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The Skin of Time

染織コース 熊田 昭子

同窓会賞

300x190㎝(ヨコXタテ)3点合計
技法:絞り
素材:綿
染料:反応染料
使用材料:タコ糸、気泡緩衝材、亀甲金網、塩ビ管、家庭用塩素系漂白剤

この作品は、染色や脱色の過程で生まれる偶然性を、そのまま結果として受け取るのではなく、「どの瞬間で止めるか」という判断を何度も重ねながら制作します。
滲みや剝離、重なった線は一見すると偶然の痕跡のように見えますが、それぞれは時間の経過と人の意思が交差した地点で生じたものです。樹皮を思わせる表情は、自然の形を再現しよとしたものではなく、時間が布に触れ、留まり、通過した結果として現れた表層です。
私はこの表層を、単なる「表面」ではなく、出来事を引き受けて残す存在としての「皮膚」と捉えました。
三点を一組として構成することで、同じ工程を通りながらも異なる表情が生まれ、時間が均一ではなく、層として存在していることが可視化されます。
本作《The Skin of Time》は、偶然に見えるものの中に潜む必然と。時間が残していく痕跡についての試みです。

横に重なる色によって、染料が少しずつ重なっていく様子
拡大図
縦に明るく抜けた部分を中心に、色が通り過ぎていくような動きを意識した。
拡大図
形が広がり、次第に弱くなっていく変化を通して、最後に残る後に注目している。
拡大図

熊田 昭子

染織コース

オリジナル、唯一無二、独特、無双、無類...
そんな作品を自分にも作れないかと、常に考えながら制作に取り組んできました。せっかちで、作品作りにも直ぐに結果を求めてしまう性格です。けれど、染織を学ぶうちに、デッサンや作品へのイメージといった、基本を踏まえ、それを形にしていく『過程』の大切さと難しさを知りました。自分のイメージを表現する手段として「絞り」の技法に出会えたことは、染織を学ぶ中で自身にとって最大の収穫でした。
これからも、唯一無二の作品つくりを目指して模索を続けながら、制作に励んでいきたいと思います。

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