+(プラス)キリン
古典を現代に生かす
染織コース 青木 奈美
着物と帯:絹生地
両作品ともデルクス染料
江戸時代に流行した寛文小袖雛形は左肩から「て」という流れるデザインが特徴である。雛形『きくとしゆろ』に私は、江戸時代に存在しなかった動物柄というもの、現代ファッションにはよく取り入れられるトラやヒョウ柄ではない、キリン柄を+(プラス)した。
日本は中国からの思想や文化の影響を大きく受けた時代があり、着物に用いられる文様も同様である。日本の着物の文様には繁栄や長寿、魔除けなどのさまざまな願いが込められ、また組み合わされて生活の中に溶け込んでいることを知ると昔の人々の思慮深さを感じずにはいられない。
中国で吉兆をもたらすとされる想像上の動物で聖獣「麒麟」が存在する。それとは姿形も異なる実在の首の長い動物に明治時代の日本人は、「キリン」と名付けて現代では動物園では必ずといっていいほど飼育されている。首の長い動物に何を想って聖獣の「麒麟」と同じ「キリン」と名付けたのかは定かではないが、個人的には実在の動物「キリン」に草食動物にある穏やかさを感じ、高い所から周囲を見渡すまなざしは、ただそこにある状況を静観し私達を見守ってくれているようである。時には権力の象徴とされる聖獣「麒麟」とは姿形は異なるが、幸せをもたらす存在であると考える。
神霊が宿ると言われる「しゅろ」に、「菊」の無病息災、穏やかなまなざしの「キリン」を+プラスして未来の平和、幸せをもたらす着物にしたいと制作する。
青木 奈美
染織コース
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