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「日月四季山水涅槃図」

洋画コース 山本 潤

130.3 × 162cm
キャンバス/アクリル

私にはその場を客観的に観察する性格的な特徴がある。卒業制作作品にはその特徴が反映されており、時間を超えた「観察者」としての視点から曼荼羅的に世界を描いている。私は自分が今生きている世界を経験しながら観察する手段として、写真を撮り、動画を撮り、日記を書いていた。数十年に及ぶその「観察性」が卒業制作の発想と表現の土台となっている。ルネサンスよりもビザンチン美術の方が好きなので、自分が絵を描く時にも、遠近感や立体感に囚われず、素朴で平面的な絵を描くことにした。
描いたのは10代から50代に世界中の色んな場所で見たもの、経験したことの記憶。山頂の私は昼寝をしながら過去を夢に見ている。或いは、人生の様々な出来事を思い出して涅槃に入ろうとしている。念頭にあったのは洛中洛外図屏風のような群像図である。本作は洛中洛外図屛風のように整然としたものにせず、ヨーロッパ、京都、東南アジア、ハワイ、東京などと大まかなエリア分けをして、人物や物はランダムに配置し、時代も場所も異なる出来事を異時同図法で描いている。山の上だけが未来で、下界はすべて過去である。山頂と下界はゆるくつながっている。
人生が出会った人と出来事とから成るものだとすれば、今回選んだモチーフは人生である。自分にとってこれ以外のモチーフを選ぶことは考えられなかった。サブタイトルは、「死ぬ時に思い出すヤツ」である。死ぬ時にこの絵を思い出すだけで、思い出したい思い出を思い出すことができる。いい人生だったなと思って死ねるように、これから死ぬまでの間、自分が描いた絵をよく見て覚えておこう。両作品とも、自分という鑑賞者一人のためだけに描いたものであり、その意味で芸術・アートとは言えないが、自分の人生を形にすることができたのだから、「自分にとっては」芸術・アート以上のものを作ることができたと考えている。この作品はまだ完成していない。卒業制作展が終わった後も、稚拙で小さな絵は時々増えるだろう。この作品は、いつ終わるか分からない人生という長い夏休みの絵日記なのだから。

「記念写真」
162 × 130.3cm
キャンバス/アクリル

山本 潤

洋画コース

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