
この作品は私の初めての小説である。不安を抱え卒業研究に臨んだが、振り返ると苦労より楽しさのほうが多かったように思う。
キャラクター設定やプロット作成は、子供の頃から空想が大好きだった自分には苦ではなかった。頭のなかで描いたキャラクターが、文字を通してドラマを紡いでいくことが何より楽しかった。しかし、初めての合評会では手厳しい意見が多く、自分のひとりよがりを思い知った。この文字数では無理だと言われたことが創作欲に火をつけ、全体の見直しを行い、自分の文章の癖を修正し書き直した。始めのストーリーとは多少変わってしまったが、よりシンプルになり、これでよかったと満足のいく作品になったと思う。
タイトルも最後に変更をした。決めるのはなかなか難しかったが、三人が主人公というところから『Trois』という言葉を思いつくと、それがすんなり自分の中ではまった。決めた、というより見つかったという感じがして嬉しかった。
作品を完成させた自分にお疲れさまと言いたいところだが、1年くらいして読み返したら、さぞ恥ずかしい気持ちになるだろうということは容易に想像がつく。まだまだ未熟な自分ではあるが、今だけは完成の喜びに浸りたい。