより質の高いものにしていく糧とします。

年間のスケジュールモデル

年間のスケジュールモデル

スクーリングは各年次毎に、年間を通して週末(土・日)を中心に開講しています。
詳しい日程は2021年12月下旬発行予定の『大学院スクーリング日程2022』でご確認ください。
『募集要項2022』にて、各科目と紐付けた年間のスケジュールモデルを記載しております。

■スクーリング日程 大学院スクーリング日程(2022年度予定)
■授業一覧 授業一覧(2022年度予定)

学生紹介

安藤 潔50歳 神奈川県 大学院1年次

造園の営業・設計・施工・管理と30年以上この業界に身を置き、現在は㈱安行庭苑の経営者として、さらなる専門性を高める必要性を日々感じていた中、この大学院と出会い進学を決めました。研究テーマは「日本庭園」と「近代日本画壇」との融合性です。双方の文化形成に至る経緯や共通点などを研究し、社会に対し造園のさらなる価値の向上や将来的位置付けを明らかにすることを目的としています。スクーリングを通じて先行研究や大学院側から配布される資料を基に、理論立てた考察をすることにより、「日本庭園」の奥深さや有用性を再認識しています。また、先生方や学友の研究題材から新たな気づきを得られることも喜びの一つです。日本の文化、特に「日本庭園」の分野が現在以上に発展し、認知されるよう、研究題材を仕事に活かし、社会及び地域への貢献ができるよう努めていきたいと思います。

修了制作 作品ギャラリー

池田 崇信26歳 東京都 2020年度修了

[修士論文について]研究対象である「邃渓園」の地割りの変遷を明確にするため、信憑性の高い資料として国土地理院の航空写真を用いました。また、永井楽山自身が語る作庭事情を記した文献資料を論拠とするにあたり、庭師の祖父(曾祖父が楽山の弟子)にヒアリングを行い、情報を補足しました。

[学びの振り返り]造園業者として、「文化財庭園を適切に後世に伝えていくために必要なことを学びたい」と進学。実際に各地の文化財庭園を訪れ、資料の分析や庭園に対し多角的な視点から研究を行うことを先生方に教わり、庭園に対する視野が広がったと思います。


題経寺邃渓園の変遷及び作庭者永井楽山

太田 陽介35歳 京都府 2020年度修了

[修士論文について]現在、清水山で行われている林相改善事業が、将来どのような森林を形成していくのかを明らかにするため、過去の変遷や植栽された苗木の調査などから、50年後の林相断面図を描いた。資料や調査結果をどう読み取るかに苦心。今後も継続した調査と、将来を見据えた手入れを行わなければと考える。

[学びの振り返り]2年間という学びの時間は一瞬で過ぎ去ったが、まだまだ学びたいことがある。現在は庭園や山など現場での仕事に励んでいるが、学びの時間があったからこそ、現場で気づくことも増えたと実感している。


東山風景林における清水山の変遷と将来像

松田 理佐55歳 愛知県 2020年度修了

[修士論文について]地元における歴史的景観の持続を目的に、名古屋市東区にある近代庭園を研究。地元の歴史について知識が深まり、近代庭園調査の一手法を身につけることもできました。

[学びの振り返り]作庭に関わる仕事をしているので、庭園の見方や文化財庭園の保存管理の仕方を学べたことは、仕事を深める上で重要でした。子育てが終わり、介護も始まっていないこの一瞬に、大学院で学べたことは幸運だと思っています。


白壁町・旧中井已治郎邸の成立と変遷

過去の論文タイトル一覧

  • ケニアの風土性を生かした造園の在り方―日本庭園の視点から―
  • 智水庵庭園の変遷に関する考察
  • 瑞泉寺庭園に観る夢窓疎石の世界観
  • 伊集院兼常の研究―近代数寄空間の濫觴―
  • 善導寺型石燈籠の形態・意匠に関する研究―茶道具をモチーフとする火袋を中心に―
  • 三渓園の地形的魅力に関する研究
  • 横浜公園の成立と変容に関する研究―都市公園としての存在意義―
  • ‘入景式庭園’としての韓国庭園に関する研究―立地環境と自然観の分析―
  • 名所としての「和歌の浦」の研究―歴史的変遷にみる風景認識―
  • 近代女性の「住まい観」に関する研究―吉屋信子・林芙美子・白洲正子の暮らしから探る―
  • 清澄庭園の本質的価値に関する研究―東京市公園課の見識と技術力―
  • 庭園の空間性に関わる石組造形論序説
  • 名勝對龍山荘庭園の植栽景観のあり方に関する研究
  • 古田織部の路地空間に関する研究―御成を想定した造形―
  • 庭園と周辺景観とのつながりに関する調査研究―圓通寺庭園を事例として―
  • 宇治興聖寺の庭園空間と管理指図に関する研究―『興聖寺作木并掃 除覚帳』の分析から―
  • 名勝 伝法院庭園の地割と動線に関する研究―適切な観賞ルート設定のために―
  • 大谷石の出荷状況の変遷に関する一考察
  • 雪舟の庭園空間構成と絵画画面構成方法との比較・考察
  • 塔心礎の排水機能に関する研究
  • メディアから見た大正期から昭和初期の“中流住宅”の庭―『主婦の友』『文化生活』を中心に―
  • 近世広島城下につくられた庭園の立地的考察―水主町界隈の庭園を中心として―
  • 名勝名古屋城二之丸庭園の庭石と“仕事”に関する研究
  • 黒ボク石の扱いと産地に関する研究
  • 六義園における“もてなし”に関する研究―『松蔭日記』と『楽只堂年録』を中心に―
  • 庭園の表土侵食メカニズムに関する研究―修復後の名勝 清風荘庭園におけるき損要因の観測結果から―
  • 海外における日本庭園の可能性について
  • 欧米における「Wabi Sabi」と「わび」「さび」の受容と展開
  • 「こどもと環境のはしわたし」プログラム
  • ブログデータからみる日本庭園の認知構造
  • 「見せる矢跡」に関する研究
  • 庭園が醸し出す南禅寺界隈の文化的景観
  • 兼六園翠滝の水音の受け止め方に関する研究

日本庭園分野オンライン説明会

資料請求 あたらしいパンフレットができました。

芸術×大学院×通信 京都芸術大学通信制大学院 入学説明会