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空間演出デザインコース 新宮 佳奈

絵本セット(A5サイズ)| 内容:5冊1組


「せんそう」のおはなしと聞くと、みなさんはどんなイメージが浮かぶでしょうか?

多くの方が平和学習を通じて壮絶で悲惨な状況を学んだ経験があり、残すことや知ることに対して大事なことだと思っておられる中でも「触れづらい」「考えが及ばない」「聞いたとしても何もできない」という印象が非常に強いと思います。

終戦から80年ほど経つ現代の日本では、戦争当時のことを話すことができる体験者が少なくなり、語り部も減少し、残しづらい状況が進んでいます。さらに、身近に感じることが難しい内容のため《伝えるハードル》や《考えるハードル》が高いことが改めて分かりました。

卒業制作で「せんそう」のあたりまえに関する調査を進めると、戦争体験者へのインタビュー、現代人の印象調査、様々な関連施設や書籍などを通じて《多様な見方で豊かさと価値の本質を同時に知る》という経験ができました。それは、壮絶で悲惨な印象のみで枠組みされていた私自身が《偏った側面しか見えていないという気づき》でもあり、価値や文化の違いを知ることで、多様性を理解し、学ぶような感覚でした。

ただ、扱う内容が非常に重く、現代の日常からかけ離れているからこそ、触れづらい状況はちょっとやそっとでは全く変わりません。

テーマと向き合うこと自体を諦めそうになる日々が続く研究中に、アンケートにご協力いただいた方の「悲惨な状況を学んだからこそ、知ることを躊躇するほど気持ちがついていかない…」という一言からヒントを得て、もしかしたら知るハードルを下げることが触れやすくする第一歩になるのでは?と考え、《表現やデザインを通じた“触れづらさを解決する”きっかけづくり》として卒業制作を完成させました。

●研究テーマ●
「せんそう」のおはなしを後世に残す方法を研究する《きっかけづくり》プロジェクト

●作品名●
「せんそう」のあたりまえ おはなし絵本

「触れづらいことへの心理的・物理的な距離を近づけること」を研究のメインテーマとし、印象調査や試読などブラッシュアップを重ね、現在のアウトプット作品となりました。距離を近づけるためには《考える》《リンクする》の2点が重要と考え、インタビューに伴う絵本だけでなく、現代とリンクする部分や自分の考えをまとめる工夫も盛り込み、卒業制作では絵本セットとして表現しました。

絵本を通じて豊かさと価値の本質を知り、いまの時代に合った方法で「なくなりそうな」おはなしを残します。


●絵とコトの「おはなし絵本」 instagram| <a href="https://www.instagram.com/eto_coto_nanca/" target="_blank">@eto_coto_nanca</a>


▽概要は以下の通りです▽

▲作品のイメージ| 卒業制作を通じて、現代の日常とかけ離れていることは身近に捉えづらいだけでなく、《リンクすること》も難しいということが改めて分かりました。今回の研究では「リンクする=身近な何か(=あたりまえ)に紐づける」ことで興味関心に関わる心の距離を近づけることができる、と位置付けて進めていましたが、10代~70代の幅広い年代の方にご協力いただいた結果、興味関心だけでなく、世代や出身の地域などの違いにより《あたりまえ》《知識》《意識の度合い》に関して変化があり、さらに同じ世代であっても個人によってそれぞれに異なりました。

語り手である戦争体験者の「せんそう」のあたりまえが、一人一人違うのと同じく、読み手(受け手)のあたりまえもそれぞれに違います。よって、触れづらくかけ離れている「せんそう」のおはなしが、現代の身近な何か(=あたりまえ)にフィットしていく模索と、時代にあわせたアウトプット方法の研究はまだまだブラッシュアップが必要です。そのため、研究の続きはinstagramで継続していこうと思います。 模索や研究の続きをあたたかい目でご覧いただけるとうれしいです。

●絵とコトの「おはなし絵本」 instagram| @eto_coto_nanca

新宮 佳奈

空間演出デザインコース

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