葛藤を乗り越えて
ー認知症を受容れるためにー
写真コース 桐山 英基 (桐山 英基)
母は認知症の初期段階にあり、多くの問題を抱えながらも
何とか一人暮らしを続けている。
然しながら症状はじわじわと進み、記憶力の低下した母に
「今日は絶対に怒らない!」
毎回そう誓って実家に赴くのだが、同じ話を何度も繰り返したり、子供返りも現れてきている母につい苛立ち、怒ってしまうことがある。
そんな日は強い自責の念に駆られながら帰宅することになる。
母と接している間は笑ったり怒ったり、時には泣いたり、
さらには様々な不始末に落胆したりと、喜怒哀楽の振れ幅が大きく、毎回悲喜こもごもの大騒動となる。
それでも母は元来ユーモアが大好きで笑顔を絶やさず、
誰からも好かれるチャーミングなお婆ちゃんである。
残念ながら、私たちに残された時間はそう長くはない。
様々な葛藤を乗越えて前向きに、様々なシーンを記録に残し続けていきたいと考えている。
家でもデイサービスでの頭の体操を復習する母。
大好きだったおふくろの味も、そのほとんどが記憶の中だけのものとなってしまった。
神頼みもしたくなる。
どんなに切なく、悲しい夜もまた朝はやってくる。
今日も1日が始まる。自分を見つめなおそうと。
帰宅時、いつも屈託のない笑顔で見送ってくれる。
父、母、私の子供の頃の写真とともに。生きているからこそいろんな感情が沸き起こるのだ。
下の前歯が抜けて「ブサイク~」とからかった時の母。
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